読書メモ8

『親切の人類史』

生物の進化で見るとまず、他個体と自己を見分ける能力が必要で細菌は無理でも多細胞生物は他個体と自己は識別できると考える。
現れた他者が捕食者か獲物かの識別が生存には重要である。
同種の他個体に対しても生殖可能かどうかの識別ができないと自分の子孫(DNA)を残すことができないので、それらの識別が簡単にできるように進化してきた。
さらに同種の他の個体が捕食者に襲われているときに「助ける」行動をとるかどうかの識別・判断があるとする。
親(特に母親)は襲われそうな自分の子供の前で犠牲的な行動を取るという観察はたくさんあり、親が子供に対して利他行動をとることは事実である。この利他行動は家族、群れまで広がっていると言われている。

人類の利他行動は進化してきており、約1万年前に遺伝子レベルでの突然変異によって利他行動がプログラミングされたと著者は考えている。
それ以前の人類はアザーガットの主張のように、他集団を襲い、食料を略奪し、男は奴隷に女は犯して召使いという行動が基本だったという。
同じバンドに属さない、メンバーでない同種とは戦争に明け暮れていたという。
それが1万年前に農業による定住と言語(識字)の獲得と同時に利他の行動が生まれ、進化的適応を続けて来ている。

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