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NCS Conservation (コイン修復サービス)の実際(その9)

インドネシア独立25周年記念銀貨をNCSに出しました。
5種類あるうちの2枚(200ルピー/250ルピー)にPVC由来の汚れが付着しており、その2枚だけをNCSにかけると5枚全部で見比べて雰囲気に開きが出てしまうかな?と思い、5枚全部をNCSにかけました。0.999Silverです。

どれも全体的に紫色トーンが付いているのでこの雰囲気は失いたくはないのですが、PVCは100%スラブに入らないので、しょーがない!トーンは捨ててスラブ入りを取る!ことにしました。スラブに入れての販売目的です。


一番サイズのデカいのがこの1000ルピー

Before オッさん肖像、スディルマン将軍です。

良い感じの紫色トーンが付いていると思います。若干ミルクスポットも付着しているようですが、全体の雰囲気でこのままでもアリな個体だと思います。

After

やはりトーンは薄まりますね。ミルクも薄まっています。
Beforeを知っていると、全体的に説得力が弱まった感じがします。

そしてヘアラインとダイ側の磨きキズが混在して現れています。画像には写っていないですがスディルマン将軍にもわずかなヘアラインが見られました。これは想像していなかったですね。今、Before動画(この記事の最後)を見直すと見えているので、もっとよく観察しておくベキでした。それでもこの今の状態は想像できなかったかなぁ。。。

このトーンをまとった雰囲気がどれだけ薄まるかというのが一番の焦点でしたが、そこは想像の範囲でした。数字は付いているので鑑定会社としてはクリーンを付けるほどのヘアラインではないということだと思います。

Before こちらがオモテ面ですが国章のガルーダです。

こちらも雰囲気良いなと思います。

After

こちらも同様にBeforeを知っていると迫力が薄まったかなぁという印象です。

一番人気のガルーダ750ルピー

Before 個性的なガルーダバードです。

やはり紫色トーンがええ味だしてます。十分このままでアリな個体だと思います。普通だとNCSはかけないです。

After

あまり変わっていない印象を受けます。若干薄まった感じでしょうか。。。

Before 国章のガルーダ面

ガルーダバード面より重厚な雰囲気があります。紫色のトーンが効いてますなぁ。

After

Beforeを知っていると若干薄まった印象を受けますが、こんなもんでしょうか。。。

個性的なダンサー 500ルピー

Before ワヤング・ダンサーです。

わりとシュッとしたダンサーですね。このままで十分アリな雰囲気です。

After

ダンサーのシュッとさに磨きがかかった感じでしょうか。。。その分コイン全体の重厚さは落ちた雰囲気です。

そしてダイの磨きキズがえらい現れました!かなりトーンが付いていた模様です。これがヘアライン系ならゾッとしますw。

Before 国章のガルーダ面

これはこれでアリな雰囲気だと思います。

After

こんなもんでしょうか。。。

国章面もダイの磨きキズがハデに現れました。両面共にトーンがかなり付いていたようですな。

マンジュシュリー 250ルピー

Before 横から見た文殊菩薩像です。

画像では分かりませんが少々PVC付着しておりNCS本命の個体です。

After

概ね期待通りの結果です。

若干細かいスポットは残っていますが、プルーフ肌がキレイに現れた印象です。

Before 国章のガルーダ面

After

諸々ほぼ落ちた印象です。

クモりが取れてプルーフ肌が現れました。

最小デノミ極楽鳥 200ルピー

Before ベニフウチョウでしょうか?

この個体も画像では分かりませんが少々PVC付着しており、NCS本命です。

After

予想通りな印象でスッキリとしました。

若干ダイの磨きキズが現れています。プルーフ肌はキレイに出ていると思います。

Before 国章のガルーダ面

PVCがなければ、このままでも良さげな状態だと思います。

After

予想通りスッキリしました。

若干細かいスポットは残りつつプルーフ肌が現れていると思います。

全体的な感想

5枚一緒に見たときの雰囲気がかけ離れたらイヤだなと思い、PVCに関係ない個体までNCSをかけました。結果雰囲気は揃ってはいますが、Beforeを知っていると重厚感が薄れたなぁという印象です。今なら雰囲気を揃えるよりは、PVC個体だけNCSをかけるような気がします。
初見がAfterだと、お!なかなかキレイやん!ってなるかもしれません。。。

トーンの下に何が隠れているか分からないので、そこを覚悟できないとNCSはかけれないですな。結果数字が付かないこともあり得ます。。。
今回のコインは1970年発行ですが、このトーンの雰囲気が良いので、それを失う覚悟も入りますなぁ。

商業目的なのでスラブに入れるためにNCSをかけましたが、個人コレクションならこのままにしておくか、PVC個体のみPVC除去をしてハダカのままで置いておくかなぁ。。。

NCSは公式でミルクスポットは完全に除去できないが、多少は効果のある場合があるような意味合いで言ってます。今回の結果はその通りだと思います。

スディルマン将軍とガルーダバードのビフォーアフター動画が締めです。


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