脳に働く乳酸菌
夏が暑いので少し荒唐無稽なことを。自分は、普段は人の作ったコンセプトやストーリーを消費者の口を借りて評価・批判しているわけだが、今回はどこから依頼されてもないのに標題のテーマでストーリーを作る。
<乳酸菌飲料のコンセプト史>
乳酸菌飲料のパイオニアはヤクルトで間違いない。
シロタ株の開発から研究を継続して乳酸菌飲料のトップブランドとして君臨し続けている。
乳酸菌飲料のストーリーは「腸内菌叢を整え活性化させる」ことで下痢や便秘対策として始まった。その後、腸内菌叢の研究が進んで、自然免疫機能の強化作用、睡眠の質改善などのベネフィットが訴求され、それぞれマーケティング的成功をおさめてきた。
<腸内細菌叢の機能研究>
腸管の菌叢と代謝機能や脳機能の緊密なネットワークの研究がいくつも発表され、腸内環境を整えることがⅡ型糖尿病や認知症、さらにウツ、統合失調症にまで効果がありそうという論文も採択されている。
森永が「記憶力」をコンセプトにした乳酸菌を発売しているが、市場の反応は鈍い。
但し、乳酸菌が腸内環境から代謝、脳機能へのベネフィットを潜在していることは間違いない。
<脳に働く抗肥満薬>
腸管ホルモングルカゴン様ペプチド1(GLP-1)の受容体作動薬、ウゴービーが抗肥満薬として米国でブームになっているとの記事が日経サイエンスにあった。この薬剤は、満腹中枢を刺激して満腹感を感じさせる、フードノイズ(食べ物のことばからい考えてしまう)を防ぐといういずれも脳に直接働きかける作用機序を持っている。
そこで、腸管ホルモンGLP-1でググったらジページの論文がヒットした。学術論文をストレートにマーケティングに使うのは難しい、たくさんのキーワードが発見できる。
<乳酸菌飲料の新ストーリーのプロット>
乳酸菌飲料の近未来のストーリーのコンセプトを「腸管と脳の連携・ネットワーク」とする。
腸内細菌叢の整備が消化器系疾患の予防・治療に有効であり、免疫機能を賦活化する、というコンセプトは充分に受け入れられている。
今後は腸内細菌叢の改善は、有益な腸内細菌代謝物の生成を促進、さらに脳の神経細胞とのネットワーク
によって脳神経的疾病の予防や改善につながる。
・Ⅱ型糖尿病のために膵β細胞を活性化させる代謝物
・満腹中枢を刺激し、フードノイズを軽減させる抗肥満効果
・認知症の発症を遅らせるGLP-1の賦活化
などの効果効能を訴求する。
もちろん医薬品ではないので直接訴求ではなく「因果推論」的訴求になる。
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