「1917」
原題:1917
監督:サム・メンデス
製作国:イギリス・アメリカ
製作年・上映時間:2019年 119min
キャスト:ジョージ・マッケイ、ディーン=チャールズ・チャップマン、ベネディクト・カンバーバッチ、コリン・ファース、マーク・ストロング
1917年、第一次世界大戦さ中。
その日朝、上等兵二人スコフィールドとブレイクが最前線に居る部隊への作戦中止伝令の任務をエリンモア将軍から言い渡される。明朝までに作戦中止の命令を届けられない場合、ドイツ軍の罠の前に仲間1600人の命が危機にさらされる。
作品は、若い兵士二人が24時間というタイムリミットの中で伝令を遂行する姿を描く。
日本の「全編ワンカット」という予告のキャッチコピーの間違いが製作者の皆さんに申し訳ない。見事な編集で全編ワンカットのような絵になっているが、正確にはワンシーン・ワンカットの作品。
34カットで仕上がっているが、それを聞かされていなければ魔法のような全編ワンカットに見えることは確かだ。加えて、その臨場感はカメラの視線が兵士の視線で動くため切り取られた計算し尽くされた絵というよりもドキュメンタリー映画のようである。それでも、見事なカメラワークだった。
全編セットの効果は作品に十二分に反映され、タイムスリップしている錯覚を起こさせる。
第一次世界大戦と第二次世界大戦は戦い方に大きな差がある。この若い一兵士の伝令が戦局を左右する時代が、兵士と伴走するカメラワークがあるからこそ丁寧に息遣いまでもが描かれている。
指先の操作でピンポイントに人の命を奪う現代の戦場での死も、人が表立って戦力と動いた過去の戦いでの死も、その戦場で横たわり風雨にさらされる死は誰のための死だったのかと悲しい。
伝令を受けたマッケンジー大佐が語るように、一つの命が戦場を駆け抜け、多くの仲間の命を一時的に助けても、また、明日になると次の伝令が命を危険に晒していく。
実力派俳優が脇を固めるとあるが、それは云い過ぎている。パッケージの豪華な包みやリボンのように箱の中身を更に際立たせる役回りに映った。
★★★★