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「ギフテッド」

原題:  Gifted
監督:マーク・ウェブ
製作国:アメリカ
製作年・上映時間:2017年 101min
キャスト:クリス・エヴァンス、マッケンナ・グレイス、リンゼイ・ダンカン

 「(500)日のサマー」が好きだったので択んだ映画だったが、101分を取られるには残念な時間となる。予告通りの展開、子役も確かにいい演技ではあるがそれこそタイトル「ギフテッド」のように単に天性的な演技に留まる。天才的子役を見せる映画でないのであれば、何を映画として見せるのか?

 姉の遺児を独身の弟が引取り、姉の遺言通りの育て方で奮闘しながらも二人という単位の家庭を築くまでに時間が流れる。隠しきれない姪っ子の才能を敢えて特別扱いせずに弟は姪っ子に接していたが、周囲はそれに同意せず穏やかだった水面に石が投げ込まれるかのような祖母の出現で話は展開していく。

 監督が「…俳優たちの演技だけに頼るような映画にしたかった。物語自体も流行りのクールなものではないし、重要なものですらない。それよりも、“温かく”作られているんだ。観客に、素直に『いい映画だなあ』と思って欲しかった。…」と話されているように全体に穏やかで映画という括りよりは単にホームドラマにみえる。
 それが問題ではない。只、この作品に限らず往々にして見受けられる「数学が出来ること」はそれほど偉いことなのか。この子にもっと他の才能保持者を演じさせてもよかった。題材としてはとてもありきたりだ。
 同様にアメリカにおけるイギリス人扱いもステレオタイプなのが残念。

 「キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ」と同じ人物には見えない彼の演技には楽しむ。髪の色が変わり髭を蓄えただけの変化で独身ながら幼い子の庇護者を好演していた。また、彼と姪っ子のやり取りで見られる台詞の良さ。この脚本があったからこそ姪っ子の演技が存在した。
 理系対文系の確執の描き方、母をめぐる姉、弟の三人をもう少し深く描き込んで欲しかった、と個人的感想。
★★


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