AB社コラム第21回:日本人にはサイロ化した組織が向いている。
前回までに、分相応のトレーニングを続けることが大切、それを超えると心も身体もケガをしてしまう、という話をしました。
日本では分相応を超えたトレーニングを求められていることが多いです。しかし、少し不思議なことが起こっていて、その具体的なトレーニング方法を誰もわかっていない状態です。
日本が「自由にやって!」と言われがちな理由とは?
今の日本では既存事業に手詰まり感を感じ、Exchangeをして新規事業や新しい仕組みを作り出すべし、との圧力が強いです。そのために「新規事業開発部」みたいな名称をつけた組織を作り、「さあうまくやってちょうだい!裁量権は預けた!」と言われる。
これで成功できる日本の組織は極めてまれです。
なぜなら、それを成功できるようなリーダーシップを持つ人の登場は期待されていないから。
それはなぜ?と言われても、そういう人たちだから、としか言いようがありません。それは、歴史が証明しています。
日本は、絶対的なリーダーシップを持つ人に従い、組織や産業を発展させていくことが長く続きません。
君臨する絶対君主は、2代と続きませんよね。「驕れる者久しからず」です。イニシアチブを取ろうとすると失脚します。
命令をすると反感を買う国なのです。リーダーとしてバシッと決めて従ってもらう、ということができない。これは国だけではなく、会社も、マンションの管理組合も、PTAも、老人会も少年野球もそうです。まさに老若男女。
しかも昨今は「パワハラ」という非常に便利な言葉ができてしまいました。
少しでも上から物を言ってしまうと糾弾される風潮に拍車がかかり、余計に言わないようになってしまいました。
そのため、「自由にやって!」と言われます。
新しい仕事を作れと言われ、「ではどうしたら?」と聞くと、「あなたの自由に、思うようにやって良いんだよ」と何も具体的な指示はなくて困惑したことがある人も多いのではないでしょうか?
「新しい仕事」「新しい仕組み」「これまでの慣習にとらわれない新規事業」は、リーダーシップを取れる人が仕切らないと、生まれないものです。
今の日本は、グローバルスタンダードの呪縛にとらわれている。
ではどうしたら良いのか?
日本人には「サイロ化」した組織が向いています。
「サイロ化」と言うと、縦割りの企業組織の弊害、ITシステムやアプリケーションが連携を取れない状態、などマイナスのイメージに捉えられることが多いです。
ちょっと検索すると「組織のDX化を阻む最大の戦犯」みたいな書かれ方をされています。
横断的で広い視野を持ち、柔軟に組織が連動し、情報を共有しながら仕事をしなくてはならない。
それは確かに理想的です。そのように動かなければならないときもあるでしょう。
しかし、日本人はそのような「あるべき姿」に向かって仕事をするよりも、目の前の仕事を積み重ねることに向いています。
→詳しくは第15回をご覧ください!
目の前の仕事に集中するためには、できるだけ細分化した組織にすること。細分化した組織ならば、仕事がはっきり明確に示されます。
先ほど、日本では絶対君主は2代と続かないとお話しましたが、徳川家は15代も続きました。それは、家康が織田信長や豊臣秀吉から絶対主権は無理だと悟り、国を300に分けて一国一城の主体制にしたことが功を奏しています。サイロ化したからです。
明確に与えられた仕事を、言われたとおりにしっかりできること(詳しくは、第19回をご覧ください!)。
この日本人の長所を生かせる組織が、サイロ化された組織です。
できるだけ小さなチームにサイロ化して、横並びにしてマネジメントすることに、日本人は向いています。多層階層にしたところで、リーダーシップを取れる人がいないと無駄です。
今の日本は「グローバルスタンダード」の呪縛にとらわれ、DXを推進して組織をダイナミックに変えると言いつつも、結局は足踏みしているだけのように映ります。
ではどうすれば、この足踏み状態から抜け出せるのか?
次回は、その解決策についてお話します!