「ジュディ 虹の彼方に」
原題:Judy
監督:ルパート・グールド
制作国:イギリス
製作年・上映時間:2019年 118min
キャスト:レネー・ゼルウィガー、ジェシー・バックリー、フィン・ウィットロック、ルーファス・シーウェル、マイケル・ガンボン、ダーシー・ショー、ロイス・ピアソン
作品名の通りに、かつてミュージカル映画の大スターとしてハリウッドに君臨していたジュディ・ガーランドの話。
ジュディを演じられたレネー・ゼルウィガー、そして、彼女がこの演技でアカデミー賞主演女優賞を受賞されたこと。オズの魔法使いで「虹の彼方に」が歌われていたこと、その程度しか知らずに観る。
ジュディが持つ二面性を圧巻の演技でみせていく姿に引き込まれていく2時間だった。陽気さと絶望をステージの裏と表で全く異なる表情を演じる。
何歳も歳を重ねたかのような疲労を滲ませた顔が、いざステージに上がると演技者としての、また、皆が求めるジュディへと変貌する姿を何度も見せるが、悲しいことに中々救いが訪れない。
経済的に窮地に追い込まれ、まだ、知名度は死んでいないロンドンでの巡業が作品の中心になる。このロンドンでのショーに関して付き人をしていたロザリンの演技も助演の位置で光るものがあった。形だけの世話役だった距離を置いたロザリンが、徐々にステージ上では見られないジュディの飾らない姿や苦悩の様子に接していく中で変化していく。
1968年ロンドンのショーの半年後にジュディは生涯を閉じている。最後の輝きを放っていたともいわれるショー。
まるで現代版女工哀史のような休憩時間どころか、睡眠時間まで削られた少女時代のジュディの時折回想シーン(ジュディを知らない人には丁寧な解説編)が挟まれていく。そこで垣間見せるスターを作る為に受けるハラスメント。そして、一番の問題はその後まで影響が続く薬漬けの状態。
大人の欲の犠牲になった少女ジュディは大人になる梯子のかなりの数を間引きされ歪な女性へとならざるを得なかったことも悲劇に映る。
私のようにジュディ・ガーランドを知らなかった人にまで演技でみせる作品の作り方。世代的に知らない人が多かろうが懇切丁寧な伝記を作らず、ジュディの姿を今この映像でみてくれ、という作り方は好きだ。
★★★☆
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