Simaudio Moon Neo 220i サブシステムAでのセッティング その1
✅audiopro Image12との相性
前回の続きです。サブシステムAでSimaudio Moon Neo 220iと組み合わせるのはスウェーデンの超小型プックシェルフスピーカーaudiopro Image12。低域は公称50Hzながら、測定すると40Hz前後までしっかり出ていますが、なにぶんこのサイズの密閉型ですので低域の量感はありません。即ち、Simaudio Moon Neo 220iをaudiopro Image12に繋げた場合、Moon Neo 220iの一番の特徴となる低域方向の量感とドライバビリティの高さは空振りしてしまい、割と行方不明になります...( ³△³ ).。o。
またaudiopro Image12に採用されているウーファーユニットも、低能率から音を絞り出すような現代型スピーカーとは異なり、マグネットが大きくないのか、公称4Ω/87dBですが、8Ω/90dBのスピーカーみたいな緩い鳴り方をします。反応が良く、ディテールの繊細さと解像度の高さに重きを置いた、云ってみれば力感の薄いセンシティブな音色のスピーカーです。
audiopro Image12のカミソリのような解像度を伴うシルクドームツイーターは、アンプの組み合わせを誤ると刺さる音になり易いのがウィークポイント。ところが、Moon Neo 220iとの組み合わせでは、ロールオフした優しい音では無いとは云え、危惧していたよりはマイルドで、これならアクセサリの組み合わせ次第でどうにかコントロール出来そうな予感...( ੭ ・ᴗ・ )੭。少なくともScanspeakのシルクドームD2905/9300を積んだVienna Acoustics MOZART T-2とは違い、アクセサリー類の組み合わせとセッティング次第で手懐けられそうな雰囲気があります。高域の刺さりを抑えるために、フロントグリルについては今のところ外せませんけれども。
Simaudio Moon Neo 220iとaudiopro Image12との相性が良いか?と問われたら、正直なところ可も無く不可も無くでしょうか…。ソリッドな定位や北欧のひんやりとした空気を想わせるaudiopro Image12の音色傾向そのものはMoon Neo 220iとバッチリ合っている印象。その反面、Moon Neo 220iが持つリジットなスタビリティの高さや、押しの強さ、低域の音圧感についは、audiopro Image12が根本的に非力な性格の為かなり鳴りを潜めます。
Moon Neo 220iをもってしても低域は未だ薄い
押しの強いサウンドにはならない ※±丁度良いバランス
ミニチュアライズされた定位感や音場感は素晴らしい
中高域については今後コントロールできそうな雰囲気
Image12の持つ解像ポテンシャルにアンプ側が未だ追いついていない
センシティブで大人びた雰囲気は極めて魅力的
繋げて間もない印象としては今のところこんな感じです。びっくりするほどMoon Neo 220iの強力なドライバビリティが生かされてないとも云える\(^o^;)/。と云うか、このスピーカーについてはONKYO A-1VLと組み合わせる方が普通に駆動力がありますね。
スピーカーケーブルはいつものTAG McLaren F3-10-SPKですが、このSPケーブルは中域の明快な輪郭と解像度を保ちつつ、上方向は刺さりにくい音色傾向ですので、このままリファレンスとして引き続き使えそうです。スピーカーについて、本来なら少なくともDYNAUDIOやB&Wの小型スピーカーと組み合わせるのが筋なのでしょうが…どちらのメーカーも、最小モデルのサイズが僕の希望からすると一回り大きいのです。DALI MENUET並のサイズでしたら間違いなく手を出しているのですが…。
✅電源ケーブル交換 SUNSHINE SAC REFERENCE1.8 ⇒ Nanotec Systems308
メインシステムでの印象からMoon Neo 220i低域には元々十分以上の厚みがあるため、サブシステムでは低域を犠牲にしても中高域~高域の再現性に注力するつもりでした。しかし実際にaudiopro Image12に繋げてみると、Moon Neo 220iが持つ重低音域の厚みや押しの強さが空振り気味で、思いのほかスカスカに…..( ̄▽ ̄;)。セッティング中の臨時的な意味合いでMoon Neo 220iに繋げてていた電源ケーブルは導体径2.0スケアのSUNSHINE SAC REFERENCE1.8でしたが、先ずはこの電源ケーブルを導体径が5.5スケアある自作のNanotec Systems308に入れ替えてみました。
Nanotec Systems 308を繋げたところ、一気に音が太くなり、密度感と重さが伴うアメリカンなウォームサウンドに変身します。メインシステムで感じていたやや押しつけがましさのある音圧の強さ、快活な躍動感、低域の厚みがaudiopro Image12でもそれなりに感じられるようになりました。前後の電源プラグにFURUTECH FI-28(G)/FI-12M(G)を奢っているため、この電源プラグらしい高級感のある、音像サーフェスのぬるっとした滑らかさと金メッキの明るさも加わっています。逆▼型のエネルギーバランスのImage12に、▲ピラミッドバランスのMoon Neo 220iを組み合わせることで、聴感上の周波数バランス的には丁度フラットな塩梅になる印象です。
一番の問題点である中高域のカンカンした圧迫感は大きく減退して、BGM程度の小音量であれば殆ど問題無いレベルの歪みになります。それでまた嬉々として音量を上げるとやっぱりツイーターが悲鳴を~゜゜(´□`。)°゜。。もしかしてA級からAB級に切り替わると突然五月蝿くなるのかなぁ。。。
太めの音像は手前に出てくるようになりますが、高域が抑えられるため音数は増えずホールトーンはデッド気味。総じてエネルギーが低域に大きく寄った印象ではありますが、Simaudio Moon Neo 220i持つ魅力をより引き出しているのは、太さ2.0SQのSUNSHINE SAC REFERENCE1.8よりも、太さ5.5SQのNanotec Systems 308の方です。音色の高級感は実際のところフルテックの電源プラグFI-28(G)/FI-12M(G)の影響が強いと思うのですが、パッと聴きの印象ではシステムが1~2クラスランクアップしたのか?と云えるくらいリッチテイストのゴージャス感がアップしました。
ちなみに北米に於けるSimaudio製品のデモでは、NORDOST Red Dawnシリーズの電源ケーブル、信号ケーブル、スピーカーケーブル、インシュレーター等を使っています。それもあって、当初は低域が強いMoon Neo 220iのピラミッドバランスを、よりフラットに戻すつもりで、細めの電源ケーブルを見繕うことを色々と想定していました。ですが、スピーカーのaudiopro Image12と組み合わせるとエネルギーのロス感、空振り感が半端なく、どうやら5.5SQの極太電源ケーブルでも全く問題無さそう。むしろ太いケーブルの方がMoon Neo 220iの持ち味、パルシブな電源供給能力が素直に引き出せそうな感じです。
とは云え音色的にはNanotec Systems 308は少々もっさりして暑苦しいですし、ディテールの混濁感もあり、表現がやや押しつけがましくなるのも気になります。そんなこんなで、本採用するには他にもっと相性の良いケーブルがありそう。5.5SQでエネルギーバランスそのものは良いので、より空間を広く解像度を上げる方向での組み合わせとなると、ここはやはりSir Tone PWC-11008に白羽の矢が・・・...( ੭ ・ᴗ・ )੭♡。(つづく)