漫画×NFT vol.3 グローバル展開にはまず翻訳
こんにちは。秋月カイネです。
個人活動でも漫画で食べていけるようになれる世界になったらいいなと思ってNFTに可能性を見つけるべく日々活動しています。
NFTでは多くのクリエイターさんが海外スペースに参加して売り込んだり、英語でdiscription(概要)を記載したり…と、積極的にグローバル市場を狙っていくことが必須となっています。
そうなってくると、ストーリーを読んでもらう漫画は、少なくとも英訳版が欲しくなってきますよね。
そこで、NFT界隈のスペースで英語の通訳をしてくださっている双璧のお一人、Tetさんに「漫画の翻訳をお願いしたい件」についてお伺いしました!
今回は事前にDMで拙作を英訳をお願いしたところ、快く相談に乗って頂けるということでしたので、ご厚意に甘えさせていただくことになりました!
英語と言ってもアメリカ英語とイギリス英語は結構違う。
まず、実は英語は大まかに分けてアメリカ英語とイギリス英語、その他エリアの英語などで、単語の言い回しや発音などがかなり違ってきます。日本語でも方言がありますが、そんな感じです。
元々イギリスで使われていた英語ですので、イギリス英語はクラシックな感じで、ヨーロッパが舞台の場合や貴族階級の人が使うイメージとして使われます。一方、アメリカ英語はハリウッド映画やドラマ、SNSでも多く見られるちょっと砕けた若者英語、みたいな位置付けです。アメリカ人からするとイギリス英語は「古臭い」と感じるみたいですし、イギリス人からするとアメリカ英語は「ジャンク英語」なんて聞いたこともあります。
現在はオンラインでエンターテイメントを楽しむ機会も増えたので、おそらく私たちが触れることが多い方の英語はアメリカ英語かなと思います。
作品の翻訳をしたい場合、エンタメ作品でしたらアメリカ英語の方が自然かなと思います。
あとは、その作品の舞台やキャラクターの設定、作風(エンタメか社会風刺か)によって、イギリス英語にすることで作品の完成度が上がることがあります。
翻訳家さんにお願いする場合、その方の得意な英語のスタイルもあります。
今回モデルケースにさせていただいている私の作品の場合、東ヨーロッパが舞台・社交界のシーン有り・食品業界の風刺がベースに有り・でも基本的作風はエンタメ…なので、シーンによってはイギリス英語の方がハマるかも?と言った状態。
そこで、今回はていねこさんをご紹介いただくことになりました!双璧のもうお一人!!
ベースはアメリカ英語とのことですが、舞台の翻訳をなされた事があるそうです!すごいいいいいいい!!!プロやん!!!!!
と言うことで作品を手に、ていねこさんにご連絡させていただくことにいたしましたー!
相場のお値段
とはいえ。
翻訳なんて特殊技能ですし…お高いんでしょう???
と言うことで。気になるのは相場のお値段かな〜と思います。
今までの漫画家さんが自分の作品を翻訳してグローバル展開する場合…
・出版社が翻訳してくれる(今回は除外)・電子マンガ配信代行サービスで翻訳をお願いする (今はなくなったかも)
・漫画翻訳業者さんにお願いする
・英語のできる友人にお願いして拝み倒す
・自分で翻訳…
こんな感じだったかなと思います。
参考までに、出版社で作品が翻訳される場合は、翻訳家さんが出版社に持ち込むなどして翻訳言語が決まるので、残念ながら作家さんが希望して言語を増やせるわけではありません。
外資系などの漫画アプリなどでは翻訳されるケースがありますが、収益が多くないため大手出版社はあまり前向きではないことが多かったです。(現在はわかりません)
翻訳家さんの報酬は、コミックス1冊あたり一ヶ月のお給料くらいかな〜と聞いた事があります。
翻訳サービスを利用する
日本の漫画は世界的にも注目度が高いので、漫画翻訳サービスはいくつかあるようです。
外国語版は翻訳の他にも、オノマトペ、ローカライズなど、より自然な状態で読んでもらうためにはポイントがいくつかあります。そういったことを全て自分でしようとするのは無理があるので、こう言ったサービスは心強いし負担が軽くなりそうですね!
中には翻訳機に入れただけの会社もあるそうなので評判のチェックは必要ですが、いくつか比較してみてもいいと思います。
友人にお願いする
今回私がお願いするのはこちらのケースかなと思います。
せっかくNFTでやろうと思ってるのだし、NFTつながりでお願いしたいじゃないですか〜!
NFTやってるやつ大体友達ってONIちゃんさんも言ってましたし。
で、
現在のNFTの世界はまだあまり人が多くないため、お互いがどれだけ助け合えるかといったことも、一つのステータスのような感じになっている部分があるかなと感じています。「情けは人の為ならず」や「ノブレスオブリージュ」ですね。
とはいえ、「無料でやってよ!」という姿勢はその技術に対して価値を認めないと感じられるため、非常に失礼ですし、今後業界が衰退していく原因になってしまうため、ご厚意を受ける場合以外でするべきではないと思っています。
……そう!!だから!!!
お値段設定難しいんじゃないですか〜〜〜〜〜!!!!!
と言うことで、ここでは参考になる相場をいくつかご紹介したいと思います。
まず、今回ゲストのTetさんとていねこさんでご提示の翻訳NFTサービスの場合
こちらのサービスは、英語圏のスペースへ営業活動をする際のスピーチ原稿の作成を想定したものとなっていて、現在5000字ほどの翻訳で0.4ETHで出品されています。ETHの相場次第になるので変動しますが、一つの参考になるかなと思います。
今回は漫画の原稿であることと、正直言うとお財布事情が厳しいところ…。
そこであらかじめ私自身が翻訳した英文もあったので、0からの翻訳と、私の英訳文の添削を比較し、作業負担がない方で…と言う形でご相談させていただきました。
私の目安は、漫画アシスタント代の日給を基準にして、自分が行った場合の時間に専門手当を上乗せたくらいの見積もりを設定しています。
写植のあるなし、専門用語などの翻訳難易度、全体の調整、スケジュール、他媒体(今回の場合NFT以外の電子書店販売)への利用許可など、その他取り決めに際して確認したい要素もいくつかあります。
何度でも言いますが、母国語以外の言語を扱えるって本当にすごい!!!
ぜひ翻訳家さんに連絡して、一緒に素敵な作品を作りあげて欲しいなと思います!
強い味方、DeepL
まだ翻訳家さんにお願いするほどでは…と言う方にオススメなのが、DeepLと言う翻訳アプリ。
こちらはTetさんも紹介してくださいましたが、かなり精度高いです!私も愛用しております。
ほとんど直感的に日本語を入れても大丈夫。Google翻訳より自然で、場合によっては言い回しや単語も選択する事ができます。超優秀!
使うときに気をつけた方がいいのは、"I"が"We"になっていたり…と言う主語の捉え方。日英の文を入れ替えて確認したり、最低限の文法を理解しておくと、より正確な翻訳にできるかと思います!
便利なサイト!漫画に欠かせないオノマトペと名前
ここはちょっと番外編ですが、自分で英語版を作る時にはオノマトペに困りますよね。そこで参考になるのがこちらのサイト。
こちらはもうちょっと辞典っぽいサイト。
元々日本語は擬音語・擬態語がとても豊富な言語らしいです。
しかも、少女漫画にある「キュン」「トクン」とかは、該当するオノマトペがないとか…!さらに言うなら荒木飛呂彦先生のような「ドギャアアアアン」とか「メメタア」なんて、もうどうしようもないので…
参考程度ですが、なかった場合の対応としては
・ときめき系はハートマークで表現する事が多いみたいです。
・いっそ日本語のまま押し切るパターンとかもあります。
どうにもしっくりこなかったり、別の表現が思いついた場合は、試してみてもいいかもしれません。案外、読者さんは受け入れてくれるんじゃないかなと思います。
また、作品によっては異国のキャラクターを出すこともあるかと思います。そんな時の名付けに参考になるのがBehind the Name。
アルファベット順に男女、国、由来やニックネームなどを調べる事ができます。
海外の漫画事情
英語スペースに凸って売り込む
NFT界隈では本当にいろんな国の方との交流を持つ機会に恵まれます。
日本だけでなく、海外のNFT界隈でも活発にNFT紹介スペースが立てられています。
特に先述の翻訳サポートで原稿を用意すれば、プレゼンもしやすく、アプローチできるかと思います。
なんと、英語でプレゼンの練習をさせてくださる神さまもいらっしゃいます…!!
いきなり凸るのは流石に怖い…というお悩みにも手厚い…!!
ぜひフォローしてスペース参加してみてください!
フランスも漫画大好き!
こちらはゆゆんさん、vivianさんが中心となって開いてくださったNFT日仏スペース交流会。
フランス語圏にはバンド・デシネと言う漫画文化があり、日本の漫画も多くの方に読まれています!
アメリカのようなエンタメ性の高い作品から社会風刺や文化に切り込む作品まで、かなり幅広いジャンルの作品を楽しんでいる印象です。背景的には人権運動などに敏感だったり、同性婚への理解があったり…といった感覚を持っていること、また芸術的に美しい作品は手放しで賞賛されるイメージがあります。
「孤独のグルメ」作者の谷口ジロー先生や「イノサン」作者の坂本眞一先生などは日本人でもすぐに納得できるかと思います。逆に、高橋留美子先生は作品の面白さは理解はされていたものの、評価されるまでには時間がかかったそう…。おそらく最近の「うる星やつら」のポップリメイクはこの辺りのファンの掘り返しを狙った戦略かな、といった背景も感じ取れます。
日本の作家さんが、フランスで作品を発表して日本に逆輸入されるパターンもあります。ippatu先生の「虎鶫 – TSUGUMI PROJECT」がその例かと思います。
広く漫画を読んでもらいたい!と思った時には、フランスもまたファンの多いエリアになると思います。
NFTを通じた交流スペースなどで、チャンスを捕まえるのも良いかと思います!
BLは世界でも人気!だけれども…
もちろんアジア圏も韓国、中国、東南アジアと漫画の人気は高いところだと思います。加えてアジア圏は日本と同じルーツの文化圏なので、共感されやすいことから、少女漫画なども多く楽しまれています。ただ、最近は韓国や中国の作家さんの方が人気が高いかなー?と言った状況です。
日本の出版社の方針の「売れ筋を求めすぎる」面が「似たような作品しか見当たらない」と言うデメリットになっていると聞いたこともあります。
BLは意外と世界中で受け入れられている印象があります。ドイツなどでも人気のようです。
ただ、中国は同性愛がかなり厳しい取り締まり対象となっているので、注意が必要かもしれません。普通に配信している分には(表示されないので)困ることはありませんが、「広めたい!」と言う理由で中国をマーケットに選ぶのは悪手だなぁ…といった感じです。
そんなわけで「友情です!」と言い張るケースもあります。笑。Bromanceと呼ばれるカテゴリーです。
BLやいわゆるサービスカットに至るまでのエロ系表現(NSFW)は、日本が最も緩い国となっています。
そのため、人気があるからと聞いて日本と同じ感覚で売れるだろうと翻訳版を用意しても、国の法整備が原因で「そもそも表示してもらえない」ケースもあるんじゃないかなと考えています。
EU圏内もしばしばルールの規定が変わるため、少しでもセンシティブと判断されるとバンされやすいと言うリスクがあります。実際私がルーマニアに滞在していた時、表示されていた日本の作品はとても少なく、無難なものばかりだったので、エリアシャドウバンの壁はあり得ると思います。
個人的な意見ですが、芸術としての表現の自由と商売としての売り込みは、この辺りを線引きにして判断してみてはいかがかな、と思います。
そんなわけで、「エロ系グロ系こそ我が表現!」と言う方は、センシティブなどを使えば、表現すること自体は問題ないかと思います。BLでも過度な露出表現がなければ(中国以外は)通常の扱いで大丈夫(同性愛が悪いわけではないので)。
認識の違いや倫理観などから問題にされるのは露出表現がほとんどなので、その辺りだけ、相手の方針を尊重するように配慮した方が良さそうです。
個人的には、エロ系で刺激溢れる作品より、埋もれがちな良作が発掘されるかも!?といった方が、世界の多様性に夢がある!と感じる部分です。
日本でももちろん有名な「銀牙〜流れ星銀」ですが、フィンランドですごい人気なのかー!
こんな感じで、自分の作品がどこの誰に刺さるか分からない。好いてもらえそうな場所に投げていくのも良いですが、思いもよらない所から気に入ってもらえるかもしれない!と思うと、ものすごく希望が持てますよね!
結びに
NFTの世界に来てから特に思うのですが、本当にすごい人ばかりなんですよ!!天才しかいない!!!ていうか、クリエイターさんって本当にすごい!!!
なので、自分で自分の才能に蓋をする前に、売り込む国を変えるという選択肢も思い出して欲しいのです。
自分の作品は、まず自分が一番のファンかと思います。だからこそ認めてくれる人に出会えないと、ちょっとしんどい。でも、まだ自分の作品を好きになってくれる人に届いていないだけなら、自分の価値を疑う前に、ファンになってくれる人探しを頑張ってみて欲しいなーと思います。
それこそ、NFTなら自宅からできる!!!
この記事が、あなたとファンを繋ぐ助けになればいいなと思います。
最後になりましたが、今回もスピーカーに上がってくださったTetさん、マップさん、かルルさん、さゆくろさん、ありがとうございました!!
聞きに来てくださったリスナーの皆さん、ありがとうございました!!
そしてなんと
この後、ていねこさんに英語翻訳サポートを受けていただけることとなりましたーーー!!!
その上、日仏交流会のご縁から、フランス語翻訳もサポートいただけることになりましたーーー!!!
もう、もう、本当に感謝です!!!ありがとうございます!!!
これを機に、もう少し出来そうなことも増えたので、NFT漫画、より一層頑張ってみたいと思います!
記事良かったよって方は投げ銭くださると嬉しいです〜!ETHでもpolygonでも大歓迎です☆
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ここまでお読みくださりありがとうございました!
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