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Group Audit Instructionsとは何でしょう?
【本記事はゆる会計Advent Calendar 2024における17日目の記事です】
けいたろうさん(@ClawConciliator)有難うございます。(この前段部分は2000文字に含んでおりません)
初めに
対象者は経理の方向け、内容は子会社の監査をどのように行うか、その際に重要な役割を果たすGroup Audit Instructions (以下GAIと略します) の説明になります。分かりやすさ重視のために、語句などの厳密性は落としています。また字数制限から関係する監査基準の説明は省き、実務的な内容がメインです。ゆるアドベントということでご了承ください。
リファード、リファーラル業務とは
上記の意味をご存知でしょうか。監査法人によって言い方が変わるだけで意味は同じ、グループ監査目的で構成単位の監査人が構成単位に行う監査や合意された手続になります。かなり雑に言うと、子会社監査人による連結目的の監査手続です。筆者はリファード業務、在外親会社の日本子会社の監査を数多くこなしていました。
Group Audit Instructions (GAI)とは
実際どのように子会社監査人は監査しており、親会社監査人はそれを把握しているのでしょうか。子会社の監査人が好き勝手、適当な監査手続をやって意見出していたら、親会社監査人は連結の監査意見を出せなくなりますよね。
親会社監査人はGAIを世界各地の子会社監査人に配布して、それに従い監査を行うように指示するのです。その結果をもとに連結の監査意見を表明することとなります。メールやオンラインミーティングも行いますが、基本的に子会社監査人はGAIに基づき監査を行い、指定された雛形を使って報告することが主たる業務になります。国際監査基準に若干の監査法人固有ルールを加え作成されるので、筆者の感覚ですとGAIやその提出物に大きな差はないように感じます。
GAIの内容
重要性等の見せることが出来ないものもあるので、経理の方は通常GAIを見たことがないのではないかと思います。内容は概ね以下です。
・パッケージが準拠する基準と監査人が使用する監査基準
・前期からの変更事項
・重要な虚偽表示リスクがある領域
・重要性
・提出物のタイムテーブル
・提出物の説明
提出物とその内容
次はGAIで指示される親会社監査人への提出物について説明します。内容や名称に多少の違いはありますが概ね以下です。GAIは基本、英語で記載されていますし、提出物も英語で提出するので横文字ですがご了承ください。
1.GAI受領後すぐに
Acknowledgement
独立性や業務遂行能力等に問題ないことを宣言します。
2.期中
Early warning memorandum
期中に重要な発見事項が無いかどうか回答します。もし該当事項があれば別枠で親会社監査人とやりとりします。単に重要な発見事項の有無だけでなく、今期の業績や適正意見は出せそうか、不正や訴訟などの有無などを個別具体的に回答する場合もあります。
3.期末
以下が連結パッケージを提出後、一週間後位に提出が求められる提出物です。
(1) Audit report
Reporting packageに対する監査意見です。Qualified opinionが適正意見と勘違いしそうですが、実際は逆でUnqualified opinionが適正意見です。
また、どの会計基準、監査基準に準拠しているかがin accordance with 〜の〜の部分に記載されています。
(2) Completion memorandum
今期の業績の概要、増減分析の内容、重要な虚偽表示リスクに対して行った監査手続とその結果、及び不正、違法行為、経営者の偏向、訴訟、継続企業の前提の疑義そのものと兆候の有無と対応する手続とその結果などを記載します。
(3) Summary of audit differences
指定された金額以上の発見した未修正の監査差異、修正済みの監査差異を記載します。
(4) Management representation letter
親会社のフォーマットに基づく経営者確認書です。
(5) Acknowledgement
最初に提出したAcknowledgementから状況に変更がないかどうかの確認になります。
(6)(Management letter)必要があれば
主に内部統制上の問題点などがあれば監査人が記載し、経営者側に対応策を記載してもらいます。
4.意見表明後
Subsequent events memorandum
連結財務諸表の監査意見が出るまでに時間がかかりますので、連結財務諸表の意見日直前に子会社の後発事象の有無の確認について連絡します。
終わりに
駆け足になりましたが、子会社監査人の作業のイメージがつけば幸いです。改正ISA600が適用された後でも上記形式は維持されています。
日本で2024年4月1日以降開始する事業年度に適用される改正監基報600のために、改正の具体的な影響について記載したかったのですが、またの機会にでも。