RQオフセレポート(1/13)③
このページは全文、『ルーンクエスト’90sワールドガイド ドラゴンアトラス』に掲載されているシナリオ『剣と盾と夢』のネタバレを含みます。
特に、最後のオチについて全く配慮をしていませんので、これからプレイヤーとして遊ぶ予定の人、遊ぶかもしれない人は自己責任で読んでください。
あと、相変わらずうろ覚えあやふや記憶で書いていますので、間違いだらけだと思いますがご容赦ください。
とにかくルーンクエストって楽しそうという雰囲気だけ味わっていただければ幸いです。
感情に負け、感情に勝ち
ソラーラ「ヴォストールから説明がありました。蜘蛛はアラクニー・ソラーラの化身、あるいは眷属なんですね」
ヴォストール「アラクニー・ソラーラは時間の神様だから、村の宝物が気になりますね。それは本当にオーランス神由来の宝物なんですか?」
村長「よく知らん。司祭様なら知ってるかも知れないが」
ハルナス「村長とは別にいるのですか?」
マスター「いますよ。どうしますか?」
ヴァサナ「私は村の若者たちのところへけしかけに行ってくるわ!」
ハルナス「大ごとにしないでよ〜」
ヴァサナ「多少のガス抜きは必要よ」
ハルナス「私はとりあえず村の女性たちと商談します。余ってる織物があれば私に売ってほしい」
ソラーラ「私はどうしようかな?」
ヴォストール「プレイヤー的には誰か村の宝物について調べてほしい」
ソラーラ「分かりました。司祭のところへ行きます」
ヴォストール「俺は村の様子を見て回ります」
マスター「ナイウスさんはもう少し村長と話すそうです。で、ここで一つ問題が」
一同「?」
村長「君たちが泊まる宿のことなのじゃが…」
ソラーラ「宿屋とか無いのですか?」
マスター「宿屋があるような村ではない。小さなごく普通の村」
ヴォストール「村長さんが泊めてくれるわけではないのですね」
村長「泊めてもいいが、ルナー人は無理じゃ。若い者たちが何を言うかわからん」
ナイウス「仕方ないですね。私は村の外に野営をします」
ヴォストール「俺も同じだな」
ハルナス「雇い主が外で野宿して、私たちが村長宅に泊まれるわけないですよ。ナイウスさんと同じく村の外で野宿します」
ソラーラ「同じく」
ヴァサナ「仕方ないわね」
マスター「では、泊まる場所の問題は解決したということで、誰から行きますか?」
ハルナス「すいません。私、ちょっとお手洗いに。進めていてください」(部屋から出る)
ハルナス(部屋へ戻って来て)「どうなりました?」
ヴァサナ「私が雄弁にファンブって、言うことが全て逆に聞こえるようになってしまった(笑)」
ハルナス「はい?」
ヴァサナ「つまり、『いつルナー兵を襲うの?』が『ルナーを襲うなんてとんでもない』と言ってるように聞こえる(笑)」
ハルナス「(笑)」
マスター「『ルナーを襲うなんて考えてないよー』(態度悪そうな口調で)」
ヴァサナ「はぁ? ここまでバカにされてあんた達それでいいの?」
若者「うるさい! よそ者が口出すな!」
ヴァサナ「ふん! このふにゃピー野郎!」
一同爆笑
ハルナス「えーと、次は私行きましょうか?」
マスター「はい、どうぞ」
ハルナス「では、織物を集めているであろう女性たちをつかまえて、商談をしながらルナーの学者・パイドロスについて聞きます。技能は商談でいいですか?」
マスター「どうぞ」
ハルナス「60%だから行けるか! ダメだ、失敗!」
マスター「何が聞きたかったのですか?」
ハルナス「パイドロスが何をどこまで調べていたのかを知りたかったのです」
マスター「では、『アイツ、すっごく嫌な奴だったわー』と女性たちの間でも評判がすごく悪かったことだけ分かりました」
ハルナス「あちゃー」
ヴォストール「村を見て回っているのですが」
マスター「じゃあ、村人たちが遠巻きに君のことを見ている」
ヴォストール「なんか、警戒されてるな。どうしよう? 使えそうなスキルが無い」
ヴァサナ「どれどれ。うーん、確かに。この『歌唱』はどう?」
ヴォストール「歌唱でどうするのだ?」
ヴァサナ「歌唱で人を集めて話を聞く」
ヴォストール「やってみよう。子供たちよ、私の歌を聞きたくないか?」
子供「何、何? なんか面白い唄でも歌ってくれるの?」
ヴォストール「そうだ。これは私が本当に出会った英雄の話だ。ハレッグというのだが(笑)」
ヴァサナ「よりにもよってその唄歌う!?(笑)ヴォストールのトラウマ案件じゃない!?(笑)」
ヴォストール「うむ。だからハレッグへの恐怖を判定する(笑)」
ヴァサナ「身を切ってるわねー」
ヴォストール「失敗した」
一同爆笑
(各々子供になり切って)
子供1「このオジサン、なんか声が震えてるよー」
子供2「目が涙目になってるよー」
子供3「オジサン、泣きながら歌ってるよー」
子供4「格好悪〜」
一同笑い続けてしばらく止まる。
剣と盾
ハルナス「(笑いながら)頼みの綱はソラーラさんただ一人に」
ソラーラ「頑張りたいですけど、蜘蛛を混沌だと言ってましたから(笑)」
マスター「ソラーラさんは司祭の元へ行くのですか?」
ソラーラ「はい」
マスター「では、司祭、嵐の声・ジャマイ・ジャッディンの家に着きました」
ソラーラ「トントン。ノックします。『いらっしゃいますか〜』」
マスター「中から声がします。『勝手に入ってくれ! 今、手が離せないのだ!』」
ソラーラ「じゃあ、勝手に入りましょう。お邪魔しまーす」
マスター「それでは、髭を生やした体格のいい男性が机に向かって座っています(イラストを見せる)」
ヴァサナ「すごい立派な体格だな」
ヴォストール「オーランスの司祭は戦士でもあるからね」
ソラーラ「何をしてるのですか」
マスター「近づくと分かりますが、机の上にチェスの盤面みたいなものがあって、その上に駒みたいなものが乗っています。司祭はその盤面に向かっていますね」
ソラーラ「チェスですか?」
マスター「の、ようなものです」
ソラーラ「近づいて声をかけますよ。こんにちは〜」
司祭「なんだ君は?」
ソラーラ「えーと、かくかくしかじかでこの村にやって来た者です。貴方に聞きたいことがあって、ここを訪ねました」
司祭「そうか。では、まずは一戦していかないか?」
マスター「目の前の盤面を司祭は指しますよ」
ヴァサナ「なんだ、こいつ?」
司祭「これか? これは、『剣と盾』というゲームで私が考案した」
ヴォストール「コイツが考案したんかい!」
司祭「私はこれが大好きなんじゃが、村の者で私にかなう奴はいなくなってしまってな、新しい対戦相手を探していたんだ。私とこれを一戦して勝ったら、どんな質問にも答えよう」
ソラーラ「やらなくちゃいけない雰囲気ですか?」
マスター「司祭はニコニコと目の前の椅子を勧めてくるよ」
ソラーラ「仕方ありません。椅子に座ります。何をすればいいですか?」
マスター「INTの対抗ロールですね。ソラーラさんのINTは?」
ソラーラ「20です」
ヴァサナ「うわ! さすがランカーマイ!」
マスター「では、○%で勝てます」
ソラーラ「ギリギリで勝ちました」
司祭「なかなかいい勝負だったな。それで何が聞きたいのだ?」
ハルナス「あれ? 素直に答えてくれるの?」
マスター「答えますよ。なんで?」
ハルナス「いや、このゲーム、この人が作ったんでしょ? だったら負けても『さっきのはルールが間違ってた』とかなんとか言って、ルール変えてくるかな?って」
ヴァサナ「さすがにそんなことはしない! とは言えないよなぁ。何せ、オーランスだから」
ソラーラ「オーランスってそういう神様なんですか?」
ヴォストール「冒険者の神だからね。嘘も方便というか…」
ハルナス「勝てば官軍というか…」
マスター「しません! とにかく質問に答えるよ」
ソラーラ「それでは、この村に伝わる宝物について教えてください」
司祭「うん? 時の魔晶石のことか?」
ソラーラ「魔晶石?」
マスター「この世界の魔晶石は神様の血から出来ると言われてるのですよ。普通は魔力、つまりMPを貯めておくだけのものなのですが、たまに生きた魔晶石があって不思議な力を持っていたりするのですよ」
ソラーラ「時の魔晶石はその生きた魔晶石なのですか?」
司祭「それは私も分からん。だが、言い伝えによると不思議な力は持っているらしい」
ソラーラ「不思議な力とは?」
司祭「石に魔力を与えると、きっかり1分石の中で稲妻が走り続ける」
ソラーラ「え? それだけですか?」
司祭「うむ。それだけだ。だから、村の宝物として大事にはしているが役に立つ物ではない。なのに、あの学者は!」
ソラーラ「パイドロスさん、こちらにも来られたのですね」
司祭「もちろんだ。牛5頭で譲れと言って来たから、塩撒いて追い出したわ!」
一同笑い
ヴォストール「ただパイドロスがその宝を欲しがる理由が分からないな。この人たちが知らない力があるのかな?」
ハルナス「あるいは何かの儀式に使うとか?」
ヴァサナ「何に?」
ハルナス「うーん?」
ソラーラ「とりあえず、司祭にお礼を言って戻りますね」
ヴァサナ「じゃあ、野営地で情報交換しよう」
ハルナス「パイドロスは女性たちにも嫌われているよ(笑)」
ヴァサナ「この村の男どもは腰抜けばかりね。私がルナーを襲いに行こうって呼びかけても誰も乗ってこなかったわ(笑)」
ハルナス「何やってるの、ヴァサナ! というか、ヴァサナが煽っても乗らなかったのだったら、若者たちも口だけなんだろうな(笑)」
ヴァサナ「そうそう(笑)」
ハルナス「そっちは?」
ヴォストール「この村の子供はクソガキばかりだ」
一同爆笑
ヴァサナ「そう言えば聞いたわよ〜。あなた、泣きながら歌ってたんだって〜」
ヴォストール「男にはな、やらねばならない時があるのだ」
一同、しばらく笑い転げる。
不思議なおもちゃ
ヴァサナ「とりあえず、ソラーラの情報が一番確実ね。あとはどうする? 行方不明の狩人を探すか、パイドロスの一行が来るのを待つか、時の魔晶石を探すか」
ハルナス「うーん、パイドロスたちはいつ来るって言ってたっけ?」
ヴォストール「さぁ? 特にいつとは言ってなかったと思う」
ソラーラ「近いうちに、と言っていたような」
ハルナス「後で村長に確かめないと」
マスター「今から行きますか?」
ハルナス「いえ。もう夜だろうし、いいです」
マスター「では、特にすることが無ければ、日を進めます」
ヴァサナ「どうぞ」
マスター「それでは次の日の朝、村が騒然としています」
ヴァサナ「うん? なんだなんだ? 聞き耳を立てます」
マスター「では、行方不明になっていた狩人が死体で見つかったという話が聞こえて来ます」
ヴァサナ「あちゃー」
ハルナス「まずいことになりましたね」
ヴォストール「とりあえず、現場へ行こう」
マスター「現場に行くと、死体の周りを村人が取り囲んでいます。狩人の母親と奥さんらしき人が泣いています。そばには村長さんが渋い顔で立っています」
ヴォストール「近づいて声をかけます。大変なことになったと聞きましたよ」
村長「そうなのだ。今朝早く、彼が飼っていた犬が彼の弓を咥えて戻って来たのだ。慌てて後を追いかけると、このように胸に矢が刺さって彼が倒れていたのだ」
ヴァサナ「矢は彼の矢ですか?」
村長「そうらしい」
ヴァサナ「矢を調べられますか?」
マスター「何を調べるのですか?」
ヴァサナ「矢の羽根の形なんかで誰のものか特定できないかな?」
マスター「うーん、何がいいかな?」
ヴォストール「合戦知識?」
マスター「それは合戦の作法みたいな知識だと…。とりあえず地域知識で」
ヴァサナ「成功したけど、ギリギリだなぁ」
マスター「じゃあ、この辺りで使われている矢の形だ、ということは分かった。誰のものかは知識が無いので分かりません」
ヴァサナ「そりゃそうだ。村長さんはどう思ってるの?」
村長「彼の物のような気もするが、落ちてた物を拾って使うこともあるし、何とも言えん」
ヴォストール「死体が発見された場所を調べたいのだが」
マスター「ん? ココですよ」
ヴォストール「ココ、現場だったの?」
マスター「そうですよ」
ヴォストール「じゃあ、あまり村から離れていない場所で死んでたの?」
マスター「村の外れになります」
ヴォストール「ううん? それが何を意味するのか? とりあえず、捜索で。失敗した」
マスター「特に何も見当たらなかった」
ハルナス「周りに集まっている人たちを観察します。人物評価で」
マスター「何を見ます」
ハルナス「悲しんでいる人ばかりだと思うのですが、別の感情を持ってそうな人を探します」
ヴァサナ「ルナー兵の仕業にして狩人を殺した真犯人を探すのか?」
ハルナス「そういう感じです。成功」
マスター「特にそんな人は見られなかったよ。みんな悲しんでます」
ヴァサナ「貴方たち! コレを見てもまだルナーに従うの!と扇動してみます。雄弁! 失敗!(笑)」
ヴォストール「昨日ファンブったから、誰もヴァサナの言葉を信じないんだな」
ヴァサナ「おかしいわね〜」
マスター「ヴァサナの言葉とは関係ないところで『ルナーを許すな!』って盛り上がっています」
ヴァサナ「あれ〜?」
マスター「で、村長さんはますます渋い顔をしています」
ハルナス「コレがルナーの仕業ではない証拠が必要かなぁ?」
ソラーラ「どうやって?」
ハルナス「うーん、パイドロスを捕まえて吐かせる」
ヴォストール「それは本当にパイドロスの仕業だったら、諸刃の剣になるぞ」
ハルナス「うーん」
マスター「では、みなさん知覚判定して下さい」
ヴァサナ「失敗」
ヴォストール「失敗」
ソラーラ「成功」
ハルナス「成功」
マスター「では、ソラーラさんとハルナスさんは気付きました。遠目に子供が遊んでいるのが見えます。坂道をおもちゃを転がして遊んでいるのですが、そのおもちゃがこう(坂を下から上へと登るように転がす)動きます」
ソラーラ・ハルナス「え?」
マスター「子供たちは遊び飽きたのか、おもちゃを片付けて去ろうとしています」
ソラーラ「呼び止めます」
マスター「どうやって呼び止めますか?」
ソラーラ「えーと、どうしよう?」
ハルナス「私、雄弁が60%あるので、それで呼び止めます! 『おーい!君たち!面白いおもちゃを持ってるね!』成功!」
マスター「子供は止まります。『なに?』」
ハルナス「さっき面白いおもちゃで遊んでいたね。どんなおもちゃ? 見せてくれない?」
子供「ナイウスさんにもらったんだ」
マスター「おもちゃを見せてくれますよ。普通の坂を転がして遊ぶおもちゃですね」
ハルナス「ちょっと遊んでみて」
マスター「坂を上から下へと転がりますね」
ハルナス・ソラーラ「あれ?」
ハルナス「こうやってさっきも遊んでいた?」
子供「そうだよ」
ハルナス・ソラーラ「ううん?」
ソラーラ「さっき、下から上へと転がらなかった?」
子供「そうだよ。びっくりした」
ハルナス「あれ? あなたたちもそう見えたの?」
子供「うん」
ハルナス「本当は違うの?」
子供「そうだよ。今のが普通」
ソラーラ・ハルナス「???」
マスター「子供は『もういい?』と言って、去って行きますよ」
ハルナス「どういうことなのかなぁ。分からないなぁ」
ヴァサナ「合流しますよ。『何? どうしたの?』」
ソラーラ「さっき見たことを話します」
ヴァサナ「何だろう?」
ハルナス「パイドロスが何かしてるのかもしれない。とにかく司祭に時の魔晶石について詳しく聞きに行こう」
マスター「みんな行きますか?」
ヴォストール「そうだな。ここはみんなで行きます」
マスター「では、司祭の家。司祭は忙しそうにしていますよ」
司祭「何だ? 何か用か? 突然不幸があったのでな。私は忙しいのだ」
ヴォストール「ああ、狩人ですか? 蘇生とかできるのですか?」
マスター「ルーン魔法で簡単にできるようになったけど、一般人にはそんな感覚はないですよ。亡くなったらそれまでとして弔います」
ヴォストール「土葬ですか?」
マスター「いえ、火葬です」
ヴォストール「あれ? そういう文化でしたっけ?」
マスター「少なくともこの村はそういう文化です」
ソラーラ「司祭様とゲームをしたいという人を連れて来たのですが?」
司祭「なに? そうなのか? うーん」
マスター「司祭はちょっと迷いますよ」
ヴォストール「どんだけこの人、剣と盾がしたいんだ?(笑)」
マスター「(ダイスを振って)」
司祭「では一戦だけなら」
マスター「誰が行きます?」
ヴァサナ「私INT低いよ」
ハルナス「私かなぁ? 実は19ある」
マスター「では、対抗で」
ハルナス「ダメだ。接戦で負けた」
司祭「うむ。そなたもなかなかであった」
マスター「司祭は忙しそうに去って行きますよ」
ヴァサナ「手詰まりだ」
ハルナス「パイドロスが村に来るまで待ちですか?」
ヴァサナ「だなぁ」
帰って来た狩人
マスター「では、その晩はしめやかに狩人の葬儀が行われました」
ソラーラ「遠くからだけど、ご冥福をお祈りします」
ハルナス「はい。私も自分の神に祈ります」
ヴォストール「俺は祈らない方がいいだろうな」
ヴァサナ「七母神だからね」
マスター「で、次の日。また、イベントです」
ヴァサナ「何だ?」
村長「大変だ! 死んだ狩人が帰って来たらしい!」
一同「はあ!?」
村長「今日の朝、彼がいつもと変わらぬ姿で帰って来て、また出て行ったのだそうだ!」
ハルナス「えーと、(おそるおそる)生きてました?」
ヴォストール「アンデットじゃないかってこと?」
ハルナス「そうです」
マスター「彼の母親と奥さんが抱きしめて出迎えたらしいから、生きてると思うよ」
ソラーラ「本当に本人だったんですか?」
マスター「だと思う」
ヴァサナ「何か変わったところとか?」
マスター「特には」
ヴォストール「出て行く時と同じ動きで帰って来ました?」
マスター「うん?」
ヴォストール「例えば、逆回しのコマのように帰って来たとか」
マスター「?」
ハルナス「あ! 坂を登ったおもちゃ!」
ヴァサナ「時間を逆戻しにしてるかもってこと?」
ヴォストール「かもしれない」
マスター「ん〜、そう言えば服装が若干古かったかも。だいたい2年前に着ていた服かも」
ヴァサナ「そうだ、死体! あ! 火葬! やられたぁ。そういうことか」
マスター「・・・・・・」
ハルナス「本人を追いかける? 追跡あるよ」
マスター「振ってみて下さい。時間が経ってるので、-10%で」
ハルナス「ダメだ。失敗した」
ヴァサナ「どうする?」
ソラーラ「怪しいのは時の魔晶石だよね」
ハルナス「祠に行ってみる?」
ヴァサナ「何の知識も無ければ見つけられないと思うよ」
ハルナス「ダメ元で」
ヴァサナ「ファンブルすると崖から落ちるかも」
ハルナス「無謀かぁ。でも、絶対パイドロスが何かしてそうなんだよね」
ソラーラ「私、魔力感知の魔法持ってる。かけてみていいですか?」
マスター「いいですよ。バトルフェイズではないので、MP消費するだけでいいですよ」
ソラーラ「失敗した」
ヴォストール「成功するまでかければいいと思うよ。MPと時間を消費するけど、かからないわけではない」
ソラーラ「はい。成功しました」
マスター「では、魔力のあるところが光って見えるのですが、ソラーラさんには目に見えるところ全てが光ってます」
一同「ええ!?」
ヴォストール「地平線まで?」
マスター「サーター王国は丘陵地帯なので、地平線はありませんが」
ヴァサナ「じゃあ、山まで。いや、村全体を覆っている感じ?」
マスター「目に見える範囲全てです」
ハルナス「やばい! パイドロスが何かの儀式を行なってるかも!」
ヴァサナ「村全体を覆う?」
ハルナス「そう! グズグズしてられないかも! 家族の愛でも何でも訴えて、村長さんを説得します!」
マスター「どうぞ」
ハルナス「パッションの『家族への愛』成功! 次は『雄弁』! あ!01」
ヴォストール「クリティカルだね」
ハルナス「ここで出る〜?」
マスター「村長は感動していますよ。『村の取引は全てハルナスさんにお任せしたい』」
一同笑い
ハルナス「その話は後から(笑)! とりあえず今は祠の場所を教えてください!」
村長「もちろんだ! だけど一つ確認したいのだが、司祭様にはお伝えすべきでしょうか?」
ハルナス「えーと、どうしよう? みんなに意見を伺うよ」
ヴォストール「いない方がいいでしょう。ややこしくなりそうだ」
ヴァサナ「だね」
ハルナス「OK。司祭様には事後報告で!」
村長「分かりました。あの人ちょっとややこしいですからね」
一同笑い
ヴァサナ「(笑)村の中でもそういう認識だったんだ」
ヴォストール「すぐ剣と盾のゲームに持ち込むから(笑)」
我々は交渉中である
マスター「村長の案内で祠へ行くのですね」
ハルナス「はい。嫌な予感がします」
マスター「それでは山道を分け入って行くと、正面に崖があって、その麓に祠があります(地図を書く)。そして、その祠のそばに人影があります」
ハルナス「やっぱり!」
ヴァサナ「そこで何をしてるの!」
マスター「祠のそばにいる人は振り返ります。視力判定してください」
ヴァサナ「成功」
マスター「ルナーの学者っぽい人とルナー兵らしき人が4人見えました。ルナー兵らしき人たちは、祠の下を掘ってますね」
ヴァサナ「『貴様ら! それはこの村の宝物よ!』、とバイソンで突っ込みます」
ヴォストール「待つんだ! マスター、彼らまでまだだいぶん距離はありますか?」
マスター「もちろんです。遠目で彼らの姿が確認できた距離です」
ヴァサナ「そっか。バイソンで突っ込むのも難しそう?」
マスター「はい。草深いけもの道なので、走らせるのは無理です」
ヴォストール「なら、魔法が届く範囲まで会話をしながら距離を詰めて行きたい」
ヴァサナ「OK!」
ヴォストール「そこはこの村の神聖な場所だ。そこを冒涜する行為は文明人のすることか? ルナー帝国人として恥ずかしいとは思わないのか?」
パイドロス「もちろん、ただとは言ってない! 牛5頭で交換する」
一同爆笑
ヴァサナ「牛にまだこだわっていた(笑)」
ハルナス「この村の宝はたった牛5頭分なんだ?」
パイドロス「ううむ。牛7頭でどうだ?」
一同爆笑
ソラーラ「牛から離れない!(笑)」
マスター「この世界の牛はむっちゃ高級品なんだよ!」
ヴォストール「そうだけど(笑)」
ハルナス「この村の宝を奪うのよ。魔晶石山分けぐらい言えないの?」
パイドロス「では、私たち4、村3、お前ら3でどうだ?」
ヴァサナ「応じるんだ(笑)」
ヴォストール「牛7頭と値段を釣り上げたからな。金銭的価値には興味無いのか?」
ハルナス「みみっちいこと言うわね〜。村6とか言えないわけ?」
パイドロス「そうか? では、村7、私たち2、お前ら1ならどうだ?」
(一同爆笑)
ハルナス「値段が上がる交渉なんて初めて(笑)」
ヴォストール「では、ハルナスの前へ出て、口パクで伝えますよ。『村2、お前ら8にしろ』」
一同笑い転げる
パイドロス「お、おう?」
ヴォストール「分からない人だな。ルナーの威信のためにもちゃんと取り分を増やすんだ! それが、ひいては赤の皇帝のためになるんだよ!」
パイドロス「なんだかよく分からんが、そういうことらしい」
ハルナス「マスター、接敵できるぐらい近づきました?」
マスター「そうですね。そろそろお互いの顔がはっきり分かるぐらい近づきました」
ハルナス「では、『交渉決裂ね!』とブロードソードを抜きます。DEXストライクランクで移動をかけます」
パイドロス「いきなりなんだ? 交渉決裂も何も、こっちはそっちの言う通りにしていただけだぞ(笑)」
一同笑い
マスター「パイドロスを守るように4人ルナー兵が前へ出ます」
ヴァサナ「コレがオーランスのやり方よ! ということで、ルナー兵AとBに消沈をかけます」
ヴォストール「では、俺はCとDに惑いを」
パイドロス「これが文明人のやることか!?(笑)」
ヴォストール「悪いな。郷に入れば郷に従えと言うだろう?」
ソラーラ「そうです!それにその石を掘ってはいけません!何か良くないことが起きます! と、戦います」
ヴォストール「今突っ込むと一人だけ突出することになるよ」
ソラーラ「えーと、じゃあ、待機で」
マスター「じゃあ、順番に」
ハルナス「まず1で移動をかけます。成功」
ヴァサナ「Aに消沈。うーん、POW8ということは無いですね」
マスター「はい」
ヴォストール「Cに惑い。POW10は?」
マスター「かかりません」
ヴァサナ「だいたい12ぐらいかな?」
マスター「ハルナスは何かしますか?」
ハルナス「いえ、私も待ちます」
マスター「では、こちらも特に動きません」
ヴァサナ「来るのを待たれるのはめんどくさいなぁ。ということで2回目の消沈。Bに。12以下ならどうだ?」
マスター「かかりました」
ヴァサナ「やっぱりPOW12ぐらいだな」
ヴォストール「ではDに惑いを。同じく12でかかります」
マスター「残念。Dはかかりません」
ヴォストール「おや?」
ヴァサナ「一人強いのがいるぞ」
マスター「他に行動する人いますか? では、次のラウンドです」
ハルナス「今、突っ込んでもタコ殴りに会うだけだし。うーん、このルーン魔法の魔力消散ってあらかじめかけて、魔法防御のように使えますか?」
マスター「その魔法は違いますね。魔法をかけられた時のカウンターに使うものです」
ハルナス「じゃあ、することがない。待機で」
ソラーラ「私も同じです」
ヴァサナ「では、AとCに消沈をかけます」
ヴォストール「CとDに惑いだな。兵力はできるだけ減らしたい」
マスター「そちらの行動です」
ヴァサナ「これはかかったな。14」
マスター「かかりました」
ヴォストール「Cに。こちらも14」
マスター「かかりました。ソラーラさんとハルナスは待機なんですよね?」
ソラーラ・ハルナス「はい」
マスター「では、こちらの行動。Dが『先生、ありました!』って何かを差し出します」
一同「?」
マスター「よく見ると卵形の石をパイドロスに渡しています。パイドロスは『良くやった!これさえあれば』と嬉しそうに受けとります」
ヴォストール「まさか、時の魔晶石?」
マスター「はい。君たちが時間を稼いでくれたので、こちらも掘る時間がありました」
ヴァサナ「あ、そっか! やられた!」
マスター「ということで、パイドロスは次のラウンドで全力で逃げます」
ハルナス「話し合いの途中なのに逃げるの!」
マスター「いや、話し合いの途中に攻撃して来たのはそっちだろ? 『言ってることが無茶苦茶だぞ』とパイドロス」
一同爆笑
ヴァサナ「確かに(笑)」
ヴォストール「剣抜いてるし、魔法をがんがんかけてるし(笑)」
ハルナス「いえ、ハルナス的にはまだ交渉中です(笑)。交渉の邪魔になるルナー兵を排除しただけで(笑)」
ヴォストール「我々は話し合い中だ。って剣を突きつけながら言うんだな」
ヴァサナ「オーランス的にはOKか?」
ヴォストール「どうだろう? 昔のバイキングも商談が決裂したら襲ってたらしいから。蛮族の交易ってそうなのかも」
ハルナス「倭寇もそうだしね。とにかく、私はイサリーズとして戦闘より交渉を優先させます! 『それが最重要交渉ポイントだ』と言って、追いかけます」
ヴォストール「剣を持った交渉だね(笑)」
ハルナス「交渉中は攻撃しませんよー。交渉が決裂したら分かりませんがぁ?(笑)」
ヴァサナ「首筋に剣を突きつけて、『それでは話し合いをしよう』と言うんだろ?」
ハルナス「さぁ? パイドロス次第ですね」
マスター「次のラウンドですけどね」
ハルナス「追いつけるかな?」
ヴァサナ「いや、追いつける! ハルナスは移動の魔法をかけてるから、走れる距離が2倍だ!」
ハルナス「よし!」
マスター「あちゃー。とりあえずこのラウンドを片付けます。次、行動する人」
ヴォストール「目標変えたらストライクランクが足りないか。Dに惑いかな? 15以下!」
マスター「まだかかりませんね」
ヴァサナ「まさかPOW16以上?」
マスター「さぁ? では次のラウンドです。パイドロスは逃げる」
ハルナス「それを追いかけます」
マスター「このラウンドは移動だけですよ」
ハルナス「十分です」
ヴァサナ「どうしようかなぁ。残ってるDを攻撃するか」
ヴォストール「俺はDを攻撃します」
ソラーラ「消沈と惑いってどれだけ持つんですか?」
ヴァサナ「10ラウンド」
ソラーラ「では、パイドロスを追いかけます」
ハルナス「助かります」
マスター「では先にDの方」
ヴァサナ「攻撃成功!」
マスター「盾の防御成功」
ヴァサナ「じゃあ、ダメージはいいか」
ヴォストール「こちらも攻撃」
マスター「防御成功」
ヴォストール「次行ってください(笑)」
ハルナス「このラウンドはパイドロスを追いかけるだけですよね」
マスター「はい。攻撃できるのは次のラウンドです」
ハルナス「では、追いかけるだけです」
ソラーラ「同じく」
ハルナス「追いついたら、部位狙いで足を狙います。逃さないよ!」
ヴォストール「部位狙いはスキルの成功率が半分になるよ」
ハルナス「だからパッションを振ります。この場合、イサリーズへの忠誠かな? 交渉に成功させたいので(笑)」
マスター「あくまで交渉、と(笑)。じゃあ、どうしようかなぁ。とりあえず逃げるかなぁ。でも追いかけられてるんだよねー。仕方ない。ハルナスに狂気をかけます」
ハルナス「ぎゃぁ!!」
マスター「とりあえず対抗して」
ハルナス「し、失敗! やばい…」
ヴァサナ「まずいなぁ。Dの攻撃はやめてそっちへ応援に行こう。間に合うか分からないけど」
マスター「失敗値は…気絶ですね」
ハルナス「とりあえずその程度で良かった。下手したらSAN値が下がるところだった」
ソラーラ「そうなんですか?」
ヴァサナ「SAN値は別ゲームだから無いけど(ヴォストール「同じゲームデザイナーが作ってるから似ているところはある」)、幻覚見て敵と味方を間違えたり、トラウマを植え付けられたり、精神破壊されたりする」
ソラーラ「やばい魔法なんですね」
ハルナス「そう。もっとも、敵の目の前で気絶してるので、命の危機なことは変わりないけど。死んだかなぁ?」
ソラーラ「じゃあ、魔力消散で消えます?」
マスター「対抗ロールになりますが」
ソラーラ「分かりました。魔力消散をうちます! POW○以下で成功!」
マスター「出目がいいなぁ。成功した」
ソラーラ「やった!」
ハルナス「助かったぁ。ありがとうございます」
マスター「と、そこで別イベントです」
ハルナス・ソラーラ「え?」
マスター「パイドロスが狂気をかけた。ハルナスが気絶した。それをソラーラが魔力消散で打ち消した。のに、手応えがお互いに無い」
ハルナス「えっと、どういうこと?」
マスター「ハルナスさんは、パイドロスが何か魔法を唱えたのに、自分に何も起こらなかった」
ハルナス「うーん、パイドロスが失敗した?」
マスター「目の前のパイドロスも不思議そうな顔をしている。『かかったはずなのに、何でかかってないんだ?』みたいな」
ソラーラ「私の魔法はどうなりました?」
マスター「ソラーラさんの魔法は間違いなくパイドロスの魔法を打ち消しました。が、ハルナスさんが倒れそうになったのを見てかけたはずなのに、ハルナスさんはそもそも倒れてなかったかのように立っています」
ソラーラ「え?」
ヴォストール「時間が巻き戻っている!?」
ヴァサナ「MPはどうなってるんだ?」
マスター「ちゃんと消費してますよ」
ヴァサナ・ヴォストール「あれ? 違う?」
ハルナス「よく分からないから、当初の予定通りパイドロスを攻撃しよう。えーと、イサリーズへの忠誠は…あ、結構低いな。60%だ」
ヴァサナ「この場合、ルーンへの信仰心ということで、ルーンの成功率を振れるよ」
ハルナス「調和のルーンは50%なんですよ」
ヴァサナ「風のルーンは?」
ハルナス「あ、90%ある! あー、でも、交渉への熱意を盛り込みたいんだよねー。イサリーズとしては。うーん、失敗したら後続が何とかしてくれると信じて、イサリーズへの忠誠で! ありゃ、失敗」
ヴォストール「全ての技能がマイナス10%ですよ」
ハルナス「仕方ありません。ブロードソードが40%に。あれ?成功した!」
ヴァサナ「しかもそれ、効果的成功だ!」
マスター「パイドロスは武器を構えていませんから防御できませんよ」
ハルナス「ダメージが右脚に…あ!回った!18だ!」
マスター「それはスパーンと右脚が切り飛ばされました」
ハルナス「やった! 転倒しますね!」
マスター「はい、転倒しました。そして手に持っていた時の魔晶石を落としました」
ハルナス「やばい!拾わなくちゃ!」
マスター「では、パイドロスが落とした魔晶石はコロコロと転がります。そして、それを新たに現れた人影が拾います」
一同「うん?」
ヴァサナ「新手!?」
マスター「みなさん、司祭には一度会ってるんですよね?」
ヴォストール「司祭か!」
マスター「はい。みなさんが見た司祭よりかなり老け込んで痩せています(イラストを見せる)。こんな感じです」
ヴァサナ「別人?」
マスター「司祭の面影はありますよ」
ヴォストール「誰だ?」
ソラーラ「その魔晶石を渡しなさい!」
謎の人物「すまぬが、この魔晶石を譲ってはくれないか?」
ヴォストール「その理由は?」
謎の人物「私は時の声ジャマイ・ジャッディンだ」
ヴァサナ「やっぱり!? でも、何でそんな風貌に? それに『時の声』?」
司祭「私は2年後のジャマイだ」
一同「ええ!!」
司祭「そしてこの村はもうすぐ滅びる」
一同「はい?」
『剣と盾と夢』
ハルナス「え、えーと。(我に返って)話長くなりそうだし、とりあえず倒れてるパイドロスを縛ろう」
ヴォストール「そうだな。Dにお前もこれ以上抵抗するのか?と」
ハルナス「抵抗するなら、パイドロスを人質にしよう」
マスター「ルナー兵4人は大人しく投降するよ」
ヴァサナ「それでは、詳しくどうぞ」
司祭「この村はこの後、ソイツらのしでかした事に怒った村人がルナー兵を襲いに行くのだ」
ヴォストール「まさか、その報復で?」
司祭「そうだ。ルナーの一軍がやって来て、見せしめに村人を全員殺すのだ。一人生き残った私は、何か方法はないかと模索して時の魔晶石の力を知る。そしてこの石を使って時間を巻き戻したのだ」
ハルナス「あ、じゃあ、色々不思議なことが起こっていたのも?」
マスター「そうです。狩人が2年前の姿で戻って来たのも、石が坂道を登っていったのも、司祭が時の魔晶石の力を使ったからです。あと、さっきパイドロスがかけた魔法が無効になったのも」
ソラーラ「時間が巻き戻っていたから」
司祭「そうだ。この者たちを何とかしなければ、村は全滅してしまう」
ハルナス「と言っても…もう何とかしちゃった後だし。このまま生きて返してこの人たちが上へ報告しないという保証は無いし」
ヴァサナ「だったら、クマに喰われたことにすれば?」
ハルナス「え? 熊?」
ヴァサナ「そう。ここでコイツら全員殺して、クマに喰われたように見せかけて、『すいません。助けようとしましたが、遅かったです』て報告する」
ソラーラ「熊如きにルナー兵が4人もいて、やられる? 逆に疑われない?」
ヴァサナ「それが、この世界にはむっちゃ強いクマがいるの」
ハルナス「まさか?」
ヴォストール「ジャガベアか」
ソラーラ「ジャガベア?」
ヴァサナ「この世界の混沌のモンスター。熊の身体にパンプキンの頭を持ってる」
ハルナス「一見可愛らしい姿だけど、無茶苦茶強い」
ヴァサナ「そう。だから、クマに襲われていても助けられなかったという言い訳もたつ。一般人なら絶対に敵わないから」
ハルナス「戦闘員でも普通に齧られますよ」
ヴォストール「爪、爪、牙の3回攻撃だからね」
ソラーラ「それが一番いいのかな?」
ハルナス「うーん、私は反対なんですよね」
ヴォストール「人道的に?」
ハルナス「いえ、例え本当に事故でもそれですまされないのが軍隊のメンツだから。ルナー兵が死んだという事実だけで襲ってくるんじゃないかと思っているんです」
ヴァサナ「生かして帰っても報告しないとは限らないわよ」
ハルナス「そこなんですよね。特にパイドロスはこの程度で諦めそうにない(笑)」
ヴォストール「司祭は何か案は無いんですか?」
司祭「うん?(首を傾げる)」
ヴォストール「?」
お互い無言で見つめ合う。
ヴァサナ「まさか、ノープラン!?」
司祭「とにかく、過去に戻れば何とかなると」
ヴァサナ「うわー、紛れもないオーランスの司祭だぁ!」
ヴォストール「失礼ながらお聞きしますが、何周目ですか?」
マスター「え?」
ヴォストール「いや、時の魔晶石の力って、何回使えるのかな、って。この司祭は何回やり直しているのかなって」
マスター「そんな何回も使えるものでは無いでしょう?」
ヴァサナ「おいおい。現代の我々はループものに毒されているから、成功するまでやり直そうと思うけど、この世界では一回過去に戻れるだけで十分だと思うぞ」
マスター「そうです。時間を一回巻き戻すだけで十分奇跡ですよ。そんな何回もするものではないですし、できませんよ」
ヴォストール「じゃあ、その司祭は本当に行き当たりばったりで奇跡を起こしたのか」
マスター「オーランスの司祭に綿密なプランを期待しないでください」
ハルナス「ダメだ、こりゃ」
ヴァサナ「やっぱりクマに食べさせましょう」
ハルナス「それしか無いかなぁー」
マスター「そうですねぇ。ヴォストールさん、あなたはDが顔見知りだったことに気づきました」
ヴォストール「おお? お前か? 何をやってるんだ?こんなところで(笑)」
ルナー兵士「お前こそ生きていたのか? てっきり暗殺されたと思っていたぞ」
ヴォストール「身分を隠して蛮族共の中で潜伏してるのだ。お前こそ、まだヤツに使われているのか? 赤の皇帝への忠誠はどうしたのだ?」
ルナー兵士「軍を抜けたお前に言われたくない。お前こそ皇帝への忠誠を忘れたのか!」
ヴォストール「だが、このまま軍に所属するのが皇帝への忠誠につながるとは限らん」
ルナー兵士「そうなんだよね。こんなクズ学者にアゴでこき使われることもなかった」
ヴォストール「コイツに忠誠心はないんだ?」
ルナー兵士「百人隊長に命じられたから渋々従っただけだ」
ヴォストール「じゃあ、今回の件を黙っているなら逃していいぞ。もちろん軍には戻れないが」
ルナー兵士「命を助けてくれるなら何でもするぞ」
ヴォストール「よし。こっちは話がついたぞ」
ヴァサナ「後はパイドロスだけだね。でも、コイツはダメだろうなぁ」
マスター「村人の心証は悪いし、司祭は赦すつもりはないと思う」
ヴァサナ「落とし所としてはそんなもんか」
ハルナス「うーん、それでルナー兵たちは納得ですか?」
マスター「では、司祭からハルナスへ」
司祭「誰もが生き残れる道とは虫が良すぎやしないか?」
ハルナス「う」
司祭「ルナー兵が生き残りたいと思って選んだ行動の真意をそなたがとやかく言うのは、傲慢だと思わないか?」
ハルナス「うー、黙って聞きます。もう何も言わないし、手出ししないよ」
司祭「(パイドロスの方を向いて)だが、死にに行くお前への手向に一つ教えてやろう。私が過去へ戻れたのは、お前の研究成果があったからだ。お前の説は正しかった」
マスター「そして、司祭はパイドロスを処刑します」
ハルナス「目を逸らさずに見るよ」
司祭「これで村は無事だろう。礼を言う。お礼がわりに2年後のそなたたちの未来を教えてやろう」
ヴァサナ「お?」
マスター「もちろん未来の司祭が言う2年後なので、今回の件で実際の未来が変わってる可能性もあるよ」
ヴォストール「なるほど。タイムパラドックスが起こるのですね」
ヴァサナ「むしろこの司祭がこれからどうするのかが気になるなぁ」
マスター「とりあえず、ソラーラさん」
ソラーラ「はい?」
司祭「あなたはルナー帝国の議会で演説をしているだろう」
ヴォストール「招聘されたのか?」
マスター「かもしれないし、反乱を起こして議会を占拠してかもしれない」
ソラーラ「そっちの方がこのキャラクターぽい」
マスター「どっちかは司祭は教えてくれません。で、ハルナスさん」
ハルナス「はい」
司祭「そなたはダックとトロールの交易路を開拓するであろう」
ハルナス「ダックとトロール??そもそも交易が成り立つの?」
ヴァサナ「うーん、ダックがトロールレストランに一匹、また一匹と消えていって帰ってこないパターンだな」
ヴォストール「それは奴隷市場や!(笑)」
ハルナス「トロールから食糧はちゃんと仕入れますよー」
ヴォストール「それをダックに与えて、まるまると太れよ、と(笑)」
ヴァサナ「ダックとトロールの三角貿易の確立か(笑)」
ハルナス「ブラックだ。本当にそうなの?」
マスター「確立するかもしれないししないかもしれない(笑)。どんな交易かは司祭は教えないよ。で、ヴァサナさん」
ヴァサナ「はいよ」
司祭「あなたは来たるべき英雄戦争で活躍するだろう。ただし、貴女が率いる部隊は貴女以外全滅する」
マスター「もちろんなぜかは教えてくれません」
ヴァサナ「ふむふむ。ま、戦えたならいいですよ」
司祭「ヴォストールよ。そなたはハレッグと戦って死ぬ」
ヴォストール「仕方ないな。むしろ1回戦って生きてる方が奇跡だ。2回目は無いだろうな」
司祭「だが、背後からの傷で倒れるわけではない。倒れる時は正面からだ」
ヴァサナ「逃げずに戦ったということね。良かったじゃん」
ヴォストール「まぁな。自分だけが残って部隊が全滅するよりは遥かにマシさ」
ヴァサナ「分からないわよ。未来は変わるかもしれないし、変えるものだし。だから、貴方もどうなるか分からないわよ」
ヴォストール「おう」
マスター「司祭はそれだけ言うと何処かへと去っていきます」
ハルナス「交代するように、逆方向からこの時代の司祭が現れるんでしょ?『お前たち、何やってるんだ』って(笑)」
ヴォストール「その前にルナー兵を逃さなければ。お前ら生きてたらジョンスタウンで会おう。少しは仕事を紹介できると思う」
ハルナス「ファザール派が少し増えたね」
ヴォストール「まぁな」
マスター「では、未来の司祭が消えて現在の司祭が現れたところでエンディングです」
ヴァサナ「エンディング曲が流れ始めるのですね」
マスター「はい。まずは司祭を連れた村長が現れます」
村長「ここで何をしているのですか?」
司祭「オーランス様の祠を侵すような真似はしていないだろうな?」
ソラーラ「大丈夫です。全て片付きました」
ヴァサナ「あ! 魔晶石、あいつ持って行ったままだ」
司祭「魔晶石? まさか、アイツら!」
ソラーラ「いえ、大丈夫です。持って行ったのは貴方ですから」
司祭「は? 私? 何を言っているのですか?」
ソラーラ「話せば長いですよ。そうですね。『剣と盾』でもしながらゆっくり話しましょう」
マスター「その誘惑に司祭は勝てませんよ(笑)」
ヴォストール「相変わらずというか、元の司祭だね」
ハルナス「パイドロスの死体はどうしましょう?」
ヴァサナ「そのまま放置かな? 村人が知ってもいいことないし、何かあった時に隠し切れないかもしれない」
ハルナス「では知らんぷりして村長に話しかけますよ。『村長さん、織物は集まりましたか?』」
村長「おう。狩人も無事戻ってきたおかげで、村もいつもの落ち着きを取り戻してきてな。明日にはナイウスさんに約束した分が集まりそうじゃ」
ヴァサナ「では、我々も帰る準備をしますか」
マスター「村に戻ると村長の言う通り、ギスギスした村の雰囲気が薄れていて、ナイウスさんの周りをまた子供たちが取り囲んでいますよ」
子供「あ!泣き虫オジサンだー(笑)」
ヴォストール「次はお前たちが泣き出すぐらい感動する歌を聞かせてやるぞ!」
子供「次があればねー」
ヴァサナ「フラグを立てるなぁ」
ヴォストール「子供たちの心に爪痕を残してやる。ふっふっふ」
マスター「それは楽しみだ。と、村の若者たちもヴォストールに声をかけてくるよ。ちょっと気持ちが和らいでいる感じです」
ソラーラ「一件落着かな?」
ヴァサナ「そうだね。『ふん!腰抜けども』とヴァサナは悪態づくよ」
ハルナス「まぁまぁ。取引先とは良好な関係を築いておこうよ」
村長「そうですね。ハルナスさん、また来て下さい。待ってますよ!」
ハルナス「もちろん!いゃぁ、いい村ですね(笑)」
ナイウス「いつの間に私は取引先を奪われたのだ?」
ハルナス「まぁまぁ、とナイウスさんの肩を抱きますよ。『こういうのは現地の人間に任せた方が貴方にも得なんですよ。仕入値とかね』」
ナイウス「まぁ、毎回護衛を雇うのも高くつくし、貴方に任せる方がいいかもしれませんね」
ハルナス「でしょう? これからもウィンウィンの関係でいきましょう。ね?」
マスター「と、村長さんに見送られながら村を後にするというところで、エンディングロールです。お疲れ様でした」
一同「お疲れ様でしたー」
④へ続く
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