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余命宣告を受けた父が命をかけて教えてくれたこと

〜病気と闘わない〜

 8年前、父が救急搬送されました。

急いで搬送先の病院へ向かい、主治医の先生から伝えられたのは

「余命1か月」

この言葉の意味に思考が追いつかないまま、治療方針の説明が続きました。

先生の言葉が全く入ってこない思考停止状態で、次に飛び込んできた言葉が

「早い方が良いので、どうされますか?」

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 元々父は、前立腺がんで長い間通院していました。

それが全身へ転移して、脳腫瘍の影響で激しい嘔吐が起こり、救急搬送されました。

その脳腫瘍によって、命のタイムリミットが迫っているようでした。

そして、そのタイムリミットを少しでも長くする為に放射線治療を勧められたのです。

搬送された時点で、父の命は予断を許さない状態でした。

なので、放射線治療を急ぐ必要があったようでした。

そんな中、私たち家族は「考える時間が欲しいので、少し時間を下さい」と言いました。

すると先生は「爆弾を抱えているようなもので、これがいつ爆発するかわかりませんので、なるべく早く決断して下さい」と言われました。

思考停止状態でこんな風に言われると、即断してしまいそうですが、私たち家族は不思議と冷静でした。

そして更に、先生にこう質問しました。

「もし、放射線治療をした場合、余命はどれぐらい伸びますか?」

すると先生は丁寧に説明して下さいました。

「その場合、余命3か月です。ただ、人として、つまり意思の疎通が取れる状態が続くわけではなく、どちらかというと、その状態でいられるのは短いと思います」

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私たち家族は、一旦病院の外へ出ました。

しばらくの間言葉は交わさず、それぞれが頭の中を整理していました。

それから、それぞれが思っていることを言葉にしました。

驚いたことに、その言葉は一致していました。

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再び先生の所へ戻った私たち家族は、迫られていた決断の答えを伝えました。

「放射線治療はしません」

これは、私たち家族が父の希望を肌で感じた結果の決断でした。

この決断を聞いた先生は「放射線治療はしなくても、入院してもらいます」と言われました。

入院になるとは思わなかったので、「連れて帰ります」と言うと「今この瞬間にも脳腫瘍が爆発する可能性もあるので、それは無理です」と、強制的に入院となりました。

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「家に帰りたい」と言う父を病室に残して、そっと病院を出ました。

この時の私たち家族は

「絶対に家に連れて帰る」

という思いを強く持っていました。

そしてここから、怒涛の奇跡体験が幕を開けたのです。

つづく・・・

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 ここまでを今振り返って思うのは、思考停止状態の中でも、父にとって最善な選択が出来て良かったことです。

放射線治療をしない方が良いと言いたいのではありません。

「ご家族で決めて下さい」

と、命に関わる最終的な判断を何度も何度も迫られ、その度に苦悩していました。

家族としては、少しでも長く生きていて欲しいので、家族の願望を優先してしまいがちです。

でも、それをぐっと飲み込んで、

「父はどうしたいんだろう?」

と、父の気持ちになって考えたのです。

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