一週間かけて鳥取を訪ねる:⑥三徳山・三佛寺 奥院 (投入堂)
湖山池周辺で宿泊した翌日の午前中に三徳山に向かう。
三徳山と書いてイメージが出来ない方でも日本一危険な国宝の異名を持つ三佛寺 奥院 (投入堂)であれば知っていらっしゃる方もある筈。その工法は未だ謎のまま。「役行者は法力でお堂を手のひらに乗るほどに小さくし、大きな掛け声と共に断崖絶壁にある岩窟に投入れたと言われています。このことから「投入堂」と呼ばれる。」こうした言い伝えを信じてもいいくらいに奥院をはじめ、崖の上にある鐘楼の重い鐘の存在もどのように運ばれてきたのか想像もつかない。
この投入堂を訪問する為だけにトレッキングシューズ等の登山準備をしてきた。
輪光院を過ぎ二つ目のすり減った石段を前にして、アイルランドのキルメイナム刑務所内の同じように多くの人によってすり減っていた階段を思い出した。
どのような説明も不要な圧巻の風景。
三徳山は投入堂が有名になってしまったがその参道には三つの寺院、天台宗 三徳山皆成院、明治期の姿に復元された正善院、輪光院がある。奥の院を目指す登山だけを目的とせず三徳山自体が持つ空気を楽しむ訪問も十分あり。
これまでに母とも三徳山には訪れていたが、その時は投入堂の登山は全く選択肢には入っていず道路を挟んだ遠くから投入堂を見上げるだけだった。
ヴァチカンのサンピエトロ寺院に入る際に服装チェックの看板があったように此処でも寧ろ命に関わるために丁寧な説明が書かれていた。
実際には服装や靴のチェックを係りの方から受け、入山時間を記入した後三徳山行者道に向かった。
・境内山内はすべて国指定史跡及び吊勝であり、動植物の採取厳禁です。
・投入堂へ参拝をされる際には、必ず二人以上、また両手が使えて運動のしやすい格好でおこしください。
・スカート・かかとの高い靴・革靴・サンダル・スリッパ・滑りやすい靴、また底にスパイクや金具の付いた靴などの登山用シューズや・ピッケル・ス トックや杖(山道、木の根を傷める為)、 そのほか参拝や修行に適していない格好の方は投入堂参拝受付ができません。幼児は登山できません。 *三徳山三沸寺H.Pより説明の一部
写真を撮る余裕など皆無の道の為、今回は細かい道中の記録写真がない。
途中、何度此処に足を踏み入れたことを後悔したことか。
大学時代登山部にいたパートナーは何の問題も迷いもなく進んでいくが、私には道に見えない道がこれでもかと目前に出現し気力総動員で崖を登っていくしかなかった。
日程消化の上で私の登山スピードは完全な足手まといだった為に、投入堂まであと少しではあったけれども私は文殊堂までとして彼だけが先に進んだ。
体一つで登るだけでも大変な行者道においてどのように建築材料を運んだのか想像もつかない風景が其処にあった。