神に見放された

中学生から大学生の頭くらいまで、めちゃくちゃお腹が弱かった。
毎朝登校中に腹痛を起こしてトイレに寄り道をしていた。
中学は家から徒歩10分くらいだったから別にいいんだけど、高校から電車通学になってかなり厳しさを増していた。
乗り換え2回必要だし、渋谷駅で乗り換える時は人が多すぎていつもトイレが埋まってる。
もうつらいのなんの。
天空の夜明けっていう音ゲー曲を聞くと腹痛が少し和らぐことに気づいてすぐ再生できるようにしていたり、腹痛が和らぐツボを沢山覚えたりもしていたがどうしようもない。

ある日、渋谷駅の副都心線のトイレで並んでいる最中に神に祈った。
「今後彼女ができなくてもいいから、一生腹痛にならないようにしてください」
心からの祈りは届いたらしく、本当に腹痛になる頻度は減った。
朝食を食べてから長時間電車に乗っても何も心配がいらない生活は幸せそのもので、いつしか神への感謝の気持ちも忘れていった。

そして腹痛を忘れて数年経ち、大学をやめてフリーターとしてバイト生活をしている最中に自分は彼女が出来た。彼女を作ってしまった。

結果としては半年ほどで別れ、そこから3年ほどたっているのだが明らかに腹痛になる頻度が増えている。
悩んでいた頃程では無いが、トイレにこもっている時間が増えると共に学生時代のことを思い出し、今このノートを書いている。
俺は神に見放されてしまったのだ。

私は神を忘れてしまった愚かな私を恥じています。
あの苦しみを再び味わいたくはありません、どうかもう一度あの時と同じ祈りを聞いてください。
今後恋愛などしなくても構いません、私から腹痛を無くしてください。

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