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amazonが描く未来ではお届け物が空を飛ぶ

今回紹介する本は、
amazon 世界最先端の戦略がわかる」です!

著者は、元マイクロソフト社長の成毛眞さんで、最近ではひろゆきとの対談をまとめた本や、自らが運営している書評サイト「HONZ」のレビューをもとに本を出したりと、精力的に活動をされている有名な方ですよね。

今まで経営に関する本は手を出してこなかったのですが、「2040年の未来予測」という本を読んだことをきっかけに成毛さんの他の本を読んでみようと思い、ブックオフでセールされていたこの本を購入しました。

本書が発売されたのは今から4年前の2018年ですので、引用されている数値は大きく変わっているのですが、amazonのビジネスモデルから構想まで、大まかな全体像をつかむのには申し分ないと思います。

amazonで買い物をする私にとっては無視できない、amazonが今後どのように進化を遂げていくのか、夢が膨らむような内容でした!

では、行きましょう!

■amazonは何の会社??

さて、簡単な質問かと思われますが、amazonは何の会社かと問われたらみなさんはなんとお答えするでしょうか?

私からすれば、映画やドラマ、書籍や洋服、日用品まで、ネットでさまざまな商品を仲介する?会社?程度の理解しかありませんでした。

実際の2020年の売り上げの内訳の割合上位3つは以下の通りです。

1位:仕入れた商品による売り上げ・・・47.3%
2位:amazon.comというマーケットプレイスを第三者に仲介した際に生じる手数料売り上げ・・・22%、
3位:AWSと呼ばれるクラウドサービス・・・13.2%

この数字を見る限りamazon.comでの販売ビジネスが大きいように見えます。

しかし、2021年第2四半期決算報告の営業利益を見てみると、全体の77億ドルの約55%を占める42億ドルはAWSによるものなのです!

では、amazonの収益を支えているAWSとは一体どのようなものなのでしょうか?

■AWS=クラウドのデパート

AWS(amazon web service)は超巨大なサーバーのことで、オンライン上であらゆる企業がAWSに入っているシステムを使用することが可能です。

自社でサーバーを用意する必要がないということは、メンテナンスや電力、減価償却費から人件費まであらゆるコストを節約できるわけです。

他社の製品ではなくAWSが選ばれる理由は、安さとすぐに使えるサービスを取り揃えているからだと成毛さんは言います。220種類もの高性能なシステムを、必要な時に必要なだけ利用することができるのです。

ここまでくると、amazonはクラウドサービスの会社ともとらえることができますが、元CEOのジェフ・べゾスの言葉を借りれば、amazonは「ロジスティクス」の会社だと言います。

■amazon=ローマ帝国

ローマ軍が帝国を築くにあたって、「兵站(ロジスティクス)」が勝因のひとつだとする説は有名です。兵士たちは戦いがない間は常に道路を作り続け、「すべての道はローマに通ず」ということわざが現代に残るほど、巨大な道路網を完備しました。

軍団基地が各地に設計され、基地と基地を結ぶ道路も完成されていたので、物資の配達はもちろん、戦場の移動も速やかに行う体制が整っていたようです。

amazonも、ローマ軍と似たような手法をとっています。EC市場では、いかに早く商品を顧客のもとに届けるかが重要になるとし、事業を伸ばすことよりも先に、倉庫やトレーラー、飛行機など、あらゆる物流網を整備することに投資してきました。

また、amazonは設備投資に限らず、挑戦できそうな分野への投資や買収に惜しみなくお金をつぎ込みます。

そのため、amazonの営業利益率は低く、何度も赤字を経験し、2021年は売り上げは日本円で51兆円に上るのに対して、営業利益率3.7%にとどまっています。

営業成績の数字だけに着目するならば経営状況は良くないと判断されてしまいがちですが、amazonでは数字だけでなく、決済の内容を重視した「キャッシュフロー経営」を掲げており、実際に売り上げを出しているため、赤字でも株価が下がることはないようです。

でも、なぜ利益を出していないのに投資できるお金はあるんだ?と私は疑問に思いました。ここにはamazonのビジネスモデルが関係してきます。

■amazon魔法の「商品が売れる前から入金される」仕組み

商品を販売し、現金化されるまでの日数は、一般的に「CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)」で表されます。小売業界では平均して+10~20日と言われますが、これは商品が販売されてから入金されるまで、10~20日かかるということです。

amazonのCCCは、本書が出た2018年当時、約-30日と想定されています。

商品が仕入れされる30日も前からお金が入ってくるという魔法は、著者によって「預り金マジック」と呼ばれています。

amazonが展開しているマーケットプレイスでの商品の売り上げは、まずamazonに直接入り、その後日数を経て手数料を差し引いた額を出展企業に振り込む形になっています。

つまり、預り金とは、購入されてから企業に振り込むまでのお金のことです。この預り金はマーケットプレイスの規模が大きさに比例して増えますし、それによってマーケットプレイスを拡大したり、新規事業に投資したりなど好循環を生むわけです。

しかし、なぜamazonに出店する企業が多いのでしょうか?

■amazonに出店することのメリット

マーケットプレイスとは、その名の通り、商品を自由に売買することができる取引市場のことです。場所を貸して、その地代を徴収します。日本では楽天が代表的な例です。

amazonが展開しているマーケットプレイスでは、基本的にamazonが商品を買い取り、販売し、売り上げの一部を手数料を企業に払います。

楽天とamazonの差は、「商品を自社で保有しているかどうか」であり、amazonが選ばれる理由は、amazonに任せておけば、在庫の管理や販売、配達までまかなってくれるため企業側の負担が減るからです。(AWSと同じような理屈ですね!)amazonとしても、在庫数が多くなれば値段を下げることができ、利用者数も増えることが望めます。

そのためには、自社で物流網を整備する必要があり、この点においてamazonは競合と差別化を図ってきたわけですが、輸送機器をリースしたり、世界中に物流拠点を構えるので、赤字経営になるのも頷けます。

ただ、赤字が続いたとしても徹底して、設備に投資をし続けた経営は、今後教科書にものるだろうと言われるほど評価されているのです。

■amazonを底支えするテクノロジー

amazonがAWSで利益を出していることは上記で説明しましたが、amazonはITの分野で強みを持っています。本書を通して、amazonが生活に欠かせない存在になると感じました。

例えば、数年後、amazonの配達は無人飛行機で行われると言われていますが、その拠点は雲の上に作るとか…!行動パターンを予測して商品を購入する前から配達されるとか…!コンビニでは店を出るだけで自動決済されるとか…。

特許の申請が通らなかったり、法整備が進んでいなかったりと準備段階かと思われますが、最先端の技術が集約された画期的なサービスが生まれることをポジティブにとらえてamazonの動向に注目していきたいです。

おわりに

成功している企業の秘密を知ることも面白いと感じた一冊でした!

amazonが作り出す巨大帝国の中で、私たちの生活が豊かになることを願うばかりです。

では、また!

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