見出し画像

『最悪な子どもたち』(2022)感想

『最悪な子どもたち』(Les pires)(2022)を見てきました。

北フランスの"問題"を抱えている子どもたちに焦点を当てた作品。

第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリ受賞とのことで、「ある視点」部門グランプリ!?それは一体何??…という感じだったのですか、wikiで覗いてみたところ「若き才能を認め、フランス国内での配給を支援する援助金を提供することで、革新的で大胆な作品群を推奨すべく導入された」とか書かれてまして、、、まあ、その賞に正にぴったりで納得しましたね。

あらすじで混乱している人も多いと思うのですが、要は、「やんちゃな子に焦点を当てた映画を作るために、やんちゃな子どもを選び、撮影を行っていく」内容なわけですよ。映画内で映画撮影をする。すなわち「映画内映画」。
どれがフィクション❔どれが演技❔と混乱している人もフィルマークスを見る限り、いらっしゃいましたけど、まあそれもそう、設定も斬新ですよね。まさに「革新的で大胆な作品」(笑)。実際、映画外の現実でも映画内のようなオーディションを行っているわけですし、彼らの映画外の現状と映画内の現状と、映画内の映画の設定が重なっている、3重構造みたいなものですよね。

映画監督のリーズ・アコカとロマーヌ・ゲレのインタビューを読んでいたら「私たちの作品の根底にあるのは子ども達の世界に対する関心と、困難な状況にある子どもたちへの共鳴です」と書かれており、作品からも監督たちの子どもたちに対する熱意を感じられますし、非常に社会的な芸術ですよね。

キャスティングされた子どもたちに芸能のチャンスももたらしています。4人の主人公は、上映後すぐにエージェントから声がかかったそうで…!!(^▽^)/

パンフレットにはもっと詳しく書かれているので是非読んでみてくださいね^_^ 800円でした!!
予告貼り付けておきますわ。


で、感想に移りますが、大きく2つですね。

1つ目は、フィクションかフィクションでないかは、そこまで重要ではない!!これは見ている途中で強く感じました。そもそも何を持ってフィクションであるかを判断するのか考えてみたのですが、中々、結論に至らず…。この作品において、カメラを向けられて役者として演じる彼らと、現実の彼らを分けて考えること自体、滑稽だなと。結局、演技であったとしても自己と内接しているのではないですかね。


2つ目は、映画だけでなく、個人自体が、内面の感情と外に出る感情は一致しないのだと。ライアンを始め、置かれている状況が複雑で一概に自分がどうしたいか判断できないよね~なんて思って見ていました。陳腐なこと言いますけど、やっぱり人間って複雑。というか内面が複雑な結果、外に出る姿って嘘ではないけど、全てを包摂しきれないですよね。ドラマツルギーとはまた異なる次元の自己との葛藤って存在するなと思いました。

面白かったな〜〜


あと音楽良かったですね。Rémy!!フランスのヒップホップ好きなので、定期的に色々レビューしていきたいなとか思ってはいます。

では、また👋

参考・引用資料
・『「最悪な子供たち」劇場パンフレット』マジックアワー(2023)。
・「ある視点」wiki

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?