他人と自分との距離感
久しぶりの出勤だった。久しぶりに同僚に会った。久しぶりに、人と喋った。
元々人見知りで、距離感を掴むまでに時間がかかる。その割に、この人は良い人だ好ましい人だと思ったら、思いっきり懐く。そういう元来のヒトニガテ妖怪なので、本当に久しぶりに生身の同僚を見て、思わず固まってしまった。メールのやりとりはしている。電話もしている。それでも、生身の体温を持った、生命の勢いを感じるヒトが目の前に現れたことに、心底驚いてしまった。職場に行ったら同僚がいるのは、当然のことではあるのだけれど。
あまりに距離感が掴めず、朝の初めの挨拶とそれに続く軽い雑談の中で、食事処だか美容院だかの話になって(それすら覚えていない)、「最近開いとる店は開いとるけど閉まっとる店は閉まっとるって感じですよね」と思わず言ってしまった。言った後で、あっこの人お笑いとか見るんだったっけなと慌てたけれど、意外と分かる人だったようで、くすくすと笑いながら「本当にそんな感じだよねー」と返してくれた。初めて会った人でもない、そもそも話さなかった人でもない、それでもこんな距離感になってしまうんだなと、本当に本当にびっくりした。始まりの離陸が無事成功したおかげで、今日一日セーフティフライトで会社を終えることができた。よかったよかった。
それにしても、他人のネタを使ってうまく笑ってもらえなかったりすると、勝手にそのネタの持ち主の名誉とか地位とか品格みたいなものを落としてしまったような気持ちになって、自分の発言が宙に浮くことよりそっちの方が厭な気持ちになる。千鳥を面白い芸人のままにできて、よかった。
終わり。
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