オミクロン株が蔓延する前に日本の医療現場ができることとは?
この記事は2022年1月9日投稿です。最新の情報と異なる場合がありますので、ご自身の責任で最新情報をご確認下さい。
2022年1月7日、フジテレビ「バイキングMORE」でオーストラリアの現状について、インタビュー動画が放送されました。
オーストラリアでクリニカルナーススペシャリストとして働く私が、日本の医療従事者の皆さんに、一番お伝えしたかった内容について、改めてまとめてみました。
なぜオーストラリアの医療現場の現状を知る必要があるのか
それは、日本で徐々に広まっているオミクロン株は、すでにオーストラリアで蔓延し、医療現場に大打撃を与えています。
つまり、オーストラリアの医療現場で起こっていることや対応を知ることは、日本の医療現場レベルでも役立てられることがあると思うからです。
本日、準夜勤のナースが40人不足
私が働くシドニーの公立病院は1000床ほどの大きな病院で、ナースの人数が総勢2000人ほど。長期休暇をとっている人も多いなか、オミクロン株の蔓延で深刻なスタッフ不足が昨年末から発生。
先日1月9日には、準夜勤のナースが40人ほど病院全体で不足。看護管理部が残業や臨時出勤できるナースを必死で探していました。
オミクロン株が蔓延する前に日本の医療現場できることとは?
1. 定義の明確化
オーストラリアの場合は、政府が発表している濃厚接触の定義などを元に、各州や各施設ごとの定義を作成。
現場が混乱することなくスタッフの健康管理や適切な対応が取れるようにフローチャートなどが適時アップデートされています。
ちなみに、オーストラリアの場合、デルタ株が蔓延した時とオミクロン株が蔓延している今とでは、濃厚接触の定義が異なっています。
2.スタッフの自宅隔離日数や出勤までのプロトコールの確立と明確化
1で濃厚接触やその他の接触についての定義を元に、濃厚接触から症状の有無により、どのようなプロセスを経て、スタッフは職場に復帰するのかをしっかりと決めることが大切です。
これが国、地域、病院単位で確立されていないと、現場で指揮をとる管理職が個別に判断するという時間の無駄やストレス、管理ミスなどが発生する恐れがあります。
そのためプロトコールは、だれが見ても同じ判断が出来るようにわかりやすく作成・表示する工夫も必要です。
例えば、
・濃厚接触した日から1週間自宅隔離>その後、無症状でPCRもしくは抗原テストが陰性であれば職場復帰可(出勤前に陰性証明の提出することを義務付ける)
・濃厚接触した日から1週間自宅隔離中に症状が出た場合>症状がなくなるまで自宅隔離>症状が亡くなった時点でPCR検査もしくは抗原テストが陰性であれば職場復帰可
このように、明確かつ詳細な記載が必要です。ちなみに、私の職場は更にフローチャートも作成していました。
オーストラリアの「検査と隔離に関するナショナル・プロトコール」は非常にわかりやすく作られていますので、興味のある方は御覧ください。
Publication date: 1 January 2022
Last updated: 7 January 2022
3.スタッフの定期検査
これについては、オーストラリアでも病院単位で対応に差があるようですが、重症患者や免疫力の低下した患者の多い病棟、例えばICUや血液内科病棟などのスタッフに、3日1回など定期的にPCR検査を受けさせているところもあるそうです。
私個人としては、院内で知らないうちに濃厚接触者が続出して、スタッフが自宅待機になったり、陽性扱い患者が増えることによる施設全体のダメージを考えると、この定期検査をする価値はあると思います。
ただし、だれが定期検査を受けるのかなどを明確にしなければ、検査キットの不足や検査機関い不必要な負担を強いる場合もあるでしょう。
多くの医療従事者がオミクロン株に感染することを想定しての準備が大切
2022年1月4日に米疾病対策センターが発表した通り、オミクロン株はデルタ株に比べて感染力は強いため、医療従事者がいくら最新の注意を払ったとしてもたくさんの医療従事者が感染する結果になるかも知れません。
ですから、最悪の事態を想定して、最善の結果を出せるように、国、地域、病院、そして個人が出来る範囲の準備をする必要があると私は思います。
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私は、2020年5月に、COVID-19のパンデミックを受け、ハーバード大学がオンラインで開催した「非常事態におけるリーダーシップ」という5日の集中コースに参加しました。
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この記事は2022年1月9日投稿です。最新の情報と異なる場合がありますので、ご自身の責任で最新情報をご確認下さい。
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