定性データの可視化

Excel使いでグラフが簡単に作れるようになった。
下の2冊で、データの視覚化には長い歴史(苦闘)があり、データサイエンスの現場では大量データの可視化技術、工夫が進んでいることを知った。
そこで、定性データは文章化(文字化)以外、可視化の方法はないのか、を考えた。
<ボトムアップ可視化とトップダウン可視化>
マーケティングリサーチで、集計表からexcelなどを使ってグラフを作る作業もデータの視覚化、可視化であろう。
作成したグラフを全部貼り付けて、簡単なコメントを書いて行くのが分析(レポート作成)であると主張できるかもしれない。
このやり方をボトムアップ可視化とする。
グラフ化できる集計表はすべてグラフ化し、それらを見比べて分析することからその調査での最重要ポイント、結論をビジュアライゼーションするという方法である。
これに対してトップダウンの可視化を考える。
集計表やグラフを見ながら分析をやり、結論を導き出し、その結論を見やすく、理解しやすく、誤解を招かないようにビジュアライゼーションする作業をデータの可視化と定義する。
これはトップダウンの作業であり、可視化したい何かが、まずあり、そのイメージをビジュアル化、画像化、図形化するのである。
<見える化と可視化>
見える化とは、隠れて、隠されている原因やリスクをだれでも正しく認識できるようにする現場作業から出てきたことと認識している。
流れ作業で使うペンチを置く場所が不適切で落下による怪我や作業の中断になることを行動観察で見える化し、ペンチを置くべきトレーを設置したというような事例である。
だから、データの可視化の最終目的(最初の目的)はある現象の「見える化」を実現することであるといえる。
見える化をもっと一般化すると、現象の中に沈み込んで隠れている論理や筋道、ワザやノウハウ(これらを暗黙知と言ってよい)を言語化、ビジュアル化する作業と定義できる。こう考えると、見える化はマーケティングリサーチの目的、機能そのものなのである。
<定性データの可視化はポンチ絵か?>
定量調査は数値データを取るので集計・分析からデータの可視化によって見える化を実現するプロセスが想定しやすい。
一方、定性データは集計分析はできないので、可視化は文章化かと読上げ(プレゼン)になる。
定性分析は文章化が可視化、見える化といえるので、レポートは記述的になる。時々、クライアントからは記述的過ぎるのでは?との不満が出る。
これは図式化(PPT化)して欲しいとの要望なのだが、安易に従うとポンチ絵的なレポートになり、ひとつの定性調査結果だけでは定量で言う欠測値や異常値の修正が不可能になる。下記のカスタマージャーニーも可視化であるが、ローデータ(発言録)を言い換えたり(改竄)、欠測値を補わないと完成しない。捏造一歩手前であるが、解決方法はいまのところない。
<定性データとLLM>
LLMは言語データを定量的に扱うひとつの方法論であるが、ChatGPTとは別に定性調査の報告書を大量に読ませたLLMを作り、それとChatGPTをつなげば、定性データの可視化は可能かもしれないが、何か違うものになりそうである。


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