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「小説」ってやっぱり良いもの。
〜今日の一枚〜
福岡天神のジュンク堂移転前最終日に撮った写真。なぜかオードリー・ヘップバーンのコーナーに引き寄せられて、シャッターを切っていました。
こんばんは、お久しぶりです。会社のお盆休みあたりから、妙にやる気スイッチがオフになっておりまして、やっと最近エンジンがかかってきましたので更新致します。
それはそうと、ついこの間はお盆休みでしたね。私も休みの期間、福岡の実家に帰省しておりました。
実家は割と都会の真ん中らへんに位置していて、遊びに行こうと思えばいくらでも行けたのですが、今回ははやる気持ちをグッと抑えて、ほぼ家を出ることなく、ただダラダラとマイホームを楽しみました。
実家に帰ると不思議なもので、違う環境で3年弱も過ごしたとは思えないほどに、当時の生活スタイルを一瞬で取り戻していきました。
久しぶりに母親の手料理を食べたり、テレビを見てゲラゲラ笑ったり、おやつを食べながらゲームをしたり。
一つ一つに少し懐かしさを感じながら、「ああ、こんな感じで過ごしてたなぁ」と心の中で何度も呟いたもんです。
そんな中、久しぶりに自分の部屋で寝ようと思った時ベッドの横にある本棚がふと目に入りました。
浪人時代に息抜きで読み始め、それからちょこちょこ買い集めていた文庫本たち。当時の辛かった気持ちを思い出しながら一つ一つ手に取り、久しぶりに読んでみたくなったので1、2冊山口に持って帰ることに。
その一冊が恩田陸の「夜のピクニック」。個人的にとても思い入れのある1冊です。
なかなか年季の入った出で立ち。
105円の値札シールに時代の流れを感じますね。
本の内容は、高校生がゴールの母校を目指し、丸1日をかけて80kmを歩き続ける「夜行祭」が舞台。
高校3年生の最後の学校イベントの中で、いろんな登場人物の人間関係や心情の変化が本当に綺麗に描かれていて、読み終わった後は爽やかな気持ちになれる、最高の名作です。
特に私も高校時代、80kmの半分の40kmですが、一日かけて歩き続ける「十厘踏破遠足」という学校行事がありまして(下の写真みたいな感じ)、
その時の思い出と重ね合わせながら読むと、頭の中がフワッとして、物語の中にいるような感覚になるんです。海沿いの道を歩くシーンは、まさに自分が歩いた道をくっきりと想像して、潮風の匂いとか頭の中で感じちゃったりしてました。
きっとこのシーンはカラッとした天気で、風が少し強くて、汗が乾いて少し肌寒くなるんだよな、とか。
高校生の時の、想いをうまく伝えきれないあの感じ、俺もあったなー!、とか。
こういう頭の中のファンタジーを現実とごっちゃにして、互いの世界を行き来させる思考って最近なかったなと、読みながら感じていて、
読み終わった後は「ああ、俺ってやっぱこういうの好きだよな」と自然に納得してしまいました。
ビジネス書も自分の意識を高く保つためだったり、知らない世界を知るきっかけになったり、これはこれで必要だとは思うのですが、小説の力というものを今回改めて体感した気がします。
自分なりに整理すると、ビジネス書は作者の考え方や知識をインプットすることがメインだと思うのですが、小説は自分の中にある経験や感情をフィクションを織り交ぜながらアウトプットしていくものって感じですかね。
今回のお盆休み、友達には全然会えなかったし買い物もできなかったけど、小説の良さに気付かせてくれた、という意味では有意義な時間だったのかもしれないです。
今後も文庫本を定期的に読んで、感想をメモしていこうと思います。
それでは、皆様おやすみなさい。