AB社コラム 第11回:働き方改革の実行を決断できるのは誰だ?

前々回前回に引き続き、人材の「需給ギャップ」についてお話する3回目のコラムです。

日本人に蔓延する「分相応に行動すべし」とのマインドから脱却しないと、需給ギャップは解消しません。ですが、子どもの頃から刷り込まれたマインドを、完全に変えることは難しいでしょう。では、どうすれば良いのでしょうか?

ツールの導入で「働かせ方」を変える。

その答えのひとつとして、ツールを導入して無理矢理変えることです。

雇われた側が「働き方」を変えるのではなく、雇う側が「働かせ方」を変えるのです。

例えば、コミュニケーションツールとしてメールの代わりにSlackやChatWorkを導入すれば、分相応に行動する機会を減らすことができます。

前回、メールのやり取りの際、分相応の行動を取ると、件名が長くなっても変えられない、簡単な返信を送ることができない、とのお話をしました。

しかし、メールの件名を変えることはできなくても、Slackなら件名がそもそもありませんし、リアクションボタンを押すだけで、承認の意を示すことができます。

つまり、日本人に刷り込まれた「分を越えた行動」を、強制的にさせられることになるのです。ツールの仕様がそうなっているのだから、仕方ありませんからね!という自分への言い訳ができます。

メールの返信ひとつに余計な気を使わなくなるので、仕事も効率的になります。

役職が上でも、分が上とは限らない。

このようにRPAツールを導入すれば、マインドの面だけでなく、作業量が減って仕事も効率化され、働きやすくなります。

それは、みんなわかっています。

しかし、「導入しましょう!」と旗を振ることはない。それは、分不相応だからです。

役職のない社員はもちろん、上司や役員も旗を振りません。同じく、分不相応だからです。

ここで私が言いたいのは、役職が上だからといって、ここでいう“分”が上とは限らない、ということです。役職と“分”は切り離されたものです。単に役職が上なだけで、同じように分相応に行動することを求められ、分相応に行動しようとします。

RPAツールの導入を決断することは、分を越えた行動だと思えば、上司や役員も決断しません。

もしかしたら、役職が上の人は、子どもの頃のスクールカーストでは上位ではなかった人のほうが多いかもしれません。スクールカーストのトップ層は、突き抜けるほどに出世するか、トップのプレッシャーに負けて降りるか、あるタイミングで周囲との軋轢を生んで没落するか、という状況なので、一般企業の役職レベルには少ないのでは?と推察します。

そう考えると、自分で決める、という経験をしてこなかった人が多いです。

コンプライアンス遵守の動きが、マインドの浸透に拍車をかけている。

さらに、2000年代前半からのコンプライアンスブームが、決断しない傾向に拍車をかけています。

単独で決めるのは良くない。みんなで情報共有して、集まって、会議で決めることがコンプライアンス遵守には大切、となりました。

となると、役員たちは、ますます自分で決断する方向から遠ざかっていきます。ツールを導入して本格的に働き方改革を断行して良いものかどうか、決断できません。決断することは「分不相応」だからです。

RPAツールを導入して、働き方改革をどんどんやりましょう!と言える人は、とても少ない。

大多数が、導入されたものを使えと言われたから、それならば使いましょう、と、他の人が決めたことに従う人です。

なぜならば、日本人は、子どもの頃から刷り込まれた分相応に行動する人たちだから。スクールカーストで鍛えられてきたのです。

オリンピックの組織委員長だった元首相が「分をわきまえなさい」というようなことを言ってました。分をわきまえないと、潰される好例でしたね。まあ、その代わりに元首相もそんなこと言える立場か、むしろあなたが分をわきまえていない、と認定されて炎上していましたが。

と、日本人に蔓延する「分相応に行動すべし」のマインドから脱却するにはツールの導入が効果的だけど、そもそもツールの導入を決断できるマインドを持った人はいない。

という、堂々巡りの八方塞がりのような話になってしまいました。

ではどうするか?ということについては、また次回に。
堂々巡りから、次回こそ脱却します!

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