母親のこと
虐待をされていたというわけでも、両親が離婚して複雑な感じだったというわけでも、ネグレクトされていたわけでもなく、世間一般で言えば、よく愛情を注いでくれる良い母親と言われるような人であったのだろうと思います。
この時期になるとどうしても帰省の話が出るわけですが、ここ数年はコロナのおかげというか、おかげという言い方も良くないかもしれませんが、緊急事態宣言というのは、あまり帰省に前向きでない私のような人間にとってはとても都合のいい言い訳ではありました。
しかし、今年もその言い訳を使うのは苦しい気もしましたし、さすがに両親も年を取ってきて、そうは言ってもいつ死んでもおかしくないというわけでありませんが、疎遠になるには少し早いような気もして、今年は少し顔を出そうかという気持ちにも少しなっているところです。カレンダーを見て、仕事の予定や恋人との予定に合わせ、結局のところ帰省は私にとっての優先順位は低いわけですから、空いている時間に行けばいいかというくらいのものです。ちなみに、実家はそこまで遠くないの、1泊で十分か、もしくは日帰りでもいけなくはないような距離に住んでいます。
億劫になっているのは母との対面がそこまで気持ちのよいものではないからでしょうか。冒頭で言及したように、特に悪い人というわけではないとは思います。そういう話ではなく、より単純に、私があの人のことをあまり好きではないというだけの話だと思います。周りからは何故か聞かれますが、肉親に好意的な感情を持たないということに、ドラマチックな理由が必ずしもあるわけではないと思いますし、必要でもないのです。ただ小さな不信感の積み重ねが私の記憶のなかに積もっており、それを時間が解決してくれることのないまま、一種の許容範囲を超えてしまったのだと思います。