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監査しかできない会計士へ


監査しかできない会計士へ

※タイトルからもう読みたくないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、最後はネガティブな内容ではないのでお付き合いください。

飼い主が監査をする犬、略して監査犬。飼い主は公認会計士で会計監査や会計関連の業務支援を生業としています。
基本監査メインの、監査しかできない会計士である飼い主が「監査しかできない会計士」について語りたいようです。
以下、監査犬はお役御免で、飼い主が話を書きます。

監査しかできないという呪い

監査しかできない会計士、監査法人にいる会計士にとって呪いのような言葉ですね。私もBig4にいる際にこの言葉に憑りつかれました。今でも監査をしているので、たまにコイツはやってきます。
若いうちはまだやり直し出来るだろうが、年齢は上がってくる、この先、監査法人で行き詰ったらどうしよう?昇格のためには会計や監査によりコミットしなければならないが、益々監査しかできない人間になる。監査しかできない会計士を監査法人以外は受け入れてくれるのだろうか。今ならまだやり直せるのではないか。今辞めないともう後戻りできないのではないか。
前向きな退職理由もありましたが、そんな気持ちにジリジリ焼かれ、監査以外のことも体験するために、自分も退職したのでした。

監査ができる人

ところで話が少し逸れますが、Big4の会計士にIFRS詳しいかどうか尋ねた際、どのように答えるでしょうか。監査法人には詳しい人が山ほどいるし、理解に難解な基準もある。その結果、「詳しくない」、「知らなくはないが、あまり詳しくない。」と答える方が多いのではないかと思います。一方どうでしょう。監査しかできない会計士、監査は出来ることになっています。監査しかできないと言っているけれど、監査はちゃんとできているのか?
監査法人出ればどうでしょうか。IFRS詳しくない会計士でも、きっと知識は上位層に入るでしょう、そして監査はできるらしいです。出来る分野があるというのは強みではないでしょうか。監査できる人なんてそうそういないはずです。できる分野が1つでもあるってすごくないですか?
監査しか出来ないのではなく、監査が出来る人なのです。

監査ができるのであれば

監査ができるということは、監査業務だけではなく、以下のスキルを持っているはずです。論理的な思考はできる、文書化もできる、プロマネもできる、クライアントと交渉もできる、人のマネジメントもできると一般的なソフトスキルが身についているということになりますよね。他の会社などでも十分活躍できるソフトスキルは身についているのではないでしょうか。

今行っている業務もソフトスキルをより意識して鍛えればもっと成長出来るはず。そして監査しかできないと思っていますが、そもそも監査が出来ているのか日頃の業務を振り返ってみるのも良いかもしれません。
監査しかできないと卑下することなく、監査が出来ると胸をはれば良いのではないでしょうか。

ただし…

ただし、謙虚にならなければいけません。
会計士試験で多くの科目を広く浅く学ぶのと同様に、監査業務を通じて身につけられるソフトスキルはベースに出来ますが、深くはないのではないかと思います。
論理的な思考は、会計基準、監査基準という明確な指針にそって展開すれば良い話ですし、プロマネについては関係者全員適正意見を望んでおり、意見日もほぼ決まっている。ゴールが明確です。クライアントとの交渉も適正意見という強い武器があるからですよね。人のマネジメントも同様、プライド高く扱いにくい人もいますが、基本up or outなので上司の言うことに従う、そもそも希望した仕事をしているので楽です。一般企業では望まない部署に配属される人普通にいますしね。

終わりに

監査ができるというのは大きなスキルですし、先人の会計士の努力により、公認会計士の活躍は広がっています。私が一つ一つ記載する必要もないくらいでしょう。フィールドを拡げてくれた先人の会計士も、初めは監査しかできない会計士だったのかもしれません。
ちなみに周辺領域に少し手を出すことは監査をやる上でもプラスになるというのが個人的な感想です。

このnoteで、監査で疲弊している会計士の方達が少しでも前向きに監査に取り組めたら幸いです。


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