関与度と情報感度
マーケティングリサーチにあたって、製品ジャンルごとに違う対象者のジャンル関与度とジャンル情報感度を探ることは大切である。
関与度と情報感度はジャンルごと、対象者ごとに分散している。
<関与度と情報感度>
価値判断はともかく、我々の生活のほぼすべての分野で商品化が進んでいると言える。
つまり、生活全般がマーケティング、マーケティングリサーチの対象になり得る世界が現れている。
実際のリサーチ企画では対象分野を限定し定義してからスタートする。
例えばビールの調査であれば「家庭で消費されるビール」と限定し、飲食店で飲むものは徐外と条件付けし、家庭消費であれば、アウトドアで消費されるものを含むと例外をできるだけなくす。
ビールへの関与度を測る指標として購買・飲用行動が最適と言える。買ったり飲んだりしていれば関与しているとの定義に異議はないはずである。
ただ、関与度=毎日ビールを飲む、は同じでも「泡の出る酒なら何でもいい」と「泡、味、のど越し、飲み飽きない」などの条件を考えられる人とで、ビール関連の情報感度は後者が圧倒的に高いと期待できる。
また、中学生でもちろん、ビールは飲めないが、ビール関連のCM、プロモーションイベントの情報を収集する「ビール博士ちゃん」みたいなひとも想定できる。この場合は関与度はゼロだが情報感度は高感度なのである。
ただ、中学生はビール関連の調査では対象外になる。
さらに家庭・家計を預かる人の立場の関与度もあり、出費と家族の健康が関与の中心となる。
<高感度層分析とインフルエンサー>
ネットのなかった30年くらい前、高感度層分析が流行った。
まだ、オタクという言葉はなかったと思うが、「MONO系雑誌を読む。新製品はすぐに試す」などの5問くらいの質問への回答を点数化して「高感度層」を抽出して分析軸に使った。(日経高感度層)
この高感度層分析は、分析軸としてトートロジー的であったこと、すべての生活分野で高感度を示す人間はいない、の2点で原理的限界を持っていた。Win95登場、ネットの普及とともに廃れる一方になったと記憶する。
高感度層分析は、現在ならインフルエンサーマーケティングが近いと思われる。
これも、あらゆる商品ジャンルで関与度が高く、情報感度も高いというようなインフルエンサーはいないことを考えれば、使い方が限られるマーケティング施策であろう。
<関与度×情報感度>
一般的に、生活必需分野ではだれでも一定の関与度があると言える。
一方、レジャー・エンタメ分野は関与度の有無で2極化が進む。マニアックな関与度を持つ層と名前さえ知らない無関心層に分かれる。
生活必需分野の衣食住への高関与度は、おしゃれ、快楽志向の付加価値への関与と言える。
この快楽志向が関与度を決めるゲームなどのエンタメ分野では、単なる関与を越えて依存症的になることもある。
<関与度×情報感度とマーケティングインタビュー>
市場分析やインタビューにあたって当の製品ジャンルの関与度の分布を仮説的に想定してから始めるという態度は重要である。
関与度が低いのに高感度反応する場合は、ウソや忖度を疑い、低感度反応はステレオタイプなので、それを越えさせる話法が必要である。
関与度が高いのに低感度の反応はアディクションを疑い、それを緩和させる話法を工夫する。
関与度高く、高感度反応なら単に一般化するだけでなく、インサイトにつなげる話法を行う。
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