カーニバル 世界最大のクルーズ客船の運航会社の業績回復は?
カーニバル(Carnival Corporation./Carnival plc)は世界最大のクルーズ客船の運航会社です。昨年のコロナショックに伴う運航停止を余儀なくされ倒産危機が噂されてます。なんとか、溜まりに溜まったクルーズ船需要が一気に拭き出すのではというアナリストの分析もあります。
破産の危機に直面した
では簡単に財務など経営に関することを触れます。上の記事にもある通り経営サイドは非難を浴びてました。それは、感染リスクの可能性を認識していながらクルーズ船を運航させてしまったからです。昨年3月には出港停止したのですが、乗客乗員の約1500人以上が新型コロナウイルスに感染してしまったのです。記憶に新しいダイヤモンドプリンセス号の運営を統括する親会社だからです。
また、米国は非常事態となり景気刺激策が実行されたわけですが、クルーズ船は除外され救済措置を受けることはありませんでした。そのため、カーニバルはジャンク債を発行し約57億ドルを調達するなど、会社は存命を図りました。当時、ドナルドCEOは「20年中、収益がなくとも社に十分な資金があり心配していない」と語ってます。
では、2020年第1四半期の決算をレビューします。
売上 0.7億ドル(市場コンセサス 0.773.9億ドル)
EPS -3.3ドル( 同 −1.59ドル)
なお、2019年第四半期の売上は48億ドル、EPSは0.22ドルですので、大幅な減収減益、大きく赤字転換しています。
また、直近の株価は約29ドル、日足チャート↓のようになってます。
カーニバルの抱えるクルーズブランド
全部で9クルーズブランドを抱え、業績不振に陥った会社を次々に傘下に収め現在の地域を気づいています。主要なラインは以下の通りです。
カーニバル・クルーズ・ライン(Carnival Cruise)
コスタクルーズ(Costa Cruises)
ホーランドアメリカライン
プリンセス・クルーズ
中でも米国内で人気とされ、特に夏季休暇で人気となるのはカーニバルクルーズライン。
カーニバルクルーズの特徴
・カジュアルクラス
・Fun ship(ファンシップ、楽しい船)をキャッチコピー
・お祭りムードを最大限に押し出しているのが特徴
・若年層のカップルやファミリーを客層
・安価ではあるがサービスや食事にも定評
ホーランドアメリカラインの特徴
・活動エリアは世界広域、アラスカに強い。
・プレミアム級 格調が高くドレスコードはインフォーマルの日が多い。
・歴史や伝統に拘り、船体は白と濃紺に塗り分け
・船内はアンティークや美術品でデコレーションし古き良き遠洋航海を演出
・オランダとのつながりを重視
アフターコロナに向けて
直近決算についてレビューすると、
売上 0.026億ドル(市場コンセンサス 0.026億ドルで一致)
EPS −1.79ドル(市場コンセンッス −1.74ドル)
アナリストにより次四半期の売上予想は、0.203.47億ドル
となります。客足の回復と売上回復が期待されます。しかし、回復する期待があるクルーズは「カーンバル・クルーズ・ライン」のみとなっているのが現状です。カリブ海をクルーズするということから米国内で完結し感染拡大などリスクがありません。海外を航行するクルーズラインは他国の感染状況から米運輸省が許可をいしてません。
カーニバルの業績回復はまだまだだと言えます。しかし、クルーズ船の航行許可が発出されたなら、その需要は爆発するものと思われます。以下、直近決算における定性分析です。
・当期(21年Q1)のクルーズ予約数は、前期予約数の約90%増
・2022年通年の事前予約は2019年のそれを上回って推移
・9のうち6ブランドは今夏までに限定的なゲストクルーズ事業再開予定
・P&Oクルーズ、キュナードクルーズ、プリンセスクルーズは今夏に一連の英国クルーズを再開