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ベルリンフィルハーモニー・バレンボイム指揮・アルゲリッチピアノでベートーヴェンピアノ協奏曲2

ベルリンフィルハーモニー・バレンボイム指揮・アルゲリッチピアノでベートーヴェンピアノ協奏曲2とブラームス交響曲3番を聞いてきた。
チケットは30分で売り切れたと聞いて、行きたかったなあ…と言っていたら、娘の友達のお父さんが「オーケストラ・チケット」という「自由席」のチケットをくださった。

外には、チケットを売ってくださいという紙を掲げた人が何人もいて、
館内に入ると、ここしばらく見ないくらいのすごい人混みと熱気。
娘の音高友達も何人も来ていて、音大生らしき人もたくさん見かけた。

私たちのチケットは、空席があればどこでも座って良いというチケット。
今日は超満席だけれど、2つくらい空席あるだろうし、一階正面あたりに行く?というと、娘が「ママ、音が素晴らしい席で聴きたいでしょ?上に行こう?」というのでそういえば、以前ポリーニを聴きに来た時も、これくらい階段を登った記憶がある、と思いながらどんどん登り、C席へ。


C席には、座席が数列と、その後ろには、「立ち見」席がある。
扉が閉まった時に空いている席があれば座って良い、ということだったので、一つだけ見つけた空席に私は座り、娘は壁にもたれて立ち見。後ろには若い子がずらっと立っている。
ステージは遠いけれど、正面から見渡せる臨場感のある良い席だ。

バレンボイムとアルゲリッチが登場。
もうそれだけで感極まった感じの割れんばかりの拍手。

わかる。
私も2016年に越して来てからこの二人のコンサートには何度も足を運んだ。
去年あたりから、コンサートの予定があっても、本当に出てこられるかどうかわからない感じで、今日も実際に二人の姿を見るまで、半信半疑だった。

最初の拍手の瞬間から、音がステージに近い席と違う。
360度音に包まれている感じ。ベートーヴェンの第二楽章のピアノの繊細な音が本当に柔らかくまろやかに立ち上ってくる。ブラームスのピアニッシモのヴァイオリンのパートでは、まとまりのある小さな音が、すぐそこで鳴っているよう。ホルンなどの音も素晴らしく美しく、そして調和が取れている。

ピアニストの手元がよく見える、ステージに近い左側の席を好んで来たけれど、その席だとヴァイオリンの音が響きすぎ、ピアノがよく聞こえないけれど、この席ではピアノが引き立つ絶妙なバランスだった。

(しかしステージの上では、お互いの音がうまく聞こえないだろうに、どうやってこのバランスや響きを知るのだろう?不思議だ)

後半は空席がなかったので、階段に座り壁にもたれて、目を閉じて聴く。
下の高い席では、許されないけれど、この席?では許される自由。
座ってしまうと全く見えないけれど、目を閉じるとより音に包まれる。
なんだか音楽と自分が混じり合うような不思議な感じ。

ベートーヴェン二楽章が本当に素晴らしく、私も周りの人たちも静かに泣いていた。
二人の年齢を考えたらいつが最後のコンサートになるかわからないけれど、バッハの昔から音楽に情熱を燃やす人が、弟子をとり、教え・・・という伝承が行われて来たおかげで、今ここでこの音楽を聴けるんだな。と思うと、きっと今ここで聞いている若い子の中に今日のコンサートからインスピレーションを得て、素晴らしい音楽家に育ってくれる人がいるに違いない、と感じた。

バレンボイムが、というよりも梶本さんが引っ張っているように見えたし、バレンボイムは、ほとんどアルゲリッチとアイコンタクトを取らず、指揮がずれているように見える部分もあったけれど、この貴重なコンサートを絶対に成功させよう、という演奏者の気持ちと観客の音楽への気持ちが伝わってくるような一期一会のコンサートだった。


そういえば、娘が音高に入ってから、娘にはあちこちから無料でチケットが回ってくるので毎週のようにコンサートに足を運んでいるけれど、私と一緒にコンサートに行くのは久しぶりだった。
彼女が「ピアノは一人オケとか言うけれど、逆にあのオケの人たちが、あの人数で音楽的な表現を作り上げてることがすごい」って感動していたけれど、確かにそうだな・・・。
当たり前に思っていたけれど、考えて見たらすごいことだ。


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