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日本を「51番目の州」にするとどうなるのか? その②

前回はこちら

計算方法等について

計算元となるデータについて

 前回の記事をお読みいただければわかるが、大統領選挙人団の数を計算するには、日本へのアメリカ下院議員の割り当て数を計算する必要がある。そして、2020年の日米の人口データからそれを計算できる。大体この手のデータは国の統計局ががきちんと発表している。

 アメリカについては United States Census Bureau の発表データを、日本においては e-Stat の発表データをもとにした。計算の際はアメリカのデータは州ごとに用い、日本国内のデータは ① 日本全土を一つの州とした場合、② 日本を北海道、東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄ごとに区分した場合、③ 各都道府県ごとに割り当てた場合、の3通りについて、それぞれの人口を計算し、それに基づいて下院議員の割り当て数を算出した。

計算方法について

 Hill方式については前回紹介したこちらの論文 (大和 毅彦 (2003).議員定数配分方法について――定員削減,人口変動と整合性の観点から―― オペレーションズ・リサーチ,48,23‐29.) に詳しい。計算式さえわかればExcelで十分計算可能な内容である。計算手順は以下の通りである。

  1. 当該地区の人口を任意の基準人口で割り、その商 (n) に対する小数点以下切捨値と切上値 ( それぞれ $${\lceil{n}\rceil}$$、$${\lfloor{n}\rfloor}$$ ) を用意する。

  2. $${\lceil{n}\rceil}$$と$${\lfloor{n}\rfloor}$$の幾何平均 $${\sqrt{\lceil{n}\rceil\lfloor{n}\rfloor}}$$ を計算する

  3. 幾何平均 $${\sqrt{\lceil{n}\rceil\lfloor{n}\rfloor}}$$と (n) を比較する。(n) が大きければ$${\lceil{n}\rceil}$$を、(n) が小さければ$${\lfloor{n}\rfloor}$$を当該地区の議席数とする

  4. これらを全地区に対して行い、3.の総和が議席数 (今回の場合は435) を満たすまで行う

 Excelでするにしても使う関数はせいぜいROUNDUP、ROUNDDOWN、SQRT、IF程度で可能なので、腕に覚えのある人はぜひ挑戦してほしい。

余談

行政区分ごとの人口について

 人口を扱うにあたって日本との比較は重要である。今後の話をイメージしやすくするためにも少しアメリカの州ごとの人口などについて説明する。

 まず、日本の人口は126,146,099人に対し、アメリカの人口は331,108,434人、おおよそ2.625倍である。
 州ごとに見ていくと、人口の11.953%をカリフォルニア州が、8.814%をテキサス州が、6.515%をフロリダ州が、6.105%をニューヨーク州が占めている。アメリカの人口のおよそ3分の1がこれらの州で暮らしているのだ。
 ちなみに上記の州は、アメリカにおける東京都より人口が多い州であり、全て200万以上の人口を持つ。

 では、日本国内国内で人口TOP2である東京都と神奈川県との間にはどの州が来るのか?順にあげていくとペンシルバニア州、イリノイ州、オハイオ州、ジョージア州、ノースカロライナ州、ミシガン州、ニュージャージー州が来る。ここまで名前が出てきた11州のみでアメリカの人口の57%をカバーしている。

因みに日本だと東京、神奈川、大阪で全国人口の25.5%しかない。

 翻って最下位はどうだろうか。
 都道府県で人口が最小なのは、皆様ご存じの通り鳥取県である。アメリカの州においては鳥取県より人口の少ない州はない。では、都道府県のブービーである島根県との間に州は来るのか?
 答えとしてはバーモント州とワイオミング州がその間に挟まれている。政令指定都市内で人口最小の静岡市ですら島根県より人口が多く、また、23区を除く市町村ランキングで静岡市は15位に入ることから、これらの州の人口の少なさが想像いただけるだろう。

次回予告

次こそは計算結果まとめて書きます。乞うご期!
https://note.com/australopithecus/n/n854af60a1771

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