『イシナガキクエを探しています』感想
大した考察はないです。
ひと昔前の公開捜査番組を模したホラーモキュメンタリー。
YouTuberキラフのシーンが「ゾゾゾ」そっくりだなと思っていたら、
製作陣に「ゾゾゾ」の皆口さんの名前があって嬉しくなった。
最近「ゾゾゾ」メンバーや映像作品にに慣れが出てきて
変に完成されたフィクション感が浮いてきたなあと感じていたのだが
エンタメは保証されているのでやっぱり期待してしまう。
1話目
亡くなった米原の意志を継ぎ、55年前行方不明になったという
「イシナガキクエ」を探す趣旨の説明。
米原の言葉の端々から異質な関係性や執着が窺える。
*次回の放送時間予告がテロップとズレていた。
2話目
YouTuberキラフなる人物が廃屋を探索し、番号が振られた写真を発見。
中学生が池から発見したビデオテープを発見。
上記が番組に寄せられ、前回から寄せられた情報を整理する。
3話目
番組に寄せられたローカルテレビの映像テープの紹介。
数十年前の米原が「見つからないのが一番」「何体も処理している」等を発言し
住所と電話番号を見せてスタジオを動揺させている。
番組がその住所を尋ねると、現在は稲垣という男が一人で住んでいた。
占い師をやっていたという母の留守電テープを提供してもらい調査すると、
「一体見つけたので処置をお願いしたい」「代理人を用意する」等と発言する米原の声があった。
4話目
番組自体は前回で終了し、今回はその後の捜査のまとめ。
稲垣から提供された遺体と思わしきものを処理するテープ画像。
更には、米原の死が焼身自殺だったことが明かされる。
3話までみてSCP-624-JP、SCP-2288、SCP-3192-JPのような
死後複製の本人が出現する怪異であるように感じた。
「会話ができない」のは、今や人ではなくこの世のものではない存在だから。
もともと米原が殺した、あるいは愛した等の関係性にあった
イシナガキクエが死後何度も出現するようになり、
稲垣乙らの協力者と共に「代理人」をイシナガキクエとして葬ってきた。
35回も「処理」を行っているあたり、
1話で米原宅に立ち入っていた者たちや廃屋から写真を持ち去ったのも
イシナガキクエという怪異にまつわる協力者と考えられる。
稲垣が一人暮らしか問われた時に言葉を濁しながらニヤニヤ笑い出した演出は
単にあの家も米原家のような怪異に関わって来た家という暗示か、
あるいは彼が「処理」した自嘲なのか等、邪推したくなる演出だった。
家の中も一人暮らしの生活感とそれ以外の存在をにおわせる違和感が同居しており
写真はないと言いながら、取材の後思わせぶりにテープを提供してくるなど、
まるで捜査を攪乱して楽しむ犯人のような立ち回りにも思える。
次回作の予告だったりするとおもしろいのだけど。
お化け屋敷のようなお札べた張りの演出や燃え跡のような
安っぽい蛇足な要素もちらほらあったが
リアリティとホラーの仄めかしの匙加減がちょうどよく
「SIX HACK」や「奥様ッソ」よりも見ていて白ける場面も少なかった。
「この動画は再生できません」のように答え合わせがあると
「完結」が用意されている分引きずらないのだけれど、
考察沼生息民としてはあれこれ要素発見する楽しさも
ホラー掲示板を思い起こさせるゾクゾクがあっていいよね。