見オワタ『トロイ伝説: ある都市の陥落』
2020年4月からスレッド化してる「見オワタ」
見終わった番組や映画の感想を𝕏に原則ポスト140文字、例外で2ポストで記録するスレ。複数ポストに渡りそうなときも気合で140文字に押し込んでましたが、溢れそうなときは素直に note に書くことにしました。
トロイ伝説 ある都市の陥落
電子書籍で買った『トロイア戦争全史』を読み始めたものの、登場人物が次から次へとでてきてついてゆけず序盤でいったん投げ出してしまいました。
イマドキのコンテンツ消費スタイルに則って、まずわかりやすいネタバレを見て内容を把握してから本編にあたろうとてこの Netflix 番組を見始めた次第。あと、ヤンジャンで連載中のイリアスを下敷きにした現代任侠アクション『イリオス』の解像度も上げたい。
マンガ『イリオス』を、トロイア戦争を理解した上で楽しんでる人、ヤンジャンの読者に果たしでどれくらいいるのかしら?
▼予告編
見終わりました。了解、パリスの審判からからトロイの滅亡までだいたい把握しました。これで『トロイア戦争全史』の読書にリトライできそうです!
全体として、(A)等身大の人間ドラマとして描いてる、(B)ポリがコレの多様性を重視している、の2点が特徴的だった。(A)は、神がぜんぜん神っぽくない、英雄もぜんぜん英雄っぽくなく、個人がバラバラでそれぞれの思惑で動いているって描かれ方。(B)は配役の人種的な分配(でもアジア人は出てこないよ!)、性的嗜好の多様性、リベラル個人主義的な善人たちの描かれ方。
そして総評としては、(1)ポリでコレが足を引っ張ってるのか、(2)新しいトロイ神話二次創作を打ち立てたのか、(3)意外と当時はそんなもんだったんじゃないかの三択に揺れてます。
まず(1)ポリでコレが足を引っ張ってる感は、序盤に英雄アキレウスと大神ゼウスが黒人配役なの納得いかなさを覚えたところ。アキレウスに大英雄のオーラがぜんぜんなく、ちょっと小柄な感じさえするの違和感がパなかった。
しかしアキレウスに関しては物語が進んで、パトロクロスとの親交からその最期までの展開を見ると等身大の人間でよかったかなと評価を改めました。アキレウス、これでええやん。
パトロクロスにカカトが自分の弱点であることを語るシーンから、無双中のアキレウスがパリスにカカトを矢で射抜かれてあっさり倒されるって流れ、あまりにさりげなくてちょっと草です。
ちなみにヤンジャンの『イリオス』に登場する「半神アキレス」は超常的な強さで主人公と対峙します。圧倒的……!
『イリオス』のほうはクサントスがしゃべります。
アキレウス×パトロクロスのカップリングについてはゲーム『HADES』で履修済みだったので助かりました。
しかしゼウス……
ゼウスはときおりギリシアVSトロイの戦争の行方を見守る姿で登場しますが、あまりに普通にそこらへんにいるので初見ぼーっと見てたらゼウスだって気づけなさそう。ほかにもアフロディーテら女神も登場しますが、彼女らも人間となんら変わらない姿でさり気なくあらわれます。人間が人間らしいのはよいけれど、神は神っぽくあってほしかった。分かりづらいって意味で映像的に不親切感がある。
やや不満があるとすればそれくらいで、それ以外は配役について問題ありませんでしたというか、他の主要人物はハマり役がずらりって感じ。そういう意味では、現代の価値観を色濃く反映した人間味あふれる(2)新しいトロイ神話二次創作を打ち立てた、と言えそう。
(2)を目指した結果、(3)意外と当時はそんなもんだったんじゃないかな当時としては普通の世界を描いたんじゃないか?って疑問が湧いてきました。
当時の地中海世界にはギリシャ系からアフリカ系の多様な人種・民族が普通に混在していたのかも?いっけん近代的なリベラル個人主義や多様性を描いているようだけど、結果として当時の地中海世界であたりまえのおおらかさを再現しているだけなのでは?
そこらへんは、『ブラックアテナ論争』とその後展開、最新の学説ではどんな感じなのかかるーく調べようとおもったけど要領を得ず
機会があればちょっと関連書籍などにあたってみたくなりました。藤村シシン先生はなにかコメント出してないかしら。出してなさそう。
アキレウスの物語が結果オーライだったのと並んで、個人的にアガメムノンがだんだん壊れてく描写が好きでした。Red Dead Redemption 2(RDR2)のダッチをちょっとだけ思い出すような。
悲劇の入り口として『イーピゲネイア』のエピソードを丁寧に描くのがよかった。
古代ギリシアの原典、(たぶん)ローマ以降の二次創作、(たぶん)オリジナルの改変をたくみに構成しててよかったです。しかし時代背景や物語を補足するようなモノローグがいっさいないのはガチのトロイア戦記初見さんにはきびしいかも。
トロイア滅亡後のエンディングではオデュッセウスの漂流記『オデュッセイア』、トロイを脱出したアイネイアスのその後を描く『アイネイアース』への含みが残ったので続編もアリエール?
140文字超えそうだからってnoteで書き始めたものの、文字数自由だとこうやっていろいろ無駄話やなんやかんやで時間をめっちゃかけちゃうからやっぱり無理やり140文字に押し込んだほうがよさそうな拳。
ソンジャーネ!
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