『Melody Fair』…Bee Gees
『小さな恋のメロディ』という映画を観た。
もう50年も前のイギリス映画だ。
自粛生活で暇だろうから、と実家から送られてきた荷物の中に母の手書き解説メモが添えられたDVDが入っていた。
映画の舞台はロンドン。主人公は11歳の少年ダニエルと少女メロディ。若すぎる2人のまっすぐな姿やクラスメイトたちの姿に、観ていてとても惹き付けられる。
劇中歌である『Melody Fair』には聴き覚えがあった。人気の映画だったから、街中でもテレビでも聴く機会はあったのだろうが、私の頭の中ではオルゴールの音で再生される。
母に「『Melody Fair』のオルゴールがうちになかった?」と聞いても「ありゃせん」とのこと。
いやでも確かに聴いたよな。引っ越しの多い家族だったけど、これを聴いたのは、あの狭い関東の家でもなく、雪国のアパートでもなく北の大地の二重ガラスのうちでもない。お盆だか年末だかで帰っていた祖母の家・九州の実家の2階だ。
それを伝えると、母は確かめに2階にあがり「やっぱりあった!」と言う。
それは確かに『Melody Fair』のオルゴールで、私が産まれたばかりの頃に姉と一緒に写った写真がはめ込まれているものだった。
そういえばそのオルゴールの紐を引っ張って音を鳴らした記憶があるな。小さい頃、2階の部屋に行くと珍しいものや小さいものがあって、音を立てないようにこっそり階段をのぼっていたなあ。懐かしいな…。
そのオルゴールは、母が母の妹(私の叔母)にプレゼントしたものだったらしい。そして実家の2階は今は亡き叔母の部屋だった。
母はプレゼントしたことすら忘れていたが、それを見つけて思い出し、嬉しそうにしていた。私も嬉しかった。母と叔母と私の記憶に刻まれていたものは少しずつ違ったけれど繋がった気がした。
今日はこの映画に出会えたことで、とても優しい気持ちになれた。