「しがみつきながら祈ってる」(俳優・演出家 天羽尚吾)
こんな時に演劇をやっていいものだろうか。
「こんな時」は、いつもそばにあり、時に自ら耽り、時に他者から投げかけられる。
いまは「いいんだよ」と思っている。なにも僕は身体を機能維持させるためだけに生きているわけでは無いし、幾度も演劇は、生きる活力や考えるきっかけをくれた。もちろん同じだけ、もしくはそれ以上に傷つけられることもあったが、そのうえで僕はここにいる。
今回のテーマは「演劇と未来」半年間にわたって毎月演劇に思いを馳せる時間は、とても貴重だった。そして正直、震えていた。そもそも連載開始当時に演劇と自分の接点にあまり明るい未来を抱けていなかったからだ。ロンドンに滞在して1か月半が経った。演劇にかける助成金の規模や、ウエストエンドが観光として割と成り立っていること、最も話者の多い英語で上演されることが多いなど、土台が異なりすぎるが、ひいひい節約しながら生きている僕でも、£10(1,800円程度)でハミルトンを観劇できる最前列が当たったり、小劇場のチケットが£12(2,160円程度)、シェイクスピアグローブ座では1,000円もせずに観劇できたりする環境が存在するのは、ありがたい。ただ、各劇場のU-25や学生割引、宝塚の後方立ち見席など日本にだって同じような価格帯も存在する。そして高い芝居は高いのは同じだ。
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