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羽生結弦「Notte Stellata 2024」に寄せて

 羽生結弦によるエキシビジョンプログラム「Notte Stellata」は、このプログラムが採用するIl Volvoの楽曲は、シャルル・カミーユ・サン=サーンスの名曲「白鳥」に歌詞を付けたものであり、スケートファンにとっては忘れがたい音楽でもある。

 サン=サーンスの「白鳥」は多くのスケーターに採用され、特に、この曲でジョニー・ウィアーがトリノ・オリンピックで披露した演技は衝撃的だった。彼自身の自己表現でもあるスワンは、ジュディス・バトラーが提唱した、性差を敢えて撹乱する表現で、悪しき言説に溢れ既成概念に捉われた世界に対してポジティブな転覆をもたらす挑戦である「ジェンダー・トラブル」を氷上で演じたのに等しい。ウィアーのスワンはフィギュアスケート史上に残る革命であり、実際この後次第に演技の多様性が広がり、社会規範的ジェンダーのらしさを超えた自由な表現への道が開けた。

 羽生による「Notte Stellata」は、衣装もウィアーのデザインによる、ウィアー=スワンに似ており、独特のスピンやターン等、ウィアーのスワンから継承したエレメントも見られる。したがって、ウィアー=スワンへの敬意とオマージュが込められている。と、私は解釈する。

 羽生結弦が座長を務めるアイスショー、その名も「Notte Stellata」が今年も開催されるので、初日のチケットを入手。古参の羽生結弦ファンであり、ジョニー・ウィアーファンである私にとって、ウィアーが引退した今、そのタイトルから彼の「スワン」のDNAを少しでも継承していると思われるこのショーを見逃す手はない。

会場のセキスイハイムスーパーアリーナ

 氷上のジェンダー・トラブルはウィアーの闘いであり、功績であり、羽生結弦をこの文脈で語るべきではない。彼が到達し、
なおも極めつつある美の世界はそれを既に超越したところにあると私は考える。しかし、「Notte Stellata」というタイトルに、やはりウィアーのスワンの系譜に繋がる芸術性を期待している。

Notte Stellata 開幕直前 2024 3/8

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 上記の内容のエッセイを2024年3月8日の「Notte Stellata」開幕前に書き、投稿したつもりが失敗していたので、第一部終了後の休憩時間にアップしました。
 しかし、冒頭の羽生結弦さん自身のご挨拶を聞き、映像に記された言葉を見て、また、公式サイトに明記されていたことを思い出し、とんでもない勘違いだったと気づき、一旦取り下げました。
 そして終演後、色々考えて、手直しして、見る前の想いとして、やはりアップすることにしました。
 感想は改めてアップしますのでお楽しみに!

参考:
https://gssc.dld.nihon-u.ac.jp/wp-content/uploads/journal/pdf16/16-113-124-Aihara.pdf

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