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梅雨の沖縄旅行・如何に予算内に収めるかのゲーム的様相も含め:9 ガンガラーの谷

 これまで国内外を問わず行動に制限がかかるツアーは一切避けてきた。しかし、厳密にはツアーに申し込みをしなくては入ることが出来ない場所は存在しアイルランドのブルーボーニャ(Brú na Bóinne, ボインの宮殿)には参加せざるを得なかった。*note:アイルランド旅行記に記載
 沖縄のガンガラーの谷もこの系統である。

ケイブカフェ
ケイブカフェの内側から

 私たちは事前にVELTRAを通じて予約をした。一人¥2500(税込)、時間は1時間20分。飲食物持ち込み禁止の為だろう当日は開始時にさんぴん茶が入った肩掛け水筒を一人ずつに渡される。
 写真のケイブカフェは以前は一般に利用されていたそうだが、現在はこのツアー参加者のみの利用になっている。また、ツアー後利用としようと考えると出口が異なる為早めにいらしての利用をおすすめ。

人数は20人弱

 ツアー事前説明後虫よけジェルを形ばかりではあるが希望者には用意されていた。虫刺されに弱い私たちは長袖とパンツスタイルで参加。
 この日も前日に雨が降り、中止になるか不安だった。足元が濡れてはいるが全く整備されていない場所を歩く訳ではない為、トレッキングシューズまでは用意する必要はない、履き慣れた靴で十分。
 ツアーという形態に当初は違和感はあったが、写真のように人数は密集するでもなくガイドの説明が届く丁度よい人数設定だった。私たちは運がよかったのかガイドを独占するような人もツアーグループには居ずほどよい説明を聞きながら淡々と進んでいった。

気根を伸ばすガジュマル

 ケイブカフェを出ると整備されているとは言え圧倒的な自然が眼前に広がる。亜熱帯の森では木々の大きさがそもそも日頃見慣れている街路樹の比ではなくその存在に圧倒される。
 ガンガラーの谷自体は、数十万年前までは鍾乳洞だった所。今は崩壊し森へと姿を変えているがその経緯が分かる場所ではガイドの方から説明があった。

イナグ洞
イナグ洞

 良縁・安産への祈りがささげられる女性の洞窟と説明があった。垂直な洞窟は危険な為に中へ降りることは当然出来ないが、ツアー参加者は2-3人ずつに分かれ道路から少し上がった場所にある洞を覗かせてもらう。
 この深い洞でその昔どのようにして祈りが行われていたのか不思議ではあったが、街中に切り取られたようにイナグ洞があると想像が追いつかないことに比べるとこの自然の中にあることで祈りの場であることが伝わるようではあった。

イキガ洞入口

 一方、こちらは命の誕生・成長を願う男性の洞窟といわれるイキガ洞。
 この洞窟に入る際には中が暗い為にグループに一つずつカンテラが渡された。

用意された灯りとさんぴん茶が入ったボトル

 イキガ洞・イナグ洞、この二つの洞窟はそれぞれがお隣の位置ではないがそれほど距離を置いてはいない所に位置し種之子御嶽(サニヌシーウタキ)はイナグ洞とイキガ洞の二つの洞窟の一帯からなる。二つの洞窟は琉球王朝の時代から遠くは久米島や宮古島から来訪者が祈りを捧げる御願所(ウガンジュ)。イナグは女性を意味し、イキガは男性を意味するという。

大主(ウフシュ)ガジュマル

 この森のシンボルでもあり、説明がなくとも分かる圧倒的な存在と風格のガジュマル。映画のセットと見紛うようなロケーションの中に高さ20mの長老は存在していた。

造形美

 私たちは利便の為に多くの自然をゴミ箱に紙を丸めて捨てるようにいとも易く壊してきているが、同じものを作り上げるためにどれほどの時間を要するか考えもしない。そもそも、自然の、いや、木一本の存在を少なくとも日本は重要視しないからこそ簡単に切り倒す。
 気が遠くなるような長い年月をかけて鍾乳洞ができるように、森も又たくさんの雨と太陽の光を浴びて出来てきたことを復習のようにこの場所で再確認。

武芸洞

 亜熱帯の森を抜け、祈りの御嶽を訪ね、最後に約2500年前の石棺墓。
 僅か10cm乃至20cmを掘ったところに、石棺に納められた人骨が原型を留めて残っていたらしい。その浅さに如何に此処が荒らされていない場所だったかが分かる。
 石棺は繰り返し利用された重層構造の棺。また、人骨が見事に残っていた背景の一つは沖縄がアルカリ性の珊瑚で出来ていることが保存のためには良い環境になったらしい。

現在も発掘作業中の洞窟内箇所

 鍾乳洞から森へと変わったこの場所が一つの装置として古へダイジェスト版の旅をしたようだった、それも僅か80分で。
 約行程1kmを80分かけての移動でも分かるように、決して足早に次から次へとのガイド展開ではなかった。集団からつかず離れずの距離を保ちながらいつものようにアングルを択んでの納得の写真は撮れなくとも案外と手元にガンガラーの谷の記録は残った。
 

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