「ルイの9番目の人生」
原題:The 9th Life of Louis Drax
監督:アレクサンドル・アジャ
製作国:カナダ・イギリス
制作年・上映時間:2017年 116min
キャスト:アーロン・ポール、エイダン・ロングワース、ジェイミー・ドーナン、サラ・ガドン、オリバー・プラット
予告動画にもある範囲で抑えると限定しても9歳の誕生日を迎える人生と呼ぶにはあまりに短い生ながらそこに数奇な経験をする。月齢時の全身骨折から始まり、感電、食中毒とそれらは幼い子の生死に絡み半端ではない。毎年のこの苦難を予告の時点でどう捉えるのか。
正直、第一候補の映画ではないままに「予告」だけの知識で観る。
何を語ろうとしてもまだ観ていない人には事前知るべき内容ではなく今回はレヴューし辛い。あまり前知識なく観るほうがこの映画は断然に楽しめる。
9歳の誕生日をピクニックで祝っていた彼を含む家族三人。崖の傍でのピクニック、不運にもルイは崖から落ちてしまう。命は取り留めるものの彼は昏睡状態に陥る。映画の多くは昏睡状態のルイだが回想シーンで家族の有り様が少しずつ提示されていく。
映画後半、2016年「怪物はささやく」を重ねてしまう。特にこのシーンの辺りからはファンタジーの色合いが強い。且つ、切ない。
「見せかけ」「第一印象」はトリックのいい材料。
ルイはとても利発な少年だ。利発故に大人の事情に合わせてしまう性(さが)。理不尽な状況を受け入れる様は観ていて辛い中、段々と関係性が見えてくる父と子。
ホラーと見紛うようなアクシデント連続ではあるが、ホラーというよりも寧ろ、ミステリやサスペンス要素の方が強い。そして、最終観おった時に「父の愛」が静かに残る。ジャンルという枠を越えた映画だった。キャステイングでは目立たない紹介であるが、私は父役アーロン・ポール氏の演技が好ましかった。
★★★☆