映画パンフ感想:戦慄怪奇ワールド コワすぎ!
映画『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』の映画パンフ感想。
もうね、この映画を観ていないなら観るべきだし、映画館で観ていてパンフ買っていないなら、何をやっているのかと叱責したい。絶買。
で終わりなのだが、蛇足が性分なので以下パンフについて触れる。
【基本情報】
判型:B5縦(右綴じ)
ページ数:24ページ
価格:1000円(税込)
発行日:2023年9月吉日
デザイン:GRAFIGHTER
編集協力:村山章
吉日発行日パンフで、久々の右綴じ右開きパンフ。
【構成】
2-3ページ:映画スチル(3ページ 監督コメント)
4ページ:イントロダクション
5ページ:ストーリー
6-7ページ:キャラ相関図&キャスト紹介
8-11ページ:白石晃士監督ロングインタビュー
12-13ページ:工藤仁役 大迫茂生×市川美穂役 久保山智夏 コワすぎ!特別対談
14ページ:『コワすぎ!』と白石晃士監督とシネマスコーレの軌跡(坪井篤史)
15ページ:映画スチル
16ページ:COLUMN REIJI FUKITSU(不吉霊二)
17ページ:漫画 わたしのコワすぎ体験 怪奇!生きていた箱(投稿者:ふきつれ~じ)
18-20ページ:コワすぎ!シリーズ全作品解説 白石晃士監督のコメント付き!
21ページ:まだまだある!コワすぎ!ユニバース作品/コワすぎ!スピンオフ
22ページ:識者コメント
23ページ:クレジット
【内容】
・キャラ相関図&キャスト紹介
主要キャラは全て紹介。(黒い男のネタバレはなし)
赤い女を演じた南條琴美さんはお化け屋敷で口裂け女を担当していたところ白石監督にスカウトされたとのこと。現在は劇団スタッフでプロの役者ではない。
・圧巻の4ページ!白石晃士監督ロングインタビュー
聞き手・構成:村山章※
「コワすぎ!」シリーズが8年かかった理由について、「戦慄怪奇ワールド」と名乗った理由について、世界観やルールの変更について、監督の中での感覚や価値観の変化について、今回の作品と過去の作品の関係について、エンドクレジットの歌について、などで構成されている。
4ページかつ聞き手・構成の方も作品のファンなので、ファンが聞きたいことを押さえた圧巻の内容となっている。
8年かかった理由は単純に監督が忙しくなって「コワすぎ!」をやるスケジュールが開かなかったから。(白石監督は監督作でほぼ脚本も自分で書かれる方だから『貞子vs伽椰子』『不能犯』『地獄少女』とより大きなプロジェクトが続くと余裕なくなるわな。『地獄少女』の後は新型コロナ期間突入だったし。)
完結編として当初考えられたプロットでは「かまいたち」の怪異を扱う予定で、シネマスコーレ周辺で通り魔事件のようなものが起こる、という設定だった。これはこれで観たかった。
なお、そのかまいたち役も今回赤い女役を演じた南條琴美さんを想定していて、今回のキャラクターで刃物を持っているのはその影響がある。
さらに、某パチンコ関係の会社より、「コワすぎ!」のパチスロ台を作り、その宣伝のための新作映画の製作依頼もあったが、企画者が社内で反対にあい頓挫した。
…オレはパチスロやったことないんだが、ちょっとググってみるとパチンコ・パチスロでホラー系の台がけっこうあるようなので「コワすぎ」シリーズのパチスロ台イケたと思うんだけれどな。パチスロファンは別に知らなくても出れば打つだろうし。
今回「コワすぎ!」シリーズを終わらせるきっかけとなったのは『ツイン・ピークス』の新作シリーズを見て、投げっぱなしでいいんだ、と気づいたこと。『コワすぎ!』ファンはデヴィッド・リンチに感謝しないといけない。
宇野祥平や田中俊介はスケジュールが合わず、前作『超コワすぎ!』から時間が空きすぎたので新しい世界観でリセットしている。
今回の工藤は『ゴーストハンターズ』(1986)のカート・ラッセルのように勢いだけはいいイメージで、「コワすぎ」の方に寄せたキャラクターになっている。
さらに、今回の工藤には、虐げられている女性の存在へ向き合うよう、業界や監督自分自身にも怒りを向けるかたちで行動に反映させている部分がある。
最後の歌については、『超コワすぎ!』で「コワすぎ!音頭」を歌って終わるアイディアをプロデューサーに却下され、今回フリー音源に歌を乗せるかたちで実現させたもの。
『コワすぎ!』シリーズは今回で本当におしまい。
…って監督は言っているが気が変わらないか期待してしまうのがファンの性というものです。
※25年以上映画ライターとして活躍されている方。ハル・ハートリー監督作の広報や配給業務も担当されている。
・コワすぎ!と言えばこの人たち、という大迫(工藤)×久保山(市川)対談
聞き手・構成:村山章
二人のインタビュー記事があまりないことについて、白石監督の大迫茂生へのイメージについて、毎回脚本を読んで思うこと、業界の性加害問題について思うこと、今回の立場(工藤:プロデューサー 市川:ディレクター)変更について、などで構成。
インタビュー記事があまりないことについて、大迫さんが漫画『ドラゴンボール』で例えたところが秀逸。要はみんな『コワすぎ!』シリーズのキャラクターと俳優を同一視しているってことよね。(役のイメージで画一化されて苦しむ俳優もいるのは承知しているが)個人的には素敵なことだと思う。
白石監督は工藤役に最初盟友である宇野祥平を想定していた。大迫さんが言うように(作品が)全然違うものになったと思う。
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