「クリーピー 偽りの隣人」
監督:黒沢清
製作国:日本
製作年・上映時間:2016年 130min
キャスト:香川照之、西島秀俊、藤野涼子、竹内結子
余程の事が無い限り「映画館で観る」映画として邦画は選択肢に入らない。
申し訳ないがあまりにTVドラマ的で裏切られ続けるとこうなる。TVドラマ的とは、例えば会話で全てを説明しようとする、音楽(効果音)が死んでいる、最悪は余韻を怖がって不要な「解説」を最後に長々と置く。
随分前の映画になってしまったが2006年「ゆれる」で香川氏の演技に触れてからは彼の出演の映画には食指が動く。*「ゆれる」は今でも好きな邦画作品の一つ。今回の作品も香川氏の怪演と云ってよいほどの演技にひたすら全編救われている。声だけでも、差し出した手の先だけでも、暗転した中での判別し辛い表情でも、つまり、躰全体どころか「parts」でもぞくっとさせる演技をしていく。
原作は未読でのreview:脚本は所々論理展開の甘さがあり残念だったが流れに水差すほどまでは酷くない、綻びが幾つかというところか。
評価が分かれるのは説明過多ではない為「辻褄合わない」と勘違いされているように見える。言葉(会話)では具体的に述べなくとも動作としての演技、小道具、効果音が巧みに会話を補っていて辻褄に問題は無い、甘さがあるだけだ。この映画は殺人の段取り説明を描きたかったのではない筈。択べない隣人のひたひたと姿を見せる恐怖が「クリーピー」と映画titleで端的に公言されている。補足、藤野涼子さんを先にキャストに挙げたのは、竹内結子の演技がマイナス点だった為。
この映画もLastに近づいて意味のないcheapなCG(車での移動風景)が挿入され理解できない上、原作は先に云ったように未読だが原作に囚われずの終わり方があったのではないか、と結果★3。時間配分を間違い、後半に関しては特にLastは不足故の雑さが映る。
★★★
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