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生産規模と製造工程での課題解決による遺伝子治療の発展

バイオ医薬品の業界を主導する最も革新的なトレンドの1つは、細胞及び遺伝子治療です。遺伝子治療への高い関心は、製造工程の発展と挑戦する機会を生じています 。

Avantorのバイオ医薬品製造担当部署のExecutive Vice Presidentである Ger Brophy博士は、複数のモノクローナル抗体(mAbs)とワクチン製造の経験及びサプライヤーとのコラボレーションで得たバイオ医薬品産業での工程改善戦略を案内しています。Ger Brophy博士とのインタビューで、生産規模と製造工程での課題解決による遺伝子治療の発展可能性について調べてみました。

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Q: 過去一年間、バイオ医薬品業界で注目された細胞及び遺伝子治療は、いくつかの小児がんや不治の病とされる他の疾患を治療する可能性を秘めている次世代療法と知られています。過去一年の間に昨年バイオ医薬品産業は、どのような成功を収め、どのような課題に直面していますか?

A. 細胞及び遺伝子治療の長期的な成功は、規制当局による最初の承認と2019年に製薬産業内のM&A活動から始まりました。
現在、COVID-19によってがんやその他の疾患に関わる新しい遺伝子治療の研究と承認の速度が低下しています。COVID-19による厳しい状況にも拘わらずの中小企業から大企業まで全般的に臨床試験が延期されていますが、現在、遺伝子治療は研究から本格的な製造に発展しています。

Q: 遺伝子治療で商品化される可能性が最も高い治療法と、それを商業化するために最も難しい事は何ですか。

A. 希少疾患治療に対する遺伝子治療の承認は、成功への確実な一歩だと思います。承認された治療に基づき、多発性骨髄腫治療、白血病及びその他のがん治療など幅広い疾患をカバーする研究範囲が拡大するにつれて、遺伝子治療の影響も拡大すると思いますます。

Q: 遺伝子治療薬の製造には、多くの工程上での問題があります。バイオ医薬品産業の発展のために考慮すべき3つの課題は何ですか。

A. 遺伝子治療薬の大量生産には、資源配分の改善と製造技術の革新が必要です。
最初の課題は、接着および包装システムの非効率です。遺伝子治療ウイルスベクターの場合、E6-E16で増加する患者に伝達される治療の規模は、業界が増大する需要を満たす十分な生産ができないことを示しています。工程自体を変更したり、現在の生産方法を維持するために大規模な製造能力を構築する必要があることが確認できます。
次の課題は、工程の標準化です。工程内の変数と失敗モードを削除する必要があります。工程技術の革新は、真の影響を与える可能性があります。これにより、生産システムを標準化することができるので、失敗する可能性を低減できます。シングルユース製品を活用した流体輸送は、工程を縮小し、費用効率を高め、臨床結果を向上させるのに役立つと思います。
さらに、細胞およびウイルス製品の充填/仕上げ要件が違う可能性があるため、賦形剤の技術を改善する必要があります。特に外来生物質に関する様々な分析の標準を適用すべきです。

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Q: モノクローナル抗体と遺伝子治療の主な違いと類似点は何ですか?

A. 自己CAR-T療法の強力な臨床結果にもかかわらず、プロセスが分散している特性と細胞の拡張段階での継続的な問題によってこの治療の拡張への懸念が提起されました。遺伝子治療の場合、薬物の特性は、モノクローナル抗体、ワクチンと組換えタンパク質など、従来の生物学的薬剤と類似しています。
使い捨てバイオリアクター、発酵培地、サプリメントなど、細胞および遺伝子治療薬の製造に必要ないくつかの道具は他のバイオ医薬品と類似しています。ただし、ここにも違いがあります。一例は、懸濁細胞株で生産の最適化に必要なインペラの設定です。
また、ウシ胎児血清や原産地の情報などの発酵成分に対する顧客の感度も高まっています。ダウンストリーム工程の性質と生物学的活性を維持する必要性を考慮すると、アップストリーム工程で使われる原材料による異物の潜在的な流入を最小限に抑える方法の要求が増えています。そして塩化セシウム密度勾配遠心分離、新しい形のクロマトグラフィーなど、従来使用されていない新しい製造方法および部品もあります。

Q: 最後に、次世代の技術やプロセス開発のビジョンは何だと思いますか?

A. 遺伝子治療薬の製造会社と製造をサポートするサプライヤーは、より強固なパートナーシップを開発する必要があります。細胞培養の構成要素、化学物質、使い捨て技術、無菌流体輸送、賦形剤および工程に関する技術などの分野で治療薬の製造可能性を向上させるための新しいソリューションを試してみる価値があります。
テストの初期段階でも、研究データから生じる変動性をより深く理解し、臨床および工程の結果と関連付けることができます。工程でのリスクを排除するためには、滅菌流体輸送技術を使用して閉鎖システムを構築するだけでなく、できるだけ早く手動の段階を実行する事が重要です。
今は新薬の開発、理解及び特徴付けのために基礎研究から拡張されたプログラムが期待される時期です。従って、工程技術の向上と組み合わされた革新的な臨床開発プログラムを推進する必要があります。この二つが一緒であるからこそどちらも継続的に発展する環境を確保することができると思います。私たちは、将来の挑戦に対応する準備が整わなければなりません。

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Avantorは、細胞培養要素、化学物質およびこれらの工程をサポートするシングルユース技術を提供し、細胞および遺伝子治療法の開発を支援することができます。Avantorは、細胞培養、技術開発、無菌流体輸送、充填、包装、賦形剤及び関連技術に関する当社の知識を基にバイオ医薬品企業の大量生産を支援しています。

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