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R&Bチャートが消えた1964年②ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム

 1963年10月8日、サム・クックはシュリープポートのホリデイ・インに泊まろうとしましたが、黒人という理由で拒否されたことを抗議をして逮捕されました。ルイジアナ州ではホテルにおいて人種隔離が公然と行われており、それに従わない者は捕まえられてしまう時代でした。この事件をきっかけにクリスマスの後ぐらいには「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」を書き上げたそうです。

 サム・クックはボブ・ディランの「風に吹かれて」を聴いて、人種差別についての歌を白人が作り黒人である自分がそのような曲を書いていないことに悔しかったと言っています。チェンジという単語にボブ・ディランの「時代は変わる」の影響もあったのだろうかと思いましたが、その曲は1964年1月に発売された曲なので関係はなさそうです。この時代の共通の空気としてチェンジという言葉があったのでしょう。

 1964年1月30日にカリフォルニア州ハリウッドのRCAスタジオで「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」は録音されました。そして2月にアルバム『エイント・ザット・グッド・ニュース』に収録されました。

 サム・クックは10月にアルバム『ライブ・アット・コパ」を発表します。そこに「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」は収録されていませんでしたが「風に吹かれて」と「天使のハンマー」がカバーされていました。その2曲はワシントン大行進でピーター・ポール&マリーが歌っていた曲でした。

 12月11日にサム・クックはロサンゼルスのモーテルで銃殺されてしまいました。12月22日に「シェイク」のB面として「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」はシングルとして発売されます。B面ながらホット100で31位のヒットになりました。私が映画に行くという政治的な歌詞はカットされましたが。

 R&Bチャートが消えた1964年は「ア・チェンジ・イズ・ゴナ・カム」の年でもありました。その後、オーティス・レディングやアレサ・フランクリンなどたくさんの人にカバーされ公民権運動のアンセムのような曲になっていきます。

 2004年にはボブ・ディランもカバーしています。


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