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RQオフセレポート(1/13)①


去る202○年1月13日、某所で行われたルーンクエストのセッションのレポートです。
色んな意味で、私にとって記念すべきイベントとなりましたので、記憶が新しいうちに残しておこうと…
メモも取らずに記憶だけで買いていますので、言動についてはあやふやなところもありますが、ご容赦ください。


神は突然舞い降りた

「水野良先生も参加されます!」
正月ボケした頭を吹っ飛ばすくらい、この言葉は衝撃だった。

ええええ!
そんな! まさか!
オリンポスの十二神の一柱が、こんな簡単に召喚されていいの?

TRPGバブル世代の夫と違って、私はバブル崩壊世代。
水野良先生なんて、神も神。
天上界の人間だった。
そしたら今度は
「清松みゆき先生のご参加あり」
との言葉が!

あわわわ。
オリンポスの十二神のもう一柱じゃないですか!?
これで大神まで召喚されたら(ガクガク)。

さすがにそこまでの奇跡はありませんでしたが(しかし会場に安田先生のサインがあったので、一度は召喚に成功しているらしい)、こんなチャンスは一生に一度あるかないか。
思い切って飛び込んでみよう!

とは残念ながらならなかった。
ルーンクエストはTRPGの中で一番好きなゲームで、私の人生を変えたと言っても過言ではない特別なゲームだった。
多彩なカルト(宗教)、多様な世界観。
しかもそれがあえて不完全に成立されているという、水野良先生曰く「美しい世界観」のゲームだった。
もともとギリシャ神話やアーサー王伝説などの神話・伝説のたぐいが好きだった私は、この不完全さが美しい世界観にのめり込んでしまった。
そして国立大学法学部から私立大学文化人類学科へと編入してしまい親をさんざん泣かせるハメになってしまう。
それほどの特別なゲームに、神のような存在が降臨しているセッションなんて私如きが参加していいのか!?
いやこれは、長い長い大暗黒期もルーンクエストを愛する火を失うことなく研鑽して来た人たちのものではないのか?
そう言った遠慮が10%
仕事が忙しいが30%
TRPGをやめてしまって20数年のブランクに自信がないが50%
で、ギリギリまでグズグズしていて、
あー、もう締め切ってるよね〜
と半ば諦めた時、
「残り3枠!」
の文字が踊った。

ルーンクエストと水野先生と清松先生への愛情90%!
成功!!

てな感じで突然応募を決めて、「ポチッとな」とばかりに押してみたら本当に参加出来てしまいました。
奇跡はココにあったのか?

集合時間は30分前!

セッション三日前の真夜中、「押すなよ、押すなよ」と言いながら、一時のパッションで応募ボタンを押してしまった私。
毒を食らわば皿までと言わんばかりに夫を巻き込み、無事オフセッションへの参加が決まってしまった。
はいいのだが、何せ20数年ぶりのセッション。
ルールも無い。
ダイスも無い。
基本プレイスタイル(やりたいカルト)も無い。
の無い無いづくしだった。
特に最大難問がこのやりたいカルトが無いだった。

ルーンクエストは、戦士・魔法使い・治療師のような職業でキャラクター性が決まるというより、どの神を信じるかでキャラクター性が決まる。
まぁ、どの神を信じるかでだいたい職業も決まるのだが、神>職業で信じる神の方が大事というイメージだった。
男性か女性か?(性別による能力差は無いが、入れるカルトがある程度限られる)
戦士系か知識系か交渉系か?
ルナー側かサーター側か中立か?
さらには、混沌絶対許さないマンか? 非武装非暴力、争いはやめてか? 武士道は死ぬことと見つけたりサムライか? 大地を汚した男は死ねニストか?
個人の思想・信条までカルトは関わってくる。

どうしよう?
私はルーンクエストで何がしたいのだ?

まるで自分探しの旅をするかの如く、自問自答を繰り返し、たまに若かりし頃のブラックボックスが開いたりして、ウギャーと悶えたり。
そんな私を横目に見ながらボソリと夫が言う。
「水野先生も清松先生も、普通の人だよ」

分かっているわ〜!
これは私のアイデンティティの問題なんだ〜!
決して先生方にいいプレイを見せたいわけでは無いんだよ〜!

結局、行き当たりばったりに当日決めようということで落ち着いた。

ということで、ダイスも持っていないし、セッション前に色々準備があるだろうと会場30分前に着くように出発。
迷うと思っていたけど、あっさり店を発見。
したのはいいが、
え?シャッターが閉まっている???

おかしいなぁ、
ここであってるはずなんだけどなぁ。

と夫とウロウロしていると、前から同じようにリーチングムーンを探している風の人が。

夫「今日のイベントの参加者ですか?」
参加者っぽい人「ええ。早く来すぎたみたいで」

その人はあまり積極的に喋ろうとしなかったので、初対面の人とのコミュニケーションが苦手なのかなと、私たち夫婦はそれ以上話しかけるのを遠慮した。
実際に、次々と参加者っぽい人たちが集まって来たけど、その人は店の影へと入っていって私たちに背を向けた。
そして、シャッターが開いても、中には入ろうとせず、一番後ろからこっそり入ってきた。

「案内は『10時から10時25分の間に来て』という意味で出したのに。何でみんなもう来てるの」とテンパる店長のもと、手洗い・支払いを済ませて、開会式の会場で開始を待つ私たち。
横で夫が「たぶんアレ先生だったと思うんだけど」とブツブツ言っていたけど、私は全く分からず、ルーンクエスト思い出話を参加者と咲かせていたのであった。

「ルーンクエストは戦ったら死ぬから、どう戦いを避けるかがポイントで〜」
「鎧が高いんですよねー。しかも部位ごとにHPが割り振られているから、どこを守るかが問題で」
「死にやすい頭か胸か」
「いや、頭や胸に当たったら死ぬのは当確なので、ここは両脚でしょう。両脚が守られたら転倒を避けられる!」
「両手はいいんですか?」
「盾があるから最悪片手は守られる」
とかとか、懐かしい話がわんさか飛び交う。
「ルーンクエストにハマると他のゲームが物足りなくなって、人生狂わされるよ〜」
「出た!TRPGあるある!」
いやぁ、同好の士と語り合うのも20数年ぶりだから懐かしい懐かしい。
もう、この開会式前30分でお腹いっぱいの気分である。

そして開会式。
「それでは水野先生、挨拶をお願いします」
店長が紹介した先生の顔を見て、文字通り驚愕した。
あの一番乗りしていたコミュ障っぽい参加者は、水野良先生だったのだ!

先生はとてつもなく普通の人でした(失礼)。

遠くのルナー帝国より近くの○○族

コミュ障(断定)の参加者と思っていた人が、憧れの水野良先生と知り、開会式の間、(何か失礼なこと言ったかも〜)とガクブルする私。
ツーショット写真も(ご迷惑では)と言い出せなかったのであった。
間違いなく私の方がコミュ障である。

卓は先生方とは違っていたので、幸いにも
「先ほどは先生と気づかず失礼しました」などという気まずい会話をしなくてすみましたが。
でもねー、やっぱり先生方のロールプレイはそばで見たかったなぁ。
同卓だった人にレポートお願いしたい。いやマジで。
いっそ、先生。リプレイ書いて下さい。
商業誌でも同人誌でも買わせていただきます!

開会式での水野先生の挨拶で、
「この20年まったくアップデートできてませんので」
という言葉になぐさめられながら、あらかじめ割り振られた卓へと向かった。
私の卓のシナリオ名は「剣と盾と夢」。
商人の護衛というベタ展開でありながら、雇用主がルナー帝国人という不穏なシナリオである。
何でも新版ではルナー帝国はそこまで言うほど悪の帝国でも無いのだそうだが、マスター曰く
「90年代のシナリオなので、ルナー(帝国)は悪です」
とのこと。

参加者はルーンクエストが今回初めてという方とブランク20年の私、そしてベテランが二人。その内一人は、東京で18年ルーンクエストを遊んでいたという大ベテラン。

あの大暗黒期を乗り越えられた方なんだ

ヒーロークエストを達成されたヒーローを見るような気分である。
こういう方たちの地道な活動が、今日の奇跡を起こせたのだと思うと、足向けて寝れない。

さて、自己紹介も兼ねて、ルーンクエスト歴や最近食べて美味しかったものなどを発表したあと、マスターから世界説明。
「ぶっちゃけて言うと、あなた方は蛮族です。そして鉄器時代はまだ来ていません。舞台はドラゴンパスという地方のサーター王国です」
「何でドラゴンパスと言うかと言うと、ドラゴンにこの辺りの人は根絶やしにされたからだよ」
「ドラゴンキル戦争」
「そう。ドラゴンをキルする戦争ではなく、ドラゴンにキルされた戦争w」
「で、誰もいなくなった土地に南から移住して来て住み始めたのが、あなた方の先祖です。逆に北からやって来たのがターシュ王国。そしてルナー帝国。ルナー帝国はローマ帝国で、サーター王国はローマ帝国に占領されたケルトやゲルマン民族をイメージしてもらえばOK。ただし、現地に住む人の感覚として、税を取ったりするからルナー帝国は気に入らないけど、それよりいつも牛を奪いに来る隣の村の奴らがムカつくぜ、ぐらいの認識かな」
「遠くのルナーより、近くの対立部族ということですか?」
「そう」
「ちょっといいですか? サーター王国はどうなったのですか?」
「サーター王国はルナー帝国に滅ぼされています。王族は全滅。ルナーの傀儡の王が立っているが、アイツは認めないぜ、と反乱の狼煙がそこかしこから上がっている状態。反乱前夜だと思ってもらえば」
「新版ではいったんルナーを追い出したことになってるけど」
「そこはシナリオの都合上、「まだ」ということで。ということでとりあえずプレロールドから自分のキャラクターを選んでください」
「すみません。どういうキャラなのか分からないのですが。初心者がやりやすいキャラクターってありますか?」
「おすすめはオーランスかなぁ? ただ、このキャラ、ルナーへの憎しみが90%持ってる。依頼主がエティリーズだから立ち位置が難しいかも」
「ざっくりと説明すると、アーナールダはヒーラー。イサリーズは商人。ランカーマイは学者なんだけど、どれも結構強いわ! 本当にこれ入信者? ルーン王クラスなんじゃ!?」
「プレロールドは初心者が扱いやすいように、強めに作ってるという話だけど」
「いや、でも、アーナールダがなんかむちゃくちゃ強くない? バトルアックス55%って何? バービスタ・ゴア並なんだけど(バービスタ・ゴアは戦闘能力が無いアーナールダ信徒を守る女戦士達の神なのですが…)。アーナールダが一番強いのでは!? うん、だから、どれでも大丈夫」
「だったら最後に余ったものにします。どれでもいいので」
「じゃあどうしようかなぁ。七母神も立ち位置難しそうだし。イサリーズやってみようかな。エティリーズとは取引相手ということで」
「エティリーズはイサリーズの娘で、イサリーズを裏切ってルナー側についた神」
「でも特にエティリーズと敵対してる訳じゃ無いですよね。イサリーズの敵はイサリーズという」
「そこは深く考えなくていいですよ」
「じゃあ、僕はオーランスの娘をするかな?ただルナーへの憎悪が90%だから!でも、名誉も90%だから!とにかく暴走しそうだったら、「それは貴方の名誉ですか?」って止めてよ!」
「じゃあ、僕はルナーの脱走兵を」
「脱走兵なの?」
「そう。ファザールの部下」
「ファザール?」
「ファザールはルナーから派遣されたこの辺りの司令官。超優秀な人だったんだけど、優秀すぎて時のターシュ王に嫌われて、罷免されてしまうという」
「僕のはその時に暗殺されかかって、軍を抜けたらしい」
「残りはアーナールダとランカーマイだけど、どうする?」
「どっちがいいんですか?」
「どっちでもいい。どっちも強いから」
「じゃあ、ランカーマイやってみます」

というわけで、プレロールドキャラクターの能力値等をキャラクターシートへ書き写していく。

「マスター、時間大丈夫ですか? 巻いた方がいいのでは?」
時計の針は11時を指していた。
ルーンクエストは筋力や敏捷性などの能力値だけでなく、スキルが細かく存在している。
また、HPも部位ごとに存在し、そのため鎧も部位ごとに割り振らなければならない。
武器はそれぞれストライクランクがあり、その数値で攻撃の順番が決まる。
すでに作られているプレロールドキャラクターとはいえ、書き写さなければならないことはたくさんあった。
「大丈夫ですよ。というより、初心者の方もいますし、キャラクターの把握に時間かけた方がこの後のシナリオでグダら無いという経験が。ここを急ぐとシナリオでグダグダになってしまうんですよ」
確かに、私やもう一人の初心者の方からバンバン質問が飛ぶ。
「ヒョルト人って何ですか?」
「南方からドラゴンパスへやって来たあなた方の先祖のことです」
「エスロリアは?」
「ドラゴンパスの南にある一度はルナーに勝利した大帝国です。だからルナーはエスロリアの内部崩壊を画策して中から崩そうとしているのが、現状かな」
「ヒョルト人の故郷?」
「では無いですね。また別の国です」
「中国がルナー、ペルシャがエスロリアだったらその間の緩衝地帯がこのドラゴンパスだと思ってもらったら近いと思うよ」
「このキャラ、エスロリア語がしゃべれるのですけど、エスロリアから来たというわけでは無いですよね?」
「は? エスロリア語がしゃべれる? さすがランカーマイの学者だなぁ。大丈夫。そのキャラ革命家らしいから、反ルナー同盟を築こうとして覚えているだけだと思うよ」
「なるほど。じゃあ、この古ワーム語って?」
「は? 古ワーム語もしゃべれるの? すごいなぁ。そのキャラ、アーグラスにとって有用な部下になれるよ」
「あるいは、すでにアーグラスの元にいてアーグラスのために覚えたか」
「古ワーム語は自分たちはドラゴンの子孫だと信じている種族、ドラゴニュート族の言葉。ちなみに人間では無いです」
「交流とかあるのですか?」
「どうかなぁ。ちょっと特殊な考え方を持った種族だから。難しいんじゃない? それだけそのキャラがすごいということで。というより、何でココにいるんだ? 内情調査?」
「単純にフィールドワークに出ていると考えているんですけど、ダメですか?」
「ダメではないけど、能力値がすごいことになってるという話。武器の技能もオーランスの戦士より高い」
「革命家ですから」
「ということだね」
「それを言ったらこのイサリーズも武装商人ですよ」
と、キャラクター作成(キャラクターシートへの書き写し)をしながら、スキルとは何か、ストライクランクとは何か、魔法とは何かを教わっていった。
あと、パッションも。
コレは今回の新版から導入されたルールだけど、未訳ゲームペンドラゴンを遊んでいた時から面白いシステムだなと思っていたから、今回の導入はちょっと楽しみだった。

さて、一通り完成したかな、と思ったところで、お腹がぐぅと鳴ってしまう。

「昼ごはんにしますか。ご飯食べながらフレーバーを熟読してもらって、4人の関係性なんかを考えてください」
と、マスターは宣いましたが、猪突猛進のオーランス娘、暗殺者に命を狙われているルナー脱走兵、戦士より戦えそうな武装商人と革命家の学者の接点って???

ブロードソード100%!?

昼ご飯後に自己紹介となった。

ソラーラ「ランカーマイの学者ソラーラです。エスロリア語や古ワーム語がしゃべれます。書物だけではなくフィールドワークもしなくちゃという感じで野に出ました」

ヴァサナ「コリマー部族アーナルドリ氏族ファーナンの娘ヴァサナ。父親がクリムゾンバッドに喰われたので、ルナーへの憎悪が90%ありますが、名誉も70%あります。ルナーなんかぶっ殺せ!となりますが、それは名誉ですか?と言われると大人しくなります」

ヴォストール「七母神のルナー脱走兵ヴォストールです。もともとファザールの部下でしたが、ファザールが罷免された後暗殺されかかったので、軍を抜け出しココに潜んでいます。顔にハレッグに付けられた傷跡があります」
ヴァサナ「は? ハレッグに傷付けられて無事だったの?」
ソラーラ「ハレッグって?」
私「無茶苦茶強い英雄の一人。神様殺してその神様の毛皮を被っている」
ヴォストール「だから、歩く神殿状態の人。ひと?」
ヴァサナ「よく生きていたなぁ」
ヴォストール「うん。だけどハレッグへの恐怖持ってる」
ヴァサナ「そりゃそうだ」

私「イサリーズの商人ハルナス(以下ハルナス)。そこそこいい家の出で王族とも近かったみたいだけど、ハルナスの家はルナーが侵攻して来た際財産を失わなかったので、比較的裕福らしい。だから遠くのルナー帝国より近くのグレイドッグ族。決闘もしていて族長の身内を殺しているので、命を狙われています。ので、同じ一族のヴァサナを用心棒がわりに連れ回しています」
ヴァサナ「ハルナスと幼馴染という設定」
ハルナス「ヴァサナの性格を面倒くさいなと思いながら利用しています」
マスター「では、ヴァサナの手綱をハルナスが持っているということで」
ハルナス「握れてるかなぁ」
ヴァサナ「よろしく〜」
ハルナス「自信ない〜」

かくして、冒険は始まった。

②へ続く

※文章の無断転載は固くお断りします。


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