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§イタリア・Siciliaへ 9:ヴァチカン市国

 今回の目的地はタイトルにもあるようシチリアだが、カトリック教徒の私にとって素通り出来ない場所がある。
 ヴァチカン、国としてのヴァチカンとカトリック教会総本山双方の意味を持つ。
 長崎市にある浦上天主堂が建てられた場所は、昔、庄屋屋敷が在り其処で踏み絵が行われていた。信徒発見以降、踏み絵という過ちを犯した場所に敢えて謝罪として教会が建てられた経緯がある。
 このヴァチカンもまた326年にコンスタンティヌス1世によって聖ペトロの墓所とされたこの地に教会を建て、今日に至る。

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 今まで知識として、或いは文字として認識していたことを目の前に形として見ると、言葉を超えた確かに時の流れの中で切れることなく存在し続けてきたものを感じる。このスイス衛兵の制服をデザインした人がミケランジェロであるように。
 私は、ボーンクリスチャン(born Christian)であるため自分の意思でカトリックを択んだ訳ではない。それでも、此処から果てしなく遠い東の島にカトリックが伝導され、私の祖先からカトリック信徒になっている不思議が不思議の殻をまだ破ることが出来ないまま、事実の一つ一つをこれから此処ヴァチカンで確認していくことになる。

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 この日、サン・ピエトロ大聖堂への入場列が短く、あまり感慨に浸る間もなく身体チェックが終わり御堂内に入った。

 これほどサン・ピエトロ大聖堂では服装チェックがあると云われていても、海岸を歩くような服装の人が予想以上にいたことに驚く。
 自身が信じる宗教でなくとも総本山に入る服装に全く気を遣わず観光地の一つとして訪問することには納得がいかない。特別な場所に赴くための整えた服装はある筈。
 カトリック教徒の私が、神社に入ることがあっても、参道の中央は神が通る道の正中と捉えるらしくそれに倣っている。
 カトリック教徒とそれ外の方を別の列にして欲しいくらいにタンクトップにショートパンツ姿の人には残念さがあった。

 それにしても、商魂逞しいというか、ニッチ産業は世界中であるのだわ、と感心したのは、この身体チェックを受ける列の脇にストール等を売る店があること。今更袖がある服の購入のためローマへは戻れないないだろうと、せめて羽織もので誤魔化しては如何と店があったことには苦笑。


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