排除ベンチ:関わり拒絶の不寛容と対岸に居続ける冷酷さ
まだ排除ベンチという名前も知らない頃、それでも川沿いに新しく設置されたそのベンチに違和感があった。
そのベンチを見て、ホームレスの方を排除する為という意味はすぐには浮かばなかったが子を連れたお母さん方はこれでは利用し辛いだろうという印象を受けた。配慮がないベンチ、形だけのベンチ設置に見えたのだ。
誰にとってのデザインなのだろうと調べ始めてすぐに排除ベンチよばれている造語に遭遇する。
排除ベンチはこのベンチに座ろうとする誰にとってもほぼ利点がないデザイン。決してデザイン先行の結果、「蓋を開けてみると使えないベンチだった」ではないのだ。意図的に誰かに使わせたくない料簡の狭さが体現されたベンチ。
一方、上の写真はカナダの排除ベンチではない人を選別しないベンチ。
うれしいことに日本にも人を選別・排除しないベンチを作った方がいらした。数的には圧倒的にこうしたベンチ数が優勢ではなくとも、人々が他人事ではなく行政に関わっていくことで自らが住む町のベンチは変えていくことはできないものだろうか。
*赤い対極のベンチ企画者は「田中元子 排除ベンチ」で検索してみてください。彼女のインタビュー記事に容易に辿り着けるはずです。