「ミッドサマー」
原題:Midsommar
監督:アリ・アスター
製作国:アメリカ
製作年・上映時間:2019年 147min
キャスト:フローレンス・ピュー、ジャック・レイナー、ウィル・ポールター、ウィリアム・ジャクソン・ハーパー、ウィルヘルム・ブロングレン、アーチー・マデクウィ、エローラ・トルキア
家族を失い精神的に立ち上がれなかったダニーがB・Fの所属するグループの旅行へ癒しを求めて同行する。その同行先が一見幸福を絵に描いたような世界のように見え、実はカルト集団だった。
予告での白夜を背景に伝わる不穏な空気と舞台がスウェーデンであることに惹かれたが、主導はアメリカであったことに注意するべきだった。
ホラーは基本的に敢えて見たい類ではないが、全否定はしない。そうした中で北欧で展開する不穏さがどう表現されているいるのか気になり映画館へ足を運んだが、内容的には特別な舞台設定も込み入った展開もない。
話としてはよくあるところの都市から離れたある村で起こる信じ難い行事に訳も知らされず飲み込まれた顛末。
話自体に特化すべきところはないが、ルーン文字を至る所に嵌め込んでいることと、旅行前のアパートに貼られた絵画をはじめ、カルト集団の建築内で見られる絵はこれから起こるだろうことの示唆、薄気味悪いが丁寧にセットが作られている。
組み込まれている話を一つずつ検証してみると、この作品の為の脚本ではなく実際北欧に散らばっている事柄だった。只、それらを一か所に集めてしまうとそのおぞましさ倍加以上の効果となる。
何も知らない部外者がカルト集団の罠(生贄)に飲み込まれた悲劇ではあるが、作品の芯にはダニーとクリスチャンのもつれかかった関係がある。
ダニーを見る限りはこの展開を悲劇だったと全員を括れない。最後に見せる笑みが彼女の清算なのだろう。
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