映画パンフ感想:燈火(ネオン)は消えず
映画パンフレット『燈火(ネオン)は消えず』の感想。
※ヘッダ画像
2008年の香港ネオン(旺角)(一部下をトリミング)
クリエイティブコモンズ2.0
出典:https://www.flickr.com/photos/seeminglee/2348861716/in/photostream/
【基本情報】
判型:縦255mm×横181mm(左綴じ)
ページ数:32ページ
価格:800円(税込)
発行日:2024年1月12日(金)
発行:ムヴィオラ
編集:ムヴィオラ
デザイン:大寿美トモエ
ホチキス止めでなく張り合わせで製本されたパンフになります。いいよね。
【構成】
2-3ページ:映画スチル(2ページ 金馬奨最優秀主演女優賞他各映画祭の出品受賞歴、3ページ 主演シルヴィア・チャンコメントあり)
4、12、21ページ:映画スチル
5ページ:イントロダクション
6-7ページ:ストーリー
8ページ:シルヴィア・チャン(張艾嘉)プロフィール
9ページ:シルヴィア・チャン コメント(金馬奨最優秀主演女優受賞時コメント含む)
10ページ:サイモン・ヤム(任達華)プロフィール(コメント含む)
11ページ:他出演者プロフィール
13ページ:スタッフプロフィール(監督、プロデューサーコメント含む)
14-17ページ:アナスタシア・ツァン(曽憲寧)監督 日本独占インタビュー
18-20ページ:レビュー ネオンに願いを―― 『燈火(ネオン)は消えず』のもたらす希望(野崎歓)
22ページ:コラム ネオン今昔、そして未来。
23ページ:香港ネオンアーティスト紹介
24-27ページ:プロダクションノート
28-29ページ:映画スチル(28ページ 識者コメント/海外映画評あり)
30ページ:配給に寄せて(配給会社ムヴィオラ代表 武井みゆきのエッセイ)
31ページ:音楽クレジット/タイトルについて/キャスト/スタッフ
【内容】
・シルヴィア・チャンのプロフィール/コメント
出演映画作のリストが載っている(抜粋)。
シルヴィア・チャンの出演作をあまりちゃんと見ていない不肖の香港映画・台湾映画ファンなのだが、映画に関するコメントおよび金馬奨最優秀主演女優賞受賞に関するコメントが載っているのがいいですね。
映画に関するコメントからは実際にシルヴィア・チャン自身がガラス管を曲げる作業を行っていたことからうかがえる。
またシルヴィア・チャンにとって金馬奨最優秀主演女優賞は、実際に約35年ぶり3度目の受賞になる。
そもそも以前の香港映画界では、ある程度年齢を重ねるとトップ女優は引退する傾向が強かったように思う。
シルヴィア・チャン自身は香港・台湾を中心に活躍していて監督作もあるトップ女優であるが、その女優をして「他の女優が賞を受け取るのを客席から見ることに慣れた」と言わしめた状況が本作の受賞により変わっていくことを望む。
・サイモン・ヤムのプロフィール/コメント
シルヴィア・チャンと同様、出演映画作のリストが載っている(抜粋。全部載せたらめちゃくちゃ多い本数になるからなあ)。
同じく映画に関するコメントが載っているのがうれしい。
湾仔で育った子供時代の思い出とネオンに対する思い入れを語っている。
・監督/プロデューサーのプロフィール/コメント
プロデューサーの単独コメントが載っているのは珍しいかも。
普通はプロダクションノート内とかでコメントが出るぐらい。
2010年の建築法等の改正からネオンの撤去が始まったとのことだが(22ページで触れられている)、企画後、映画の本格撮影前から撤去される可能性が高いネオンを撮影していたとのこと。
・アナスタシア・ツァン監督 日本独占インタビュー
2023年12月14日オンライン取材(通訳サミュエル・チョウ)。
新進の映画監督について長尺インタビューが載るのはよい。
映画企画の始まり、ネオンという題材、主演俳優二人の出演経緯、主演二人のすごいところ、ガラス管を曲げる作業についての俳優たちの修行、エンドクレジット、映画に込めた思い、などで構成されている。
インタビューを読むとかなり時間をかけて企画開発・脚本執筆・撮影が行われたことが分かる。
企画の開始は2016年。脚本執筆開始は2018年。映画製作年は2022年。
撮影時期については明確に記載はないが、コロナ禍ではあるので2021年~2022年頃か。
ネオンについては4つのパターンで再現したとのこと。
①撤去前に撮影済の映像
②過去の記録映像(フィルム撮影された香港・イギリスで見つけられたものを使用)
③CG
④香港ネオン職人ウー・チーカイ(胡智楷)氏による製作
主演二人の撮影裏話はめちゃくちゃ面白い。これだけでもこのパンフの価値はある。
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