ポストCOVID-19の世界におけるバイオプロセス
バイオプロセスは、過去30年間で目覚ましい発展を遂げてきました。近年、強力で特異なバイオ医薬品の需要が増加し続けており、中でもモノクローナル抗体(mAb)が牽引役となって、2024年までには1400億ドルの市場規模となることが予想されています。
また、分子生物学と臨床的洞察の発展は、細胞・遺伝子治療、核酸医薬品、次世代ワクチンなど、新たな治療法を支えています。SARS-CoV-2ウイルスによるCOVID-19のパンデミックは、これらの業界に急速な発展をもたらしました。しかし、タイムラインが加速しても、プロセスステップの文書化、安定性、不純物や原材料など、品質や正確性、患者の安全性に対する妥協は許されません。
mAbの製造においては、プロセスの強化、連続製造、シングルユースシステムの採用、故障モード・影響解析、システムのデジタルツイン化、リリース規格のモデル化などにおいて、改善されたことを裏付けするデータが得られています。しかし、細胞ベースの手法が次世代の治療法になるにつれて、細胞治療や遺伝子治療の生物学的なプロセスをより深く理解し、それをプロセスに反映させていく必要がでてきます。
COVID-19ワクチンの開発について
従来の不活化ウイルスCOVID-19ワクチンの取り組みに加えて、4つの新しい種類のワクチン開発がかつてないスピードで上市に向けて進められています。GlaxoSmithKline(GSK)/Sanofi(サノフィ)やNovavax(ノババックス)などは、組み換えタンパク質を用いたワクチン開発を進めています。この従来の技術は長い間、商業用ワクチンに使用されてきましたが、今回のようなペースで開発されたことはありませんでした。このような状況に適切に対応するためには、短期的および長期的な安全性を理解することが重要になります。
AstraZeneca/Oxford社やJohnson & Johnson社などは、COVID-19ワクチンの製造に向けてウイルスベクタープラットフォームを検討しています。ウイルスベクターは、免疫反応を引き起こすための抗原タンパク質を導入するための優れた手段ですが、この形式のワクチンで現在までに承認されたものは2つしかありません。
最も新しいCOVID-19ワクチンは、核酸をベースにしたもので、初めて有効性が実証されました。mRNAのプロセスは、従来のワクチン製造のワークフローとは異なり、酵素を介した転写の後、脂質ナノ粒子によるカプセル化が行われます。これには、米国FDAから緊急使用許可を得たModernaとPfizerBioNTechが含まれています。
90億回分の生産
2019年12月に世界保健機関が発行した「Global Vaccine Market Report」では、2018年のワクチンの年間需要が35億回分に達したと推定されています。COVID-19の登場により、業界では2021年末までに、さまざまな様式のワクチンで約90億回分の生産が見込まれています。
バイオ医薬品の必要生産量を満たすためには、適切な文書化および新規原料への切り替えによる潜在的な不純物管理の改善が必要であり、生産規模拡大時に生じる制約および要求事項を満たし、製品の品質管理、安定性テストおよび関連動物モデルでの移行段階で優れた安全性と効能を評価することが重要です。
Avantorは、「科学の発展を通じてより良い世界を創造する」という企業理念のもと、世界有数のグローバル製薬企業と協力して、ワクチンや治療薬を開発・提供しています。
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