「プラネタリウム」
原題:Planetarium
監督:レベッカ・ズロトブスキ
制作国:フランス・ベルギー
製作年・上映時間:2016年 108min
キャスト:ナタリー・ポートマン、リリー=ローズ・デップ、エマニュエル・サランジェ
アメリカから訪れたというよりもっと明確に「職を求めて」フランスに来た姉妹。霊感が強い妹と共に降霊術のツアーを生業とする設定があるがこれは導入に過ぎなく話のメインで膨らんでいくことはない。1930年代アメリカではこの妹に限らず霊感が強い女性は度々スポットを浴びていることを考えると映画の為の特別な設定ではないようだ。
ナタリー自身がインタビューで苦笑しながら話すように妹役にリリー=ローズ・デップを指名したのは彼女だが本人が云うように20歳近い年齢差は姉妹役には残念ながらもう無理が来ている。終盤、病に伏せベッドに横たわる妹をケイト(姉)とコルベン(プロヂューサー)が両端から囲むシーンがあったが親子の絵にしか見えなかった。只、「スピリチュアルな妹」「イノセントな妹」にローズ・デップを指名したことは適役。
降霊術に魅せられたプロヂューサーが姉妹を主役にした映画を作ろうと話は展開していく。妹は役者の素養はなかったが姉はコマ落としのように素人が女優へと変貌していく様をナタリーのこれまでのセオリー通り演技で進む。寧ろ、もう彼女芸達者は周知なので流暢なフランス語はじめ「いつもの」的ではある。
一方、リリーは今はファッションアイコンとして存在を知られている。18歳の年齢でシャネルのミューズであることが端的にそのことを証明している。
女優としては他に出演している「The Dancer」も2016年製作をみるとこれからスクリーンへ出てくる人だろう。多少オーラはあってもビジュアル以上を求められる役者としては自ら光るには遠く、まだ周囲に諸条件を揃えてもらう段階。今回もコルベンあってのケイト、ローラが居てのケイトだ。けれども、彼女のプロモーションビデオと捉えるなら魅力は十分に出されていた。
予告では「降霊術」が人々の印象に残る為その部分を使っているが先に記したようにそれは話の一部。1930年代後半フランスの空気をアメリカから来た姉妹を核に進めている映画。
後半から降霊術に魅せられたプロヂューサーコルベンの立場が悪化していく様が描かれるが、彼への罷免要求は映画製作趣旨よりも人種問題が絡んでいく。コルベンのモデルは実在人物であるフランスの伝説映画プロデューサー、ベルナール・ナタン。ルーマニア出身の彼はアウシュビッツ収容所で命を落としている。その当時の映画製作場面、フランスにおけるユダヤ人迫害まで話は描かれているので「降霊術」に興味惹かれ映画館へ行くと印象が違うことになるので注意あれ。
★★
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