イヤホン装着による意図的透明人間化
今夕から実に1月以来の友人宅での家飲みとなった。それでも、関東で生活する、尚且つ、友人は学校が勤務地とあって二人だけでワインを横に置いてのおしゃべり3時間余り。
話は尽きず、あっという間の三時間だった。
帰路、確かに酔いが残った状態ではあった。いつものように無線イヤホンを耳にセットし歩き始めた時に、歩き慣れたいつもの風景がMVのように生活感を失って映った。
音楽に包まれた私はまるで周囲から切り取られたような感じだ。
基本、歩くときは音楽を聞きながらであることはこれまでと変わらない習慣、今夜が決して初めてというわけでもない。酔いにしてもワインをグラス1強いただいた程度で泥酔とは程遠い。それでも、感覚が研ぎ澄まされたとまではいかずとも、境界線を引いた感じに包まれおかしな印象を持つ。
ふと、電車内でイヤホン姿の人らが浮かんだ。
まるで結界のようにイヤホンで周囲の音を遮断することで透明人間化することはありうるわ、と納得した夜道。耳を塞ぎ、目を閉じると完璧。
障碍なく生まれたと仮定して、五感を意図的に遮断することはその時点で自分外とは関係を持ちたくないと考えているのか、とイヤホンから流れる音楽と自らが歩いてい立てているカツカツとした硬質の音を聞きながら考えてしまった夜道。