小出恵介のブロードウェイ観劇日記 第七回【How to Dance in Ohio】
舞台における"演者"の意味とは
2023年12月よりスタートし、現在最新作として上演されている新作ミュージカル。同名ドキュメンタリー映画が原作として存在している、自閉症というテーマに完全フォーカスした意欲作品。
舞台上には自閉症を演じる実際に自閉症を患う俳優の男女7人が物語の主要キャストとして、非自閉症俳優数名と共にこの2時間半の新しいチャレンジとなる作品を紡ぐ。
本編は、精神カウンセリングセンターの代表で臨床心理士のエミリオ・アミーゴ博士が、フォーマルパーティを開催することを発案するところから始まる。博士はセンターの利用者たちが社会的に順応できるよう、アメリカの一般の大学でお馴染みのダンスを楽しむフォーマルイベントを計画する。冬から春に向けて、そのダンスイベントが行われるまでの100日間が描かれていく。完全に自閉症自体がメインテーマなので、彼らの独自の生活の苦労や、男女の恋模様、そして社会との折り合いといったものが中味を埋めている。
なかなか評することも難しい作品構造であるが、今回は一俳優という眼と脳から捉えたこの真新しいチャレンジを見つめたい。
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