「さらば愛しきアウトロー」
原題:The Old Man & the Gun
監督:デビッド・ロウリー
製作国:アメリカ
製作年・上映時間:2018年 93min
キャスト:ロバート・レッドフォード、ケイシー・アフレック、シシー・スペイシク、ダニー・グローバー、トム・ウェイツ
ロバート・レッドフォードの作品のほとんどは劇場のスクリーンではなく小さな画面ではあったが、「往年」と過去の人では語られない俳優として観ていた。しかし、この部分はリアルタイムで彼と共に人生の時を歩んできた方々とは映画の歴史を辿るように過去作品を観ている世代とは見方が異なってくる部分もきっと多いだろう。
タイトル写真をどちらにしようかと悩んだ、彼はどちらをイメージとして残したいのかと。
勝手に想像したのは、年齢をどれほど重ねようと映画人ロバート・レッドフォードはクールなまま終えたいのかと想像した。
こうした遠めの絵では全く年齢が見えない程、若い日のまま。作品全体にそうした彼が散りばめられ、心残りがないように「ご自身で幕引き」をするために作られた作品、きっと。監督でもある彼は「あれが遺作だった」とは云われたくもなかったはずだ。
スクリーン世界で生きてきた彼へのオマージュ作品。
憎い人も出ず、犯罪は描くが人も殺めず、傷つける人を最小限に、これはフィクションだから可能世界だが、敢えて彼は自身の集大成としてこれを択んだ。台詞にもあった「楽をしたいのではない、人生を楽しみたい」。
本当に、彼の良さと皆が持っているロバート・レッドフォード像を形にしていた。
意外だったのは、ケイシー・アフレック映画復帰が早かったことだ。『A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー』と同じ監督となると、起用は納得でもある。好きな俳優さんなので、うれしい早期復帰でもあった。
監督がおっしゃる「(A)真実の物語、(B)警官と強盗についての物語、 (C)多くの人生を生きてきた人々についての物語。マイケル・マン風の銀行強盗強盗映画、伝統的な警官と強盗の映画を書いてみました。」。
素直にA・B・Cが作品にあったことを確認。また、その警官役がアフレックだったことも出過ぎることなく作品の中では警官と強盗のバランスが取れていた。
多くの人生を歩んだ人、ということでのキャステイング。ベテランの方をはじめシシー・スペイシクさんはとてもチャーミングな存在だった。
「引退作」は択ぶことが出来る。引き際もまた演技。
★★★