AB社コラム第62回:投資で負けない具体策④〜利確の考え方
「常識ある優等生」が投資に負けない方法についてお話するシリーズの第5回です。
前回は「損切り」のタイミングについてお話しました。今回は、もうひとつの投資管理「利益確定(利確)」のタイミングについてお話します。
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作戦6:利益確定予定額を決めておこう。
前回、どのくらい損をしたら売却して「損切り」するか、あらかじめルールを定めておくことが必要だとの話をしました。そして、このルールを定めて厳格に適用することができる“優等生”は非常に少ないということもお話しました。
優等生は、めちゃくちゃ損を被るまでなかなか損切りできないのですが、逆に値上がりすると、今度はほんのわずかな利益を確定したくてすぐに売ってしまう傾向にあります。
これは投資においてはマイナスです。あらかじめ「ここまで値上がりしたら売ろう」と利確のルールを定めておくことが大切です。
かなりの上級者でも、5割勝てたら成功。
トレードの基本となる短期売買を前提にしてお話します。
短期売買は1日単位で売買を行うことですが、ここでは1日1回トレードすることを前提とします。
例として、「購入金額と損切り額の差」に対して、「購入金額と利益確定額の差」は、おおむね3倍に設定します。3倍の利益が取れたら、原則としてその投資対象は売却すると決めておきます。
ここが重要なのですが、儲かる額が損する額の3倍あるならば、「儲かる回数の3倍損しても良い」ということになります。トレードの回数だけで言えば、打率2割5分で良いのです。ここを最低ラインとして、打率を3割、4割、、、、と上げていくことを目指します。
成功回数が最低2割5分?たったそれだけ?どういうこと??
多くの優等生はこう思うことでしょう。しかし、それこそが罠です。
努力すれば結果が出る勉強や仕事と異なり、マーケットの動きは誰にもわかりません。そのため、トレードごとの勝ち負けは、かなりの上級者でも5割強勝てたら、成功です。
マーケットは、変わりやすい山の天気と同じ。
優等生は「失敗」「負け」「損」と聞くと拒絶反応を起こします。「失敗」「負け」「損」を避けるために努力をして、優等生になることができたからです。
しかし、投資の玄人にとっては、マーケットの変化は山の変わりやすい天気と同じです。
好天だと思っていてもそれが続くことはなく、いつ大雨が降るかもしれないし、暴風が吹くかもしれないことを知っています。
「勝ってあたりまえ」「がんばれば必ず報われる」という優等生の思想とはまったく逆です。
悪天候になったらサッサと屋外アクティビティを中止にする(サッサと損切りする)。
好転に恵まれたら思いっきり楽しむ(3倍の利益を取る)。
しかし、「自分が山に登っているのだから、晴れるのがあたりまえ」と考えて、山登りをやめないで大事故を起こすのが、優等生の登山家は毎年後をたちません。
投資も同じで、コツコツ儲けてドカンと損をして、大怪我する優等生たちが後をたちません。
「勝ってあたりまえ」の優等生人格を、トレードのときは捨てる。
マーケットでは、「コツコツ損をしてドカンと儲ける」ようにしなければ、生き残ることができません。
トレードで100万円を3回損しても、300万円儲ける1回のトレードができれば良い。
負け2回に対して、勝ち1回。
あらかじめ決めたルールで、サッサと負けること。負けることに拒絶反応を起こしてズルズル引き伸ばし、ドカンと損する前に負けること。
この思考法ができるようになるために、「勝ってあたりまえ」の優等生人格をトレードのときは捨てる必要があります。
損切りも利確も自分で決めたルールに則って、機械のように淡々と行うこと。
今回の例にあげた「購入金額と損切り額の差に対して購入金額と利益確定額の差は【3倍】」のルールは、あくまで例なので、自分でルールを作る必要があります。
「3倍になったら売ると良いと教わったので、そうします。」というのは、まさに優等生そのものの発想なのでご注意を。
先生に教わった正解に従う、という態度こそ、トレードのときには捨てるのです。
「えーっ、正解を暗記すれば勝てるんじゃないの?」ともし思われたなら、あなたは投資に向いていません。