「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」
原題:The Aeronauts
監督:トム・ハーパー
製作国:イギリス・
製作年・上映時間:2019年 100min
キャスト:エディ・レッドメイン、フェリシティ・ジョーンズ、ヒメーシュ・パテル
1862年高度11277mを酸素ボンベ無しで体験した気象学者ジェームズ・グレーシャー。この記録は現在もまだ保持されている。
人々を救うために気象学が必要と唱えるジェームズは学者らからは戯言と取られ相手にされない中も、実地での数値を取りたいと希望を捨てない。
時々、映画館で観るべき作品を探すことがある。自宅プロジェクターで繰り出される大きさではなく、また、生活が入り込まない音の中で何にも邪魔されず作品に浸りたいと。
この作品では、これまで映画で撮影された気球がガス気球に見せかけての熱気球に対し、世界で初めて1800年のガス気球のレプリカを建造と拘る。
スタントは900メートル上空を飛んでいる気球に登り気球の故障に向かうシーンを撮り、最後にヘリコプターから1万1000メートル上空の展望を撮影。気球にカメラマンも同乗しリアルな映像を提供している。
ジョーンズが高さ600メートルの位置でロープを実際によじ上りバスケットから出て気球に登る演技に対し、監督ハーパーとレッドメインは、リアリティ追及の為だけではなく気象学者ジェームズ・グレーシャーが高所で感じたことを追体験し理解するために、低酸素訓練を受ける。
今、私たちが当たり前に知っている数字は、作品で描かれているこうした手探りの中から拾い出され統計を経て意味を与えられてきた。
「大気には層が存在します」とジェームズ・グレーシャーが発表する。私たちは実際体験や確認した訳ではなく知識として見てもいないことを自分の物として使っている、この差。
CGを多用しない作品は、疲れることなくその映像美を楽しむことができ心地良い。
★★★☆